おとな女子登山部 旅レポート 小豆島

小豆島

旅した島はこんなところ

小豆島

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 小豆島は、淡路島に次いで瀬戸内海で2番目に大きな島です。およそ3万人が住んでいますが本州や四国と繋がる陸路や空路はなく、船でなければ渡れません。必然的に船の便は発達しています。本州では兵庫県の神戸港と姫路港、岡山県の日生港と新岡山港、宇野港から、四国では香川県の高松港から、毎日多くのフェリーが出ています。
「金曜の夜中に神戸を出て、土曜の朝に小豆島に着く便があるんです」と、なずな部長が教えてくれました。関西圏在住なら、特別に休みをとらずとも週末の2日間はたっぷり島で遊べるという訳です。
 梅雨の晴れ間にこの島を訪れたのは、なずな部長、あやや、まっちゃんの3人。寒霞渓(かんかけい)から島の最高峰、星ヶ城山(816m)に向かうのんびりハイキングと島内観光を楽しもうという計画です。
 寒霞渓は日本三大渓谷美のひとつにかぞえられる景勝地です。およそ1300万年前の火山活動によってつくられた安山岩や集塊岩などの岩石が、地殻変動や浸食によって表情豊かな絶景を見せてくれます。ここから連なる星ヶ城山は、小豆島だけでなく瀬戸内海でもっとも高い山。頂上からは瀬戸大橋から明石海峡大橋まで見渡せるといいます。ふもとの紅雲亭から寒霞渓山頂を結ぶロープウェイもあります。そこから星ヶ城山の山頂に向かう道はゆるやかで整備も行き届き、山歩きに慣れていない初心者や子どもを連れた散策にももってこいです。
 島は、日本のオリーブ栽培の発祥地でもあります。ほかにも醤油造りやそうめん製造など、温暖な気候を生かした古くからの産業があり、見どころはたくさん。ゆったりした島の空気を楽しみながら、1泊2日の小さな旅を満喫しました。

コースマップ

コースマップ

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参考コースタイム


【歩行計:約2時間50分】こううん駅―山頂駅(ロープウェイ利用5分)三笠山山頂(10分)星ヶ城西峰(50分)東峰(20分)三笠山山頂(30分)山頂駅(10分)紅雲亭駐車場(50分)

旅のアドバイス

 寒霞渓から星ヶ城山までは整備された登山道です。寒霞渓ロープウェイを挟むように表12景登山道、裏8景登山道というふたつの道があり、今回は表12景を下りました。ここは舗装された道ですが、この季節は歩く人も少ないせいか、苔や落ち葉で滑りやすくなっています。足元はトレッキングシューズが安心でしょう。表12景では猿が多く見られました。とくに危険は感じませんでしたが、刺激を与えたり、不用意に近づくのはやめた方がいいでしょう。

アクセス

 小豆島へは本州側、四国側から複数のフェリーが運行しています。フェリーによって到着する港が違うので、どこから渡るかは現地での行動も考えて選ぶのがいいでしょう。島内はバスも走っていますが、本数は限られます。タクシーもすぐにつかまるとは限らないので、効率よく動きたいならレンタカーを利用するか自分の車を持ち込むのがベストです。島内には複数のレンタカー会社がありますが、時期によっては相当混み合うのでこちらも事前に予約しておきましょう。

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旅のレポート

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 北東部の吉田にすばらしい岩場があるため、小豆島は、関西圏のクライマーにはすっかりおなじみの島です。でも、今回の目的はハイキングと島内観光。海を見下ろす岩登りも魅力的ですが、たまにはのんびりするのもいいですよね。
 寒霞渓は島の中心からやや東側、島の最高峰となる星ヶ城山と四方指(しほうざし)の間に位置しています。巨岩と奇岩が連なる渓谷は、想像もつかないような長い長い年月に渡る地球の息吹がつくりあげました。そのスケールには圧倒されるばかりです。秋の紅葉シーズンが見ごろですが、新緑のこの時期もなかなかのもの。山頂駅まで、まずは5分間の空中散歩です。
 山頂駅から星ヶ城山山頂までは、ゆるやかなハイキンングコース。きれいに整備された道は、おしゃべりしながら歩くのにちょうどいい感じです。ふだんは別々の場所で働く3人、久しぶりの再会に話題は尽きません。すでに梅雨入りしており、雨こそ降らないもののあいにくのお天気。山頂ではガスが出てしまい期待した展望は望めませんでしたが、こんなときも気の合う仲間がいれば救われます。和気あいあいと、のんびりした山歩きを楽しみました。
 寒霞渓にはロープウェイを挟んでふたつの遊歩道があります。帰りは表12景を歩いて下りました。文字通り12の奇岩を眺めながら歩く道です。景勝地によくある、「○○のように見える○○岩」ってやつです。なかには無理矢理こじつけたようなのもあったりして、「似てるねぇ」とか「ないない」なんて、これまた勝手なことをいいながら歩きます。それにしても広葉樹の間を縫って歩くこの道、紅葉はさぞかし見物となるはずです。
 駐車場に戻るとちょうどお昼どき。せっかくだから島ならではのものを食べましょう。街へ下り、めざとく「そうめん」の看板を見つけると、のれんをくぐりました。1人前が300円で、大盛りはプラス100円。3人とも、迷わず大盛りを頼みます。細くてもしっかりとコシがあり、つるりとしたのどごしがたまりません。ぺろり。
 小豆島でそうめんの製造が盛んになったのは、温暖で雨が少なく、日照時間が長いという気候的特徴がそうめんづくりに適していたからです。こうした気候は塩をつくるのにも適していて、古くから多くの塩田がありました。この塩の副産物として生まれたのが醤油です。小豆島が日本のオリーブ栽培の発祥地となったのも同じ理由ですね。小さな島のなかに、いろんな魅力がぎゅっと詰まっています。
 いつもの山旅とは違う2日間を楽しんだ3人。「また来たいね」、となったのは、いうまでもありません。

  • 部長 なずな

    部長 荻野なずな
    公益社団法人「日本山岳ガイド協会」認定登山ガイド。好日山荘入社以来3度目の小豆島ですが、大学時代にお遍路歩きの経験もアリ。「歩いたり、岩に登ったり、最低でも1泊2日はほしいですね」

  • あやや

    あやや
    「小豆島は、たぶん小さい時に家族旅行で来て以来」というあややにとって、島はのんびりするところというイメージ。ふだんはしっかり歩く山行が多いけど、まったり楽しむ島旅のよさを再発見しました

  • まっちゃん

    まっちゃん
    ひと月前に吉田の岩場でクライミングをしたばかりというまっちゃん。短期間で2度目の小豆島上陸です。「寒霞渓がキレイでした。次は秋に来たいです」。そうめんのおいしさにも感動していましたよ

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オススメポイント

  • そうめん こしがあり、のどごしも気持ちいい目からウロコのおいしさ

     小豆島は兵庫県たつの市、奈良県桜井市三輪地区とならぶ、日本三大そうめん産地のひとつ。江戸時代のはじめから400年以上も続く産業で、現在も200軒ほどの製造所が稼働しています。10月はじめから3月にかけて、細くそうめんを天日で干す風景は、島の風物詩でもあります

  • 醤油蔵 土壁と蔵の杉の樽がつくるやさしい味わい

     塩づくりが盛んだった島では、その副産物としての醤油を仕込む蔵が多く生まれました。写真はヤマロク醤油の蔵。土壁と木の柱の土間で、杉樽を使って仕込む伝統的な醤油蔵は、いまは数えるほどしか残っていません。手間ひまかけてつくられた醤油は香り高く、ほんのり甘い後味です

  • オリーブ公園 穏やかな瀬戸内海の気候が育む新しい島の産業

     原産地の地中海にも似た温暖な気候によって、小豆島は日本におけるオリーブ栽培発祥の地となりました。島にはじめてオリーブが植えられたのは明治41年のこと。すでに100年以上の歴史があるのです。公園内には売店やレストランのほかに温泉もあり、ゆっくりと楽しめます