山岳ガイドが語る春の山の楽しみ方と注意点-山下ガイド

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春の山には、厳しい雪の季節の足跡と、新しい芽吹きの季節の息吹が共存しています。
そんな春山の登山の楽しみ方と注意点を山下ガイドに聞いてみました。
(この記事は2016年春の記事を再編集しています)

Q1.春山(残雪期含む)の魅力や楽しみ方と言えば?

A.北アルプス3000m級の雪山に入りやすくなる!

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北アルプス3000m級の春山(残雪期)の楽しみを簡単に表現すると、
白く輝く雪山を楽しむのに
冬よりは暖かく、雪も日々締まり歩きやすくなり、登山口までの道路、交通機関は開通し、人気エリアでは山小屋も営業開始し入山しやすくなることでしょうか。
冬雪崩の危険性のある沢は締まっているのでアイゼンを利かしてサクサク歩けます。
下降は一気に下れ早い!
天気がいいと日中気温が上がり、風がないカール状の地形にいると半袖でも暑いことがあります。

一方春山の危険性もあります。
・堅く急になった雪面でのスリップ。
・一旦荒れたら冬山同様。北アルプスの3000m近い場所では5月でも雪降ります。
・照り返しが強烈なので日焼けに注意。
・ブロック雪崩
ですね。

Q2.山下ガイドおすすめの春の山は?

A.初心者の方は雪の体験から始められる山を

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初めての春山の方で北アルプス方面に行くのなら、特にピークハントということを考えずにまずは体験することもいいでしょう。

・室堂から劔御前小屋で劔岳を望む。
・上高地から岳沢、涸沢へ。
・白馬岳、爺ヶ岳、蝶ヶ岳等の傾斜が急でない尾根、沢からの登頂ルート。

スリップによる滑落の危険性のある所はしっかりとした技術を身につけてからいきましょう。

景色のいいところに着いたら、雪でテーブル、椅子を作れば最高の景色を見ながらのティータイムが味わえます。
やはり防寒着は必須ですよ。

Q3.春山での必要な装備のポイントは?

A.飲み水をしっかり用意しましょう。

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この時期は非常に喉が乾きます。
しかし日陰や朝晩は冷えるので、定番は水とテルモス両方持っていくことが多いです。
5-6月の北アルプスを登る場合テルモスが500ml、水が500ml以上欲しいですね。
ナルゲンボトルに湯を入れて中身が減ってきたら、雪を足せば水を増量できます。

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今回、春山の楽しみ方と注意点を教えてくれたのは「山下ガイド」

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山下 勝弘(やましたかつひろ)
国際ガイド連盟(UIAGM)国際山岳ガイド
公益社団法人 日本山岳ガイド協会 国際ガイド&フリークライミングインストラクター
環境省自然保護委員
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1959年生まれ。中学、高校時代から縦走をはじめ、1981年頃から社会人山岳会にて岩登りをはじめ、冬壁、ビッグウォール、フリークライミングに没頭。
生まれは関西ですが、育ちは横浜。1992年から長野県松本市近郊の村に移住しています。
山からはハイキング、クライミング、マウンテニアリング、スキーと色々な楽しみ方を貰っています。
その楽しみを皆さんと共有できたらな、と思ってます。

≪主な登攀歴≫
■谷川岳、穂高、甲斐駒ケ岳の冬期登攀。
■日本のマルチピッチルートのフリー化・フリー続登。
■フリークライミングルートの初登。
■ヨセミテ、アラスカでのビッグウォール。

≪関連ホームページ・ブログ≫
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この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」

好日山荘マガジン 編集部

登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!