おとな女子登山部レポート剱岳 長次郎谷から北方稜線へ
- 投稿者
- つじまい(おとな女子登山部)
- 日程
- 2020年08月06日 (木)~2020年08月08日 (土)
- メンバー
- GRなんば 岡見
- 天候
- 一日目 晴れ 二日目 雨 三日目 強風
- コースタイム
- 一日目 室堂~剱沢~熊の岩 7時間
二日目 熊の岩~池ノ谷乗越~チンネ取り付き~池ノ谷乗越(ビバーク) 8時間
三日目 池ノ谷乗越~北方稜線~剱岳~剱沢~室堂 11時間半
- コース状況
- 長次郎谷雪渓は、出合いから崩壊しており、通行は困難です。
自己責任で右のガレ場から無理やり巻いていきました。
他にも上部で大きなクラックがあり、自分でルートを判断できないと厳しいです。
剱沢に常駐の警備隊員に注意点をお聞きしてから入りました。
チンネ取り付きまでは、雪渓をトラバースし、取り付きの手前で岩に移りました。
アイゼン、ピッケル必要。
テント泊装備とクライミングギアを背負っての長時間行動で、気力・体力が必要です。
感想コメント
前々からの目標であった「チンネ左稜線」を登りたくて、グラビティリサーチの岡見さんを誘って行きました。
結果的には、悪天候で途中敗退となりましたが、いい経験になったのでレポートを残しておこうと思います。
一日目は、計画では2パターンのアプローチ方法を考えていて、①長次郎谷雪渓か②別山尾根から北方稜線経由か。
今年は早くから雪渓の状態が悪いという情報を得ていたので、前者の方法を考えていました。
実際に剱沢まで行き、警備隊の方にお話を伺うと、通行は困難であるがクライマーなら入っている人もいる、というだったので、熊の岩まで行くことにしました。
初めての長次郎谷で、出合いから雪渓が完全崩壊し、ガレ場をピッケルとアイゼンを駆使しておそるおそる足元を崩しながらトラバースしていきます。
ワンミスで沢にドボン、さようなら(;_;)ですので、慎重に行きます。
その後は、ひたすら長い登りで、初めての雪渓だという岡見さんは、本当につらそうでした。
熊の岩まで必死でたどり着くと、他に3パーティだけで、静かで快適でした。
二日目は、長次郎谷の下りが危ないからやめようとなり、チンネ登攀後、本峰経由で剱沢に下りることにしました。
なので、稜線までは重い荷物を全て背負っていかなければならない。
さらに悪天候で、濃いガスの中、雪渓を登っていくと、いきなり目の前のクラックに阻まれたりとヒヤヒヤさせられ、夜明け前から神経をつかいました。
池ノ谷乗越にザックをデポし、クライミングギアだけ持ってチンネへ行きました。
浮石しかない池ノ谷ガリーを下っていき、三ノ窓から迷いながらもなんとかチンネ取り付きへ。
やっと着いたと思えば、大粒の雨が降ってきました。
ただ、ここで敗退するのは悔しすぎるので、滝のように水が流れる凹角を1ピッチずつリードをし、懸垂2回で戻りました。
堡塁岩のⅣ級よりは、かなりやさしく感じました。
雨の中でも登れないことはなかったのですが、低体温症がこわいので相談し途中でやめることにしました。
池ノ谷乗越まで戻ってくると、さらに天候が悪化してきたので、これ以上動かずここでビバークすることにしました。
幸いにも池ノ谷乗越ではスマホの電波が入り、この先の天気予報などを知ることができ、また、剱沢小屋にいる友人にも一報を入れることができました。
三日目が、試練の一日となりました。
雨で濡れた北方稜線を3m先もよく見えない中歩くことは相当に厳しかったです。
初見なので、慎重にならざるを得ず、ロープを出す場面も何度かありました。
長次郎の頭からコルまでは、懸垂下降を2回しました。
コースタイムの2倍はかかりましたので、剱岳の山頂にたどり着いたときは本当にホッとしました。
別山尾根を下りて、剱沢小屋の友人の篤志君に会いにいきました。
大変だったよーというと、知ってる(笑)という篤志君らしい返事で、和みました。
この時点で足は終わりかけていましたが、最後の力を振り絞って、なんとか室堂まで戻り、最終のひとつ前のバスに乗ることができました。
今回の山は剱岳の厳しさを知るいい経験となりました。
かなり厳しい登山となりましたが、一度のケンカもなく励まし合いながら無事に下山できたのは岡見さんのおおらかな性格のおかげだと思います。ありがとうございました!