2010.08

04

Wed

スズメバチの被害

8月に入って山々は賑わっていますが、こんなニュースが入ってきました。

2日午前7時10分ごろ、北海道羊蹄山登山道2合目付近でハチに刺され、携帯電話で119番通報、防災ヘリで同町内の病院に運ばれたのですが亡くなったとのことです。
左足首に刺されたような跡があったそうです。

蜂は6月頃に巣作りを始め、夏になると女王蜂の生んだ蜂が働き蜂となって、活発化します。スズメバチはミツバチと違い肉食で、秋に近づくと更に食糧探しで活発化するのです。ノルマに追われて飛び回る為、人と遭遇する確率が高まるので、蜂の被害は夏から秋にかけて多く発生します。人を刺す蜂で深刻な被害を及ぼすのはスズメバチとアシナガバチです。それぞれ種類もあるでしょうが、これから10月にかけて山里や山中を歩く登山者は注意が必要です。

まずは、多くの書物や公共機関が発表している被害を防ぐポイントを改めて書き出してみます。

1:偶然に遭遇した偵察蜂に驚いて追い払わない。飛び去るのをできるだけ待つか、その場所を静かに離れる。
2:体の露出させない。手、腕、足、首から頭を覆うことが望ましい。頭髪や黒眼にも注意が必要です。
3:化粧品など強いにおいを発するものは身につけない。
4:できるだけ黒いものは着ない。白い系統が望ましい。

これらは普通に登山をする者にとって、守れないほどのことではないと思います。更に、登山リーダーや用心深い方は次の装備を持つことも必要です。

1:ポイズンリムーバー
2:蜂の殺虫スプレー(大量の蜂を殺せません。不幸にして蜂を怒らせてしまった場合は必殺しなければなりません。局地戦を切り抜けるあくまで防御的な使い方です。)
3:瞬間冷却剤&抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏(市販薬では例えば、「ウナコーワA」などがこれに当たるようです。薬局で相談してください。)

対スズメバチで私たちが知っておくべき点、誤解していた点もあると思います。

1:ミツバチと違い、一度刺しても死ぬことはありません。昆虫を捕獲する時、麻痺させる武器としての針ですから当然です。
2:一匹を興奮させ、毒液をまき散らすことは総攻撃の「突撃ラッパ」となること。刺されなくても自分の衣服に付着すると攻撃ターゲットになってしまいます。
3:刺されてしまったら、可能な限り、素早く、ポイズンリムーバーで毒液を抜き取ることです。刺された患部を高くあげ、できれば冷やし、抗ヒスタミン剤を塗ります。
4:尿は利きません。迷信です。

最も危険なのは蜂の毒に対するアレルギーがある人です。軽い症状としては痛み、発疹、腫れですが、全身症状としてはじんましん、だるさ が現れます。
口の渇き、しびれ、息苦しさが出だすと深刻な症状になる可能性が高いです。
「アナフィラキシーショック」は刺されて数分後に起こります。不幸にして亡くなった方は刺されてから10~15分程度で激しいアレルギー反応によって、ケイレン、血圧降下、意識障害を起こし、呼吸困難で死亡しているそうです。
すべての人がこのアレルギーを起こすわけではありませんが、以前に刺されたことがある人は病院の診察を受け、エピペン(アドレナリンの自己注射器)を処方してもらう必要があるかもしれません。

さて、1500m程度の中級山岳地帯から里山が最も暑くなるこの季節、皆さんはどのようにスズメバチ対策をして山に入りますか。

参考:アナフィラキシー医療機関リスト http://www.anaphylaxis.jp/list/index.html#
 

登山研修所友の会には役立つ情報がたくさんあります。

加藤ガイドのHPには、自然、花、地質、鉱物などを載せています。
 

加藤智二(かとうともじ) (2010年8月 4日 10:33)

ガイドプロフィール
名前: 加藤智二(かとうともじ)
1960年生まれ
資格: 公益社団法人日本山岳ガイド協会 認定山岳ガイド
日本プロガイド協会、日本山岳レスキュー協会 所属
国立登山研修所 講師
サンテレビ他「山のぼり☆大好き」出演中
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