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【雪山のリスクヘッジ】 ~雪崩対策~

雪崩はかなりの脅威です。降雪中や降雪直後は発生確率が特に高まります。
思わぬ場所でも発生し、しばしば重大な事故に繋がることがあります。
日本国内でも、巨大なものになるとマイクロバス大の氷雪塊が雪崩の爆風とともに飛んできた、なんて話もあります。

 

雪崩体験

この記事を執筆している私も、過去に雪崩に襲われた経験があります。
発生時は春先の暖かく天気の良い日で、比較的安定した雪の斜面を登っていました。
登山者だけでなくスキーヤーなどもいて、斜面上部の雪面をスキーヤーが連続で4人同じ位置を横切っていきました。
その瞬間、滑走跡に沿って斜面の雪が切られるように一気に崩れました。
「あっ、雪崩!」と思って回避行動を頭に浮かべたものの雪崩はすぐに自分の所まで到達し、ロクに動きもできずにまきこまれて流されてしまいました。
幸い、私は雪の浅いところで半身が埋まる程度で止まりました。しかし半身と言えども、体の上にのった雪は重く、脱出にひと苦労。
同じエリアにいた他の登山者の方も被害に遭い、救助が行われました。
雪崩にあった時のことは今でもよく覚えていますが、かなりの恐怖でした。

雪が積もっている場合は時期を問わず、自然に人工的に、様々な要因で雪崩が発生する可能性があります。
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雪崩対策に必要なこと

雪崩は時に時速200キロにも達する場合があります。
雪自体が音を吸収するので、発生しても気づくのに遅れ、そのまま巻き込まれる場合も多い。

雪崩対策には、

①雪崩の起きやすい雪斜面を調べる(弱層チェック)
②雪崩に遭い埋没した際に知らせる・不明者を探す
③雪崩の発生しやすいエリアには立ち入らない。立ち入る場合でも速やかに脱出する。
④雪崩の発生しやすい気象条件に注意する。

①雪崩の起きやすい雪斜面を調べる

雪崩が起きそうな雪面を調べるには技術の習得が必要になります。
一般的には、山岳ガイドによる雪山の講座など、実地で学ぶのが良いでしょう。
(弱層テスト風景)
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②雪崩に遭い埋没した際に知らせる・不明者を探す

①と同じように技術を学ぶ必要があります。
(プローブで埋没者を探す様子)
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夏山では使わない、雪山専用の道具も必要になります。
(アバランチビーコンを使用)
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③雪崩の発生しやすいエリアには立ち入らない。立ち入る場合でも速やかに脱出する。

斜度が30度から45度のところが特に発生しやすい。(スキー場の上級者コースをイメージするとよいでしょう。)
樹林帯の斜面でも、高い木の密集したエリアは雪崩が発生しにくいが、低木のまばらなエリアは雪崩が発生しやすい。
また、笹や草の生えた斜面の上に積もった雪は、土面などよりも雪崩れやすい。

 

④雪崩の発生しやすい気象条件に注意する。

雪崩の種類には、【表層雪崩】【全層雪崩】というものがあります。
種類によって発生しやすい時期や条件が異なります。

【表層雪崩】
1,2月あたりの冬の間に起きやすいもので、冬の間でも寒く降雪のある日、陽気な日などの繰り返しで、前に降った雪の層の上を新しく降った雪の層が滑り落ちる現象です。暖かい日の後の降雪後に特に発生しやすい。(気温以外にも、様々な気象条件・地形条件で弱層が発生します。ご注意ください)

【全層雪崩】
暖かくなった春先に起きやすいもので、融雪や降雨の水が積もった雪の層の下にまで浸みこみ山肌を流れることで、積雪層全てが滑り落ちる現象です。

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もしも雪崩にあってしまった時に必要な3つの道具

①ビーコン(アバランチビーコン、アバランチトランシーバー)

電波を出して埋没した際に発見してもらう発信機として、電波を受信して埋没した人を探す受信機としての機能があります。

 

マムート エレメント バリボックス
使いやすく、性能充分なコストパフォーマンスの良いのアバランチビーコンです。
近年のビーコンは昔のものに比べて探知性能も飛躍的にアップしており、モニタに表示される探知方法の指示も的確かつ分かりやすいものになっています。
初めて使う方にもおすすめです。

 

Pieps(ピープス) ディーエスピープロ
最大4人までの埋没者をマークでき、はっきりとした指示をくれます。
電波の発信、探査の能力がかなり高めのモデルです。
バックライト搭載で夜に発生した雪崩捜索においても力を発揮します。

 

②プローブ

250~300cm程度の細い棒です。雪に棒を刺し、雪の下に埋没した人を探す道具です。

 

Mammut(マムート) プローブ280 ファストロック
アルミ製280cmプローブ。
紐を引っ張り組立し、本体に素早くクリップするだけで使う事ができるので、素早い捜索活動が期待できます。

 

bca(ビーシーエー) ステルスプローブ240
展開からポールのジョイント部分の引きが非常にスムーズで素早くプロービングを開始できる点や視認性の高いゲージと低価格が魅力です。

 

③スコップ

ビーコンとプローブで探し出した人を雪の下から掘り起こすためのものです。
埋没者の掘り起し以外にも、雪洞掘り、雪の壁作りなど、幅広い用途に使用します。

 

Mammut(マムート) アルゲーターツイスト
アルミ製で軽量なスコップです。最大長80cmと長く、立ったままでも作業しやすい。
ブレード部分の上側が平らになっているため、硬い雪面に足をかけて蹴り込みしやすくなっています。

 

ORTOVOX(オルトボックス) プロフェッショナルアルミIII
肉厚アルミで丈夫なスコップです。
硬くしまった雪でもしっかり掘れることが出来、また持ち手を上下いれかえることで、鍬モードとして使用できます。

 

Mammut(マムート) エレメント バリーボックス パッケージ
・アバランチビーコン 「Mammut エレメントバリボックス」
・プローブ 「Mammut プローブ240」
・スコップ 「Mammut アルゲーターライド」
3点がセットになったパッケージです。
これから雪山登山やバックカントリースキーを始める方に、雪崩対策セットパッケージがオススメです。

 

まとめ

雪山は美しく素晴らしい魅力のあるものですが、時に牙を剥いて登山者に襲い掛かります。
無事に下山するには、雪山技術(立ち回りや道具の使い方)の習得と経験が必要です。
まずは雪崩の可能性の低いエリアの山から経験し、徐々にステップアップしていってください。

この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」