天国想うナメラ ビャクシン沢 屋久島
- 投稿者
- つじまい(おとな女子登山部)
- 日程
- 2021年03月07日 (日)~2021年03月07日 (日)
- メンバー
- 他1名
- 天候
- 雨
- コースタイム
- ヤクスギランド入口→2時間半→大和杉→30分→入渓→2時間→登山道→3時間→ヤクスギランド入口
- コース状況
- ヤクスギランド(標高1000m)13℃
大和杉(標高1300m)11℃
登山道に合流(標高1550m)9℃
- 難易度
感想コメント
屋久島3日目。
昨日、一番の目的であった「モッチョム岳フリーウェイ」は取付きまで行ったが、1週間降り続いた雨により壁がびしょ濡れ・・・
そして今日は朝から雨。
しかしこんなことは事前に予想していたから、もう一つのプランを決行する。
雨なら沢登りをしたらいいじゃない!
実は、この沢のことは前から知っていた。
一緒に勤務していた大先輩のEさんから何度も話を聞いていたのだ。
鹿児島での勤務が長かったEさんは屋久島のことにもすごく詳しかった。
その中でも、まず話に出るのが「ビャクシン沢は素晴らしい」ということだ。
「絶対行った方がいい、というか次、屋久島行く時は誘ってよ(笑)」とEさんは言っていた。
そんなに素晴らしいなら、行くしかない!まだ3月だけど!
真夏の沢登りしか経験がないので、ややウェアリングに不安があるが・・
ヤクスギランドからはじまる長いアプローチ。
本来はヤクスギランド内の「苔の橋」から入渓するのがスタンダードだが、雨で増水。
そしてまだ体が温まってないので、沢に入る気持ちにはなれなかった。
ヤクスギランドの周回コースを離れ、花之江河歩道に入る。この道は初めてだ。
登山道沿いに、私が世界で一番好きなお花を見つけた。
「オオゴカヨウオウレン」屋久島の固有種である。
すごく小さく見逃してしまいそうだが、よく倒木や大きな杉の枝や幹に咲いている。この時期にしか咲かない。
今年は2月から咲いていたらしく、もう見れないかと思っていたが、標高が高いのでまだ残っていたようだ。
待っていてくれて、ありがとう。と心の中で思う。
歩き進むにつれて、森は深くなり植生も変わっていく。
見飽きることがないが、アップダウンが激しく疲れてきたところで、ヤクスギの「大和杉」が現れた。
巨大な杉は、この森の主のように見える。
屋久島イチの人気を誇る縄文杉はかなり離れたステージからしか眺めることができないが、大和杉は触ることができる。私はこちらの方が好きかも。
歩きはじめて3時間でようやく入渓地点。
いきなり超絶きれいなナメが現れて、期待がふくらむ。
ここからは、もう本当に素晴らしいの一言で、どこを切り取っても絵になる景観。
苔、木、岩、水が生き生きとして自然の美しさを感じる。
ビャクシン沢は今までに出会ったことのないような美渓だった。
常に動いていないと低体温症になりそうな寒さだったが、本当に来てよかったと思った。
結局ロープを一度も出すことなく、渓相が落ち着いてきた。
スギ、モミ、ツガ、ヒメシャラといった大木からヒサカキ、シキミ、ツゲ、シャクナゲといった背の低い樹木に変わり、空へ続くようなナメ床が現れる。
これが「天国のナメラ」といわれる場所らしい。
天気がよければ景色はいいかもしれないが、霧に包まれて幻想的な雰囲気も悪くないと思う。
ナメ天国を堪能したあとは、全く地図を開かなかったせいで完全にルートミスしてしまい、30分ほどロスしてしまった。
なんとか登山道に復帰したあとは、長い長い下山。
帰りは温泉のことで頭がいっぱいだった。
いつも山から帰ってくると、ニコニコして「どうだった?」と私の話を聞いてくれたEさん。
ビャクシン沢の話も、いつか聞いてほしいと思う。