ニュージーランド、ヨーロッパ、
そして日本と世界の山々をフィールドに
活動を続ける登山ガイド、田中 敦。
現在は好日山荘登山学校の講師を務めながら、
北アルプスの麓・白馬に暮らす。
「この季節がいちばん」と語る田中の手には、
オリンパスのTough TG-5。
さて、どんな白馬の春が
待ち受けているのだろう?
たなかあつし●1975年、大阪生まれ。公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイド ステージⅡ、N.I.A.J(Nature Instructors Academy of Japan)所属。登山・トレッキング専門の旅行会社でのガイド業を経て、現、好日山荘登山学校講師。好日山荘白馬店に勤務しながら、白馬暮らしも3年目を迎える。二児の父でもある。
岳人憧れの地、白馬大雪渓。6月というのに残雪は谷を真白く覆っている。「昨年は少なかったけれど、これが例年の大雪渓。今年はたくさん降りましたからね」と言葉を口にしながらTG-5を構える田中さん。その先には、雪渓に空いた大きな穴が……。これも春の訪れを告げるワンシーンだ。
アウトドアでの使用を前提に開発された機種だけに、山歩きにぴったりのモードが数多く搭載されている。スマートフォンのアプリ「Ol.Track」と一緒に使えば、高低差の軌跡を表示させたり、写真にデータを書き込むこともできる。
白馬の春といえば、代掻き馬の雪形。白馬岳の北方に連なる山稜に山を駆ける馬の姿(TG-5の液晶画面でフォーカスを示す緑の枠)が現れ、田んぼの代掻きの季節が到来したことを告げる。「今年はラッキーですよ! こんなにハッキリとした雪形が出るのも久しぶり」と田中さん。
標高の高い山肌や沢筋にはまだまだ雪が残っているものの、
スマートフォン専用アプリ「Ol.Track」を使えば、このブナの木を撮影した場所もピンポイントで表示。この木を探して彷徨い歩いた軌跡もしっかりと残されていた。
雪解けの森といえば、林床に咲き誇る春の高山植物の花。濃いピンク色が印象的なショウジョウバカマは雪渓脇の登山道で、可憐な薄紫色の花弁を広げるのはキクザキイチゲの群落だ。「このカメラ、すごいですよ!接写が!!」
白馬山麓の魅力は、雪渓から森、沢筋、そして麓の里まで幅の広い春が楽しめること。「防水仕様のTG-5だし、水の中の写真を撮りに行きましょう」と田中さんが案内してくれたのは、姫川の源流域。雪解け水はすこぶる冷たかったが、水の中にはバイカモの森が広がっていた。
微妙な天気だけど、出るかな、星……と、そこはかとない不安を抱えながら、林道を進む。その先に、おそらく地元の人にもあまり知られていない白馬の展望台があった。白馬の街並みを見下ろす展望台には、いかにもなモニュメントも。白馬の街明かりに包まれながらも、夜空を見上げてみると……雲間に浮かび上がってきた星々の輝き。雲の切れ間を探しつつ、夜の白馬を思う存分、楽しんでみた。なんともステキなフィールドです、白馬は。
登山ガイドの仕事がないときは、白馬の店舗にも立っていると語る田中さん。「いつもコンデジでブログ用の撮影もしているのです」とオススメのバックパックをパシャリ。また、「山麓もいいですよ、白馬は」と言って連れて行ってくれたのは、白馬の山並みが逆さに映り込む田植え後の田んぼ。いや、これもまた絶景なり。春ですねぇ、白馬。