おとな女子登山部 登山レポート 白山

白山白山

登ったのはこんな山

白山

 霊峰白山。白山は、よくこんな呼び名で呼ばれています。それもそのはず、白山は富士山、立山と並ぶ「日本三霊山」として知られている山であり、古来から信仰の山としての位置づけがなされてきたからです。山頂直下には、白山信仰の総本山・白山比咩神社の奥宮が祀られており、白山に登ることは今でも「登拝」という表現がされることがあります。
 このように信仰の山ではありますが、その山容の奥深さ、自然度の高さにも定評がある山です。高山植物の名前に「ハクサン」と名の付く花が多いのは、そもそもこの地に高山植物の調査隊が入っていたことにも一因していますが、それは、白山にたくさんの花々が咲き乱れる証拠でもあるのです。ハクサンコザクラ、ハクサンフウロ、ハクサンチドリ、ハクサンイチゲなど、夏のシーズンともなると山上には色鮮やかな花々が咲き乱れています。
 今回、おとな女子登山部のメンバーが歩いたのは、白山登山のなかでもメイントレイルとも言えるルートで、西麓にある別当出合を起点に砂防新道から黒ボコ岩、弥陀ヶ原、室堂を経て、主峰の御前峰へといたります。健脚であれば、日帰りでのピストンも可能ではありますが、時間的に余裕があるなら、御前峰直下にある山小屋「白山室堂」に一泊をして、翌朝の御来光を見るようなプランを立ててみるのもいいですね。が、実のところ、今回のおとな女子登山部の白山登山では、別当出合から御前峰を一日でピストンしています。その理由は、さて……。

コースマップ

白山コースマップ

参考コースタイム


往路計:約4時間40分
別当出合(2時間20分)甚之助避難小屋(1時間10分)黒ボコ岩(30分)白山室堂(40分)白山・御前峰

復路計:約2時間50分
白山・御前峰(30分)白山室堂(20分)黒ボコ岩(40分)甚之助避難小屋 (1時間20分)別当出合

山行アドバイス

 別当出合から黒ボコ岩をつなぐ砂防新道ルートは白山登山のメインルートだけに、整備はすみずみまで行き届いています。とくに危険な箇所はないものの、季節が早いと黒ボコ岩から上では雪渓が
残っていることもあります。ご注意を。要所要所に水場やトイレがあり、初心者でも安心して歩けるルートです。

アクセス

 別当出合までのルートは、登山シーズン中、週末にマイカー規制を実施しています。その場合は、手前の市ノ瀬にて車を止めてシャトルバスに乗り換えて、別当出合へ。また、白峰から市ノ瀬をつなぐ林道「白山公園線」は、悪天時に通行規制が入ることもあります。公共交通機関を利用の場合は、金沢駅から北陸鉄道の「白山登山バス」が運行されています(ただし、10月22日現在、2013年シーズンの運行は終了)。

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登ったメンバーのこの4人

部長 荻野なずな

なずな  

あやや

あやや

 好日山荘の「おとな女子登山部」のリーダーを務めるバリバリの山ヤさん。実は、公益社団法人「日本山岳ガイド協会」の認定ガイドです。今回の白山は自身3度目の登頂。曰く「3回目の白山にして、はじめて山頂から絶景を拝むことができました!」とのコメントです。また、「次回は、秋にチブリ尾根からブナ林と紅葉を楽しみに、また来たいですね」と、4回目の登頂予告までしてくれました。

 山登り歴約2年半のあややさん。クサリやハシゴなどがあるアドベンチャーなコースがお好きとか。山行のお楽しみは「食」。さすがはおとな女子です。コメントは、「地の物や名産品を食べるのが好き。白山は今回がはじめて。最初はすっきりとしないお天気でしたが、室堂からはお日さまが顔を出し、絶景を望めて気持ちがよかったです! 老若男女いろんな方が登られているのが印象的でした」

 

まっちゃん

まっちゃん  

なっちゃん

なっちゃん

 白山ははじめてのまっちゃんは、この登山を本当に楽しみにしていた様子。雨に足止めされつつも、頂上まで登れたのがとてもうれしかったようです。ただひとつ。モヤモヤ感があったそうです。「頂上の神社で、おみくじを引いたんです。結果は『吉』。まぁまぁと思っていたら、恋愛→此方が進んでも、先方がためらっている。待人→此方があせるのに、相手がぐずつく。えー!! 別にいいんですけど!」

 関東出身のなっちゃんにとって白山は「アルプスより遠方の山では、はじめての百名山!」だったそうです。「天候不順で日帰りの登山となってしまいましたが、評判のお花畑や山頂からの絶景など、めいっぱい白山を楽しむことができました!」と喜びのコメントをいただきました。「次に登るときには、今回できなかったテントを背負って登りたいと思います!」。テント泊で白山!! リベンジですね。

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白山の思い出に残ったこのワンシーン

なずな

加賀百万石

 山に行くと温泉や食べ物など、その土地のものが楽しめることも大きな魅力です。今回は、金箔入りの日本酒とイカの一夜干し。北陸金沢のテッパンです。地の物どうしなので、相性も抜群。山でこういう楽しみ方ができるのは、最高の贅沢だと思います。

あやや

女子2人で絶景!!

 白山の山頂は、昨日までの雨もどこへやら、スッキリと晴れわたり、視界は360度の良好☆ 山では、空気の温度や雲のかたちなど普段意識しないものにとても敏感になります。山頂で思わず童心に帰って、「ヤッホー」と大きな声で叫びたくなりました。

まっちゃん

みんなでごはん

 今回は雨降りのため、惜しくも山上でのごはんとはなりませんでしたが、麓のキャンプ場で楽しみました。野菜、米、ガスコンロ、食器などなど荷物は多いけれど、ワイワイしながらつくるごはんは大好きです。みんなで食べるごはんはやっぱりオイしい!!

なっちゃん

カフェ☆

 晴れ待ちの初日に立ち寄った白峰の雪だるまカフェ。ゼリー好きの私の目にとまったのは、100円の「赤しそゼリー☆」。お店で手づくりされたゼリーはほどよい甘さがあり、下山後にもう一度、食べたい一品でした。白山登山の際はぜひご賞味くださいね!!

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おとな女子登山部はじめて登るのは白い山

豪雨もなんの、わたしたち「おとな女子登山部」

 発足したての好日山荘「おとな女子登山部」。最初の部活動の場所に選んだのは北陸の白山。むかしから山岳信仰の対象として名を知られた日本三霊山のひとつです。今回のメンバーは部長のなずなさんを筆頭にあややさん、なっちゃん、まっちゃんの計4名。登山シーズンまっただ中の8月初頭。金沢から登山口の別当出合を目指したのです。ただ、タイミング悪く、北陸一帯は集中豪雨に見舞われていました。登山口までの道路は封鎖。麓の白峰という集落で足止めを食ってしまうことに。天気は翌日から回復の兆し。まずは腹ごしらえを済ませて温泉に入り、キャンプ場で登山計画の見直しをすることにします。結果、当初の予定であったテント泊はあきらめ、日帰りで別当出合と山頂の御前峰のピストンをすることに決まりました。

雨上がりの白山、大人気の巻

 翌朝、曇天ながらも雨は上がりました。登山口までの道路封鎖も解除。ハイシーズンでマイカー規制があるため、市ノ瀬でバスに乗り換え別当出合まで。バスは満員で、白山の人気の高さがうかがえます。登山口にある鳥居をくぐればすぐに吊り橋。ギシギシ、ワイヤーをきしませながらおとな女子登山部の4人は砂防新道経由、いざ御前峰をめざします。

眼下には昨日までの大雨でかさを増した濁流。一同息を飲みました。しばらくすると、今度は登山道の渋滞に遭遇。止まっては歩き、歩いては止まるを繰り返します。雨がやむのを待って白山に登るのを楽しみにしていた登山客たち。やはり、白山は北陸を代表する名山なのです。少しすると渋滞は解消しました。ときおり陽の差すブナ林のなかの登山道はきれいに整備され、登りはいたって快調。中飯場、甚之助避難小屋とコースタイムより早めに通過していきます。そのあたりから樹林帯を抜け、視界がひらけはじめました。

魅惑のお花畑へ、おとな女子は進む

 まだ若干ガスが残り、展望は期待できませんが、あたりは幻想的なお花畑。色とりどりの可憐な花のなかを登っていきます。「女子とお花」なんともメルヘンな組み合わせ! とは言ってもおとな女子登山部は抜かりなく、颯爽と高度をあげてゆきます。もちろん、高山植物の写真撮影にも余念はありません。そう、白山は高山植物の群生地としても名を馳せてい

るのです。「ハクサン」の名を冠した植物も数あります。涼しい空気を吸い込みながらつづら折れの登山道をズンズン登っていくと、スッと平らな弥陀ヶ原に出ました。原野の向こうに伸びる木道。その先には真っ白な水尾根雪渓がまぶしく光っています。そして、ハイマツの間を縫う五葉坂を登り切れば、そこが室堂。750名もの登山客を収容できる大きなビジターセンター。その赤い屋根が、急に目の前に姿を現したのです。

山頂で最高の俯瞰、登山部の明るい予感

 室堂から白山の最高峰、御前峰まではあとひと登り。すぐに歩きはじめる4人。山頂までは石畳の階段が続いています。由緒あるお山らしく、普段は御来光を拝みにくる登山客がほとんど。夜明け前は山頂まで列をなすヘッドランプの光の帯ができるそうです。しかし、お昼時のこの時間帯でも山頂をめざす登山客の姿は多く見られます。

おとな女子登山部の4人も最後の登りを急ぎます。スーッと風が吹き、今までたちこめていた白いガスが晴れ、雨に洗われた大気が前方の御前峰の姿をくっきり見せてくれます。右に左に石畳を登っていくと、また新たな鳥居がすっくと立っているではないですか。白木でできたお社で手を合わせると、少し上には御前峰2702mの石碑が見えます。4人そこに立ち、ぐるりを見わたします。遠く、槍ヶ岳、木曽の御岳、そして反対側には日本海までの展望がひらけています。「わー……」満足の嘆息が、みんなののどからもれています。初日こそ雨にたたられたものの、この快晴、眺め、そして達成感。おとな女子登山部の前途は、かなり明るいようです。

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おとな女子登山部部長なずなさんの白山登山ギア

ギア

 今回の白山登山に際し、事前におとな女子登山部部長であるなずなさんの装備を紹介してもらいました。「今回の登山では、みんなで料理をして絆を深めたいと思いました。なので、かさばる調理道具や調味料は部長であるわたしが持つことにしました。そのかわり、食材はみんなで分けるというスタイルです」。装備のなかでとくに目立つのは調味料の豊富さ。やはり、食べることの大好きなメンバーのことを考慮した結果なのでしょう。