屋久島花の女王 ヤクシマシャクナゲ 〔黒味岳ルート〕
- 投稿者
- 好日山荘スタッフ
- 日程
- 2014年05月30日 (金)~2014年05月30日 (金)
- メンバー
- 天候
- 晴天
- コースタイム
- 淀川登山口~(100分)~小花之江郷~(10分)~花之江郷~(15分)~黒味岳分岐~(50分)~黒味岳山頂~(180分・休憩。撮影含む)~淀川登山口 花の撮影に時間をかけているので通常タイムとは異なります。
- コース状況
- よく整備され、道迷いのないよう配慮があります。
迷いようがなく思いますが、何かの用事で登山道を不用意に外れることにより、遭難者が後を絶たない現状がありますので十分気をつけてください。
- 難易度
感想コメント
昨年も当たり年といわれていたヤクシマシャクナゲが、今年はさらに20年に一度の開花状況だということで、黒味岳ルートで鑑賞しようと屋久島に行ってまいりました。
冬につぼみの状況を見て関係者は判断できるそうで、花の量はかなり期待できることを早い段階で皆さんご存知。例年に増しての登山客だそうです。
5月24日からは町主催のシャクナゲ登山も企画されているとのことで、ツアー・個人登山者で駐車場が込み合っていました。路肩に止めざる得ない状況でしたが、大型バスも往来するので、十分なスペース確保が必要です。
大型パーティーとの遭遇を危惧しておりましたが、大幅に時間が異なるため、少人数との離合で済みました。あいさつや譲り合うことが大切なことは承知していますが、今回は単独だったということと花の撮影に時間をかけることが予想されていたので、時間ロスはかなり気にして行動していました。屋久島の奥岳といわれる島の中央部への登山は、基本的に単独は避けたいところを敢えて入ったので、ヘッドランプはもちろん、ツェルト・GPS、その他準備できるものは全て携帯して入山しました。
ハイノキ・サクラツツジも開花時期で楽しませてくれるものの単調な歩きが続く中、一株のヤクシマシャクゲが。
一気にテンションがあがりました。それからは、撮影しながらの行動だったので、ゆっくりペース。無理なく山頂まで楽しめました。黒味岳分岐から、ロープが3箇所ほどあります。少々、急になりますのでマイペースに標高をかせげばいいと思います。早い段階からシャクナゲが目を楽しませてくれます。
ドーム状についた濃いピンクの蕾の集合体がそれぞれふくらみ、大型のピンクの花となります。徐々にうすいピンクになり、純白にまで変化します。私は、砂糖菓子の香りがすると思いますが、人それぞれのようです。かわいらしい蕾から、高貴な雰囲気を醸し出す花の姿まで、うっとりと見入ってしまいます。黒味岳ルートは蕾から満開まで混在しており、今からでも十分楽しめると思います。
屋久島の花の女王といわれるヤクシマシャクナゲはこの時期、各集落で行われる山岳宗教の一つ、岳参りで重要な存在となります。岳参りとは、屋久島では杉を年貢の代わりに納めていたことから、木を切り出す許しを乞い、山の神様に感謝するために各集落の代表が登山する歴史のある大切な行事です。その頃は女人禁制であったり、体力のある青年しか行けないことから、登山して役目を果たせる人は限られていたそうです。彼らを待つ里の人にこの聖なる花を持ち帰っていました。それだけ崇高な意味を持つ花です。岳参りは現在も各集落で行われていますが、自然保護の観点からヤクシマシャクナゲの持ち帰りはなくなったとか。
山頂からは、宮之浦岳・永田岳・投石平などが見えます。たくさんの花や、休む人が見えました。
そちら方面も爆発的・お花畑だよとすれ違う登山者に教えてもらい、特に投石平は分岐から700Mということで、もう一歩進もうかとかなり迷いましたが、リミットを越えることは危険を招くと思い直し、帰途に着きました。
宮之浦岳・永田岳ルート共にかなりの花量とのこと。ご予定のあるかたは存分に楽しまれると思います。ただ、屋久島の奥深くに入り込むことになりますので、なかなかない貴重なものを見るチャンスであると同時に、より自然状況の変化に敏感に行動する必要があります。
ウェアやギアをしっかり準備して安心・安全登山を♪
また携帯トイレの準備もしっかりと。屋久島は、花崗岩が隆起した島であまり栄養を溜め込むことができません。だから山岳島である環境にプラスで独自に進化した動植物が固有種として存在しています(小さいものが多い)。衛生面はもちろん、その生態を壊してしまうことに直結しまうことから栄養分の多い排泄物は山に残さないようにする為に必要なものです。
今後も、過酷な自然状況の中で花をつける植物に思いを馳せると共に安全確保に留意して、この時期花開くヤクシマシャクナゲやその他の花登山を楽しんでいきたいと思います。
里に戻って、夜は海亀の産卵を見に行きました。光はご法度なので、遠くから影のみですが、上陸しても穴を掘るのに苦労して諦めて海に戻ったり、子孫を残す為に用心深く時間をかけて浜に上がる母海亀に感無量の思いで見入っていました。
8月以降は卵から孵った赤ちゃんが海に帰る時期になります。
屋久島の懐の深さを知る旅でした。
そして、これから沢登りの時期が始まります♪
沢が豊富な屋久島はワンダーランドです!楽しみ!
フォトギャラリー
・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。