【フィールドレビュー】最新ウェアを着て、激しい降雪の滋賀県比良山系へ行ってまいりました

関西にも強烈な冬型気候がやってきた! 山の上もどんどん降り積もっています。
そんな劣悪な環境の中、好日山荘限定の「コミットメントKSジャケットパンツ」のフィールドテスト&レビューを敢行してまいりました。

場所は、滋賀県は琵琶湖の西側に壁のように連なる比良山系。
今回の目的は、堂満岳ルンゼを行ければいいな~、と。
このウェアを着てクライミングするのはどうなのかな~?

1/14全国的に寒波に包まれ、比良山系も真っ白に。
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時間とともに、風雪も悪化。激しい吹雪へと変わっていきました。

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麓のイン谷口。

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大山口から青ガレ方面へ。その途中から堂満岳ルンゼへ踏み込んでいきます。

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コミットメントKSパンツは、典型的なハードシェルのパンツにありがちな足上げ時のツッパリ感がありません。
まるでシェルを着ていないかのような動きやすさでした!

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堂満ルンゼスタート地点。

まだこのときは降雪が弱かったのですが・・・。

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サラサラのスーパーパウダーの積もったルンゼをつめていきます。

今季は雪の降る時期が遅く、まだまだ氷も岩にうっすらついただけの状態。氷をアイゼンやピッケルで叩き蹴り割り、ピッケルの刃とアイゼンの前爪だけを岩にひっかけて登っていきます。

フリークライミングのようなムーブで登って行きましたが、このジャケットとパンツは本当に動きやすかったです。
無理な姿勢でもツッパリ感がなく、そして氷でこすってもひっかかりもなく、スムーズでした。

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いくつかの壁を越え、堂満ルンゼの中央稜に沿って進んでいましたが、あまりに降雪が酷く、残念ですが中止に。

青ガレまで戻って、そこから北比良峠まで行くことに。

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無雪期は多くの方が登る、紫がかった岩が連なる岩場の「青ガレ」もこの状態です。
足を滑らせてしまうと、谷の沢まで転げてしまいます。

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激しい降雪にもなんのその。
きつい登りで汗をかいても、Dry.Q Coreの高い透湿性と脇の下の大きなベンチレーションのおかげで蒸れ感はありませんでした。
こんな猛吹雪の中でも、ベンチレーションが脇の下なので服の中へ吹き込むこともありません。

稜線へ向けて、深い雪に踏み込んで登っていきます。

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稜線上は猛吹雪で真っ白! 踏み跡さえありませんでした。

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ワカンを履いて、60~80cmの雪の積もった稜線を進みます。

踏み跡(トレース)は一切ありませんでした。
GPSで位置を確認しつつ進みます。

さすがに深い雪の中を進んでいくと疲れ、のども乾きます。

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そんなときは、最強のコレ! 山專ボトル~(パンパカパ~ン)
家で沸かしてから氷点下の雪の中6時間以上経過しても、アツアツの湯が飲めましたよ!
雪の平原を眺めながらトレイルナッツを食べながらお湯を飲む。
う~む、スバラシー!雪山最高~!寒いけど~!

素手で持っていますがマネしないで下さい。グローブを必ず付けて下さいね( ̄◇ ̄;)
冬用の大型グローブも、コミットメントKSジャケットのポケットに楽に収納できました。

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稜線をワカンラッセルして北比良峠へ到着!
広い雪原!真っ白!踏み跡もない!素晴らしい!(薄暗いけど)
素晴らしい光景ですが、かなりの横殴りの猛吹雪でした。

時間的にも15時を過ぎて、ここでおしまいにしました。

 

着用フィールドテスト感想

2016年、年末にも西穂高岳でも使いましたが、今回はクライミング要素のあるルートでの使用でした。

この製品に使われているDryQ.Coreという生地はかなりのストレッチ能力があり、足上げ腕上げ、ひねり動作、フリークライミングのように岩と雪のミックスをクライミングしましたが、服に引っ張られ動作を阻害されるようなことはありませんでした。自分の思う姿勢を問題なくとることができました。

堂満ルンゼをつめている際はヘルメットを着用していましたが、フードも大きく前に少し硬いプレートが入っているため視界も阻害されません。フードの生地も柔らかい同じ生地のため、横を向いても追従して柔らかく捩れてくれたので視界確保は楽だと思いました。

水筒を握っている写真で素手になっており、その際冬用の大型グローブをポケットにしまっておりましたが、お腹のポケット片方に2つのグローブを一緒に入れることもできました。(ストレッチが効くので無造作に突っ込んでジッパーをしめていました)

Dry.Q CoreとGore-tex ProShellとの比較(着用者の所持品との比較)

 

・運動性 Dry.Q Core≫Gore-tex ProShell

別次元の動きやすさのストレッチ能力です。立体裁断のGore-texでもここまで動きやすかったことはないと思います。アイスクライミングやミックスクライミングで特殊な姿勢のムーブを行うもの楽だと思います。

 

・生地強度 Dry.Q Core≦Gore-tex ProShell

生地の強度はGore-texに若干軍配があがるかもしれません。しかしながら、Dry.Q Coreで破損する状況ではどのみち、どんな素材でも破損するかもしれません。アイゼンの前歯でアイゼンガード部以外をひっかけてしまった際は穴が開きました。これはGore-texでも穴が開きます。

 

・凍結耐性 Dry.Q Core≦Gore-tex ProShell

内部への浸水などは一切ありませんでしたが、頭部など一番風雪に襲われる部分には若干表面が凍ったかな?という感じがありました。ストレッチ生地故なのでしょうか? 透湿性への影響は感じられませんでした。

全体的によく考えられた仕様で、使いやすい・動きやすい良いシェルだと思いました。

生地のストレッチがかなり効くので、下に着用するインサレーションのために大きめを選ぶ必要性もあまりないと思います。(大きすぎるアウターウェアは風を受けてバタつき抵抗、体力消耗の原因になります。)

下山後、電車の中で濡れたシェルを暖気で乾かしていましたが、さほど時間もかからず乾きました。

今回使用したのがシンプルなブラックモデル。街中では下のコミットメントKSパンツを脱いで、ジャケットだけで移動していました。
街中で派手なアウトドアシェルは変に目立ってしまうこともありますが、タウンでも悪目立ちせず、タウンから山へ、山からタウンへ気を遣わずにスムーズに移動できるのも良かったです。

内側のメッシュの有無については賛否の分かれるところですが、若干の空気をため込む保温効果やベンチレーションでも追いつかない程の汗をかいてしまった場合の内部結露がインナーウェアにくっつかない効果もあるので、筆者的にはOKだと思います。(重量増を気にされる方もいらっしゃいます)

使用アイテム


今回フィールドテストを行った製品のジャケットです。パンツとセットでどうぞ。
アイボリーカラーにゴールドのロゴというシンプルなスタイリッシュなモデルと、ソリッドスタイルなオールブラックモデル、どちらも捨てがたい格好の良さですね。


雪山に入るなら、容量は絶対900ml ! 容量に余裕があります。
氷点下の環境で熱湯を6時間たっても飲める素晴らしさ!
グローブを着けていても握りやすいコップの構造や滑り止めのラバーリングなど、山で使うための要素が詰まっています。


様々な味でグローブにザラザラと広げてがばっと頬張るともう口の中が幸せ!
たまに山行準備をしている最中に食べ始めて止まらなくなることも・・・。


今年のような急なドカ雪予測のある登攀にはやっぱりワカンを持参したい。
スノーシューよりも軽く小さいワカンは、「もしも」に備えて!


現代では、雪山でもピッケルとトレッキングポールを併用する時代です。
道具の多い雪山登山で、軽くコンパクトになる折りたたみ式カーボンポールはオススメです。
カーボンはメタル系と違い冷えにくいので手も冷たくなりません。

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!