おとな女子登山部 イベントレポート 六甲全山

六甲全山

5月17、18日に六甲でこんなイベントを実施!!

六甲全山

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①念願の六甲山最高峰にて記念撮影するMチームのみなさん。②旗振山の山頂から三宮方面を望む。③横尾山の馬の背! ④もう目にまぶしい~。いい季節だ。⑤コース上には布引きの滝も。⑥稲妻坂を登る、登る

 2014年の今年、創業90周年を迎える好日山荘では、楽しいイベントが目白押し。ファンミーティングがあったり、名高きクライマーが来日したりと、夏が近づくにしたがって、大いに盛り上がりを見せている。
 今回の「六甲全山2DAY縦走」も、そんな記念イベントのひとつ。神戸に本拠地を置く好日山荘だけに、六甲全縦は一度はやってみたかったイベントだったとか。
 事前のインターネット予約では、300人の枠になんと600人を超える応募が殺到。好日山荘×六甲全縦の注目度の高さがうかがえる。あまりの反響のよさに、スタッフたちは大わらわ。うれしい悲鳴に、おとな女子登山部のメンバーも全員参加と決定した。今回の縦走は、ひとチームを18人ほどで編成。チームリーダーに資格を有する山岳ガイドを置き、サポートスタッフとして、おとな女子登山部や店舗スタッフのほか、各メーカーからも担当者などが参加した。抽選で参加を勝ち取った好日山荘のユーザー300人が、これらのチームに約15人ずつ編成され、AチームからTチームまで全20チームが成立した。
 初日は、須磨浦公園を起点に須磨アルプスを越え、高取山、菊水山を経て、市ヶ原から新神戸をめざす。その日の夕方には、新神戸駅前にあるANAクラウンプラザホテルにて、六甲全縦参加者限定のファンミーティングを開催。翌朝、再び新神戸駅に集合し、六甲全縦の後半戦に挑むといった具合だ。2日目は新神戸から摩耶山、六甲山を経て宝塚まで歩き続けた。
 いわゆるガイド登山でもあるので、ただ単に歩くだけではなく、ペースの取り方や水の飲み方、休憩の方法などグループ登山のノウハウが学べるだけに、参加したユーザーもとても満足度が高い。そして、何よりも参加者たちの六甲全縦に掛ける思いが、ヒシヒシと伝わってくるイベントとなった。
 全縦がコンプリートできたのは、さて何人?

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コースマップ

六甲全山コースマップ

▲クリックで詳細なマップを表示

参考コースタイム


17日【初日計:約7時間55分】
須磨浦公園駅(45分)旗振山(25分)おらが茶屋(55分)馬の背(45分)妙法寺(45分)高取山(45分)鵯越(1時間10分)菊水山(1時間)鍋蓋山(25分)大竜寺(20分)市ヶ原(40分)新神戸
18日【2日目計:約9時間】
新神戸(1時間)市ヶ原(40分)稲妻坂上(50分)摩耶山(35分)杣谷峠(25分)三国池(10分)丁字ヶ辻(15分)自然保護センター(45分)極楽茶屋(55分)六甲山(20分)東六甲縦走路入口(45分)船坂峠(30分)大平山(20分)大谷乗越(50分)塩尾寺(40分)宝塚駅

山行アドバイス

 縦走ルートでのクライマックスは、花崗岩の岩肌がむき出しになった横尾山の馬の背。通称、須磨アルプスと言われる場所だ。前半は細かなアップダウンが激しいのに対し、後半は長い尾根道を進む。全長は約56kmもあり、宝塚までの距離は相当に長く。かなりの健脚向け。標高が低いので、春先か秋口がベストシーズンとなる。

アクセス

 初日の起点は、山陽電鉄の須磨浦公園駅。そして初日の終点と2日目の起点が、新幹線および神戸市営地下鉄の新神戸駅。ゴールは、JRと阪急の乗り入れる宝塚駅となる。大阪圏の電車網が充実しているエリアなので、アクセスは非常に便利。ただし、東から西へ全長56kmもある縦走ルートなのでマイカーの利用はしにくい。

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みんなで登った六甲全山!!

おとな女子登山部メンバー紹介 初日/5月17日 須磨浦公園駅~菊水山~新神戸

 スタート地点となった須磨浦公園は、朝から初夏の青空が広がり、青葉が目に痛いほど。まさに、六甲全縦日和だ。早朝の6時集合の明け切れぬ須磨の海に、参加者たちの声が響き渡っている。チームは全部で20。当日の受付時に「ふつうペース」「ゆっくりペース」を自己申告し、それにしたがってチーム分けを行なった。仲間同士もいるものの、参加者の多くは「ハジメマシテ」の人ばかり。六甲全縦は関西の山好きにとってひとつのステータスでもあり、この機会にぜひ! と思い立った人が多いと聞く。
「では、Bチームのみなさ~ん、こちらに集合してください」と、大きな声で呼びかけているのは、部長のなずなさんだ。彼女は日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドでもあるので、Bチームのリーダー役も担っている。準備体操のあと、彼女が取り出したのはアミノ酸の顆粒スティック。「では、登る前にコレ、飲んでくださいね。筋肉が疲れにくくなって、よく動けますよ」なんて、説明をしている。なるほど、まだスタートもしていないのに、すでに山の講座は始まっているのだ。今回の六甲全縦イベントでは、歩く楽しみはもちろん、山登りのノウハウまで学べてしまうのだから、参加者にとっては一石二鳥である。
 初日の行程をパートに分ければ、旗振山の山塊、須磨アルプス、高取山、菊水山といった具合になる。そして山と山の間にはいくつもの街があり、登っては下り、下りては登るを繰り返すのが、この日の縦走路の特徴だ。このなかでもクライマックスは、やはり横尾山の馬の背。アルプスを連想させる切り立った岩場の縦走路は、山歩きの緊張と喜びが感じられる場所だ。それなのに、岩場からちょっと目を外せば、そこは大都会神戸が飛び込んでくる。なんとも不思議な感覚なれど、これがほかの山域では味わえない、六甲歩きの醍醐味でもある。
 初日のチームBは、参加者メンバー全14人のうち、2名が菊水山の山頂でリタイアとなってしまったものの、残りのメンバーは無事に新神戸までたどり着くことができた。

2日目/5月18日 新神戸~摩耶山~六甲最高峰~宝塚

 なずなさんは時間をしっかりと管理していて、「あと、1分で行きますよー」とメンバーへの声掛けを忘れていない。Bチーム、なかなか快適です。それもそのはず、なずなさんが先頭に立ち、みんなのペースを確認しつつ慎重な足運びを続けている。登りと下りはかなりゆっくり、平坦地ではスピードを上げる歩み方である。これこそ、長い長い六甲全縦を歩き切るためのコツなのだ。
 でも、AからTまで全20チームもあれば、ときに渋滞は起こるもの。とくに摩耶山へと向かうジグザグの稲妻坂では、何チームもが団子になってしまい、なかなか先へと進めない場面となった。でも、そんなときに頼りになるのがおとな女子登山部のメンバーたちだ。イライラしがちなこんな場面でも、彼女たちの明るい声に癒されたオジサマ方も多かったはず。なっちゃんにあやや、まっちゃんにとのも、途中で出会ったみんなが笑顔でコンニチワ。たしかに山好きの彼女たちだけに、渋滞の時間をも楽しんでいるフシがある。参加者との山話にも花が咲いている。さすが! 
 ただ、それにしても長い。摩耶山を越え、六甲の最高峰を越えて、東縦走路に入っても、そこには「宝塚まで12km」の文字。ひぇ~。山道とアスファルトの道が交互に現われ、時間が経つにしたがって足運びもズンズンと重くなって行く。ついに、進めなくなってしまった人もちらほらと出始めた。満身創痍とまではいかずとも、どこか足を引きずりながら歩む人たちが、ときに歯を食いしばりながらも前へ前へと突き進む。なれど。
 これ、六甲全縦の魔法なんでしょうね。どんなに苦しい顔をしていても、六甲山の山頂では満面の笑みを見せるし、永遠に続くかと思われる東縦走路でも、歩き終えた先に宝塚の街並みを見れば、もう……。初日にハジメマシテのメンバーたちも、もうこの頃には長き時間を共有した腹心の友。全縦マジックですよ、これは。
 結果的に宝塚までたどり着いたのは……。途中リタイアが30人程度はあったものの、なんと全20チームが完歩に成功! おとな女子登山部メンバーとともに歩いた2日間は、大成功裡に幕を閉じたのであった。みなさん、おつかれさまでした。

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ミニ便利情報

01 六甲全縦は街の中

 じつは、六甲全縦はルートファインディングがむずかしい。至るところに「六甲全縦」の案内版は出ているものの、つい見落としてしまうと、とたんにアレレ?? となってしまう。でも、これは山の中ではなく、街の中での話。曲がり角が多いですからね、街は。看板チェックをお忘れなく!

02 水分補給には小銭を用意!

 イベント開催中の2日間はとにかく暑い日だったので、水分の摂取量はとてつもなく多かった。2ℓ入りのハイドレーションもアッという間になくなってしまうほど。でも、ご安心あれ。街に下りれば、自販機がある! なかには「歓迎! 六甲全山縦走」と応援メッセージを掲げた自販機まで発見

03 もうあかんかったら、このプレートを探せ!

 このプレートは、六甲連山の全山域に共通して設けられた「つうほうプレート」で、万が一、道に迷ったり動けなくなってしまったときに、レスキューを呼ぶ際の目印になる。掲げられたナンバーは、ピンポイントでその場所を示すもの。六甲のトレイルは歩きやすいだけでなく、安全管理も万全!

04 アスファルト歩きに耐えるべし

 六甲全縦の装備を選ぶときは、とくに足元に注意が必要となる。山歩きと街歩きが交互に現われるので、あまりに靴底が硬いと難渋することになる。ある程度はアスファルトにも対応できる程度のライトトレッキングブーツなどがオススメ。じつは今回、硬いソールを選んでしまってイタイ目に