おとな女子登山部レポート降雪後の赤岳西壁主稜 2020

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投稿者
つじまい(おとな女子登山部)
日程
2020年01月30日 (木)~2020年01月31日 (金)
メンバー
他1名
天候
くもり、霧 稜線上は強風
コースタイム
赤岳山荘→(120)→赤岳鉱泉→(40)→行者小屋→(60)→赤岳主稜取付き→(6時間半)→赤岳北峰→(90)→赤岳鉱泉→(60)→赤岳山荘
コース状況
赤岳山荘に駐車(1000円/泊)
八ヶ岳山荘から先はチェーン必要
Google Map

感想コメント

1泊2日で八ヶ岳に行ってきました。
雪山バリエーションは、ほとんど初めてだという岩友達のM氏をお共に連れて行きました。
わたしは八ヶ岳の西面では、小同心クラック・阿弥陀岳北陵・中山尾根に行ったので(昨シーズン)、今回は、初めての赤岳主稜にしました。

赤岳西壁主稜は、八ヶ岳冬期バリエーションの中でも、特にやさしい入門ルートのため、休日になるといつも人で賑っています。
ただ、今回は少し前から南岸低気圧の影響で湿った雪が降り続き、コンディションは非常に悪い、ということで、敗退も視野に入れながら決行することに。

1日目は、本当はジョウゴ沢などでアイスをやりたかったのですが、おそらくラッセルで面白くないだろうということで、赤岳鉱泉のアイスキャンデーでトレーニングすることにしました。
このために太いシングルロープを担いできました。※アイスキャンデーでは直径9.5mm以上・40m以上のロープが必要。

実は、今シーズンゲットしたおニューのノミックを思う存分使ってみたかったのです。
使ってみた感想は、噂通り素晴らしいバイルでした。軽いので、思いっきり振っても疲れにくいです。そして軽く振ってもしっかりと刺さってくれます。登れるグレードがひとつ上がったような感じがしました。
だいたいのバイルは男性用に作られているので、ハンドル部が大きいことが不満だったのですが、ノミックはハンドルの調整が3段階でできるのもよし☺
パワーのない女性に特にオススメです!

2日目は、夜明け前から出発し、行者小屋から文三郎道へ。
森林限界を越えると、急にトレースが乏しくなり、ラッセル状態になりました。
降雪後はほとんど人が入っていないのでしょうか。
文三郎道の途中から左へトラバースし、取付きになるのですが、霧でよく見えず、取付きを探して少し時間がかかりました。

まずは、トラバースが初めの核心といわれますが、雪崩が心配になるほどの雪で、膝くらいの雪をトラバースしていきます。
念の為ロープをだしていたのですが、M氏のビレイ準備が遅すぎて待ちきれず、そのままロープを持って歩いて行きました。
先が思いやられるわね・・と思いながらも、今まで何度も写真で見ていたチョックストーンを目の前にすると登らずにはいられません。

岩にびっしりついた雪を払うも、たくさんあるはずの残置が見つからず、お守りにもってきたキャメロット2番をさっそく使うことになりました。
下部は女子が得意な手で押すムーブで解決したものの、岩の上はサラサラの雪が積もってバイルの効きが微妙。のっこしがこわかったです。
1ピッチ目が一番の核心といわれる赤岳主稜ですが、この日のようなバッドコンディションだと個人的には一番やさしいピッチに思われました。

2ピッチ目はM氏のリード、3ピッチ目はわたし・・とできるだけツルベでいきました。
ルートファインディングがまだまだで、支点構築もできてない、遅いM氏ではありますが、なぜかドラツーが天才的な上手さ。笑
かなり強点をついたラインで攻めて行っており、フォローで登るのが大変でした。
そして、全くランナーをとらずに登りきり私に怒られました。

基本的には岩がほとんど雪でうもれ、ホールドスタンスを掘り出し、運がよければ残置ピトンが見つかるような感じでした。
一日中、天気もよくなく、霧で見えなかったり、風と低温で厳しい寒さでした。
ただ、赤岳主稜が、自然で弱点をついたルートのためわかりやすく、なんとなくこっちかな、という感じで行くことができました。
下部・中間・上部と岩場のポイントが3つあり、ふつうの雪の状態ではそこが核心となるのですが、今回のような雪の量だと、岩の間にある雪稜が非常にやっかいで、雪が締まっていないので雪崩はもちろんのこと、雪の下の岩にも常に注意が必要でした。

自分がしっかりしないといけないので、精神を研ぎ澄まして、慎重に登りすすめました。
最終ピッチ(8ピッチ目)は少し迷いながらも、最後の核心であるチムニーにたどり着きました。
ここではキャメロット1番2番を使いました。
ロープをほとんどいっぱい使ってのばし、長い時間ビレイをしてくれたM氏を迎えました。

あとは、山頂までコンテで一気に登ります!ラッセルで最後まで疲労させてくれました。
最終的に取付きから稜線まで6時間半と、標準タイムの2倍かかってしまったのですが、登れてよかったです。
この日、壁にいたのは私たちだけのようでした。

余談ですが、お店で流しているDVD「ヤマケイアドバンス山岳ガイド冬の八ヶ岳Ⅱ」の中で赤岳主稜のガイドとして出演されている加藤美樹さんに赤岳鉱泉でお会いしました。
憧れの方だったので、うれしくて、DVDを見て勉強し今日初めて赤岳主稜に登ったんです、と声をおかけしました。
このコンディションはイヤだよね、と美樹さん。かっこよく、素敵な方でした(^v^)

フォトギャラリー

バリエーションルートから山頂へ

荷揚げ、今回も重いけどがんばります

赤岳鉱泉アイスキャンデー

おニューのノミック

攻撃的なラインを楽しむ

キムチ鍋と赤岳鉱泉のヨナヨナビール

想像以上に雪深い

取付きを見て、かなり厳しそうだと思いました

1ピッチ目、チョックストーンを越える

フォロービレイ中

2ピッチ目、よくわかんないとこを上がるパートナー

4ピッチ目雪稜

5ピッチ目、中間岩場。岩を掘り出しました

6ピッチ目雪稜

7ピッチ目岩場トラバース

8ピッチ目上部岩場、チムニーから這い出ました

8ピッチ目上部岩場、南の稜線、雪がべっとりです

コンテで稜線まで

稜線に出た時の喜びといったらもう!

下山

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