おとな女子登山部 登山レポート 立山・室堂

立山・室堂

登ったのはこんな山

立山・室堂/雄山

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トロリーバスからケーブルカーやロープウェイ。いろんな乗り物を乗りついで乗りついで、ポンと表に出たらそこは標高2,450m。周りを取り囲むのは標高3,000mクラスの山々。そして澄み渡る空気。気がついたら、いつも頂上だ〜!って喜ぶ高さよりも、もっと高いところにいる。そのことが不思議な気持ちになる山です。

おとな女子登山部が秋の山行として選んだのは「草紅葉(くさもみじ)」のある景色。標高の高い山は樹木ではなく、草花が紅葉します。そんな、足もとが赤や黄色に色づく高山ならではの景色のなかを歩こうというのが今回の狙いです。最終目的地は草紅葉で有名な五色ヶ原。室堂を起点にした縦走を楽しんできました。

が、すでに室堂だけで、誰かに伝えずにはいられないすばらしさ。3,000m近い標高とあって山々は険しくそそり立ち、岩は荒く、山の峰は延々と遙かかなたまで続きます。その景色を見ているだけでも感動。山好きになったことよりも、ここに来れる自分自身をちょっぴり誇らしく思うほど。だって、山が好きじゃなかったら絶対にこの風景にはめぐり会っていませんから。

あまりにすばらしい景色だったので、今回は室堂エリアだけを先行してお届けします。歩き応えもある険しい表情の山々、たおやかな表情のみくりが池、そして地獄谷を源泉とする湯量豊富な温泉など。実際に来てみたら、室堂エリアだけでもじゅうぶんに満足。立山って、そんな山でした。

コースマップ

立山コースマップ

▲クリックで詳細なマップを表示

参考コースタイム


【往路計:2時間】
室堂バスターミナル(10分)室堂山荘(50分)一ノ越山荘
(1時間)雄山

【復路計:1時間30分】
雄山(40分)一ノ越山荘(40分)室堂山荘(10分)
室堂バスターミナル

山行アドバイス

11月末から翌年4月上旬まで、立山は雪のため閉鎖。山歩きを楽しめるのは雪解けのすすんだ6月下旬から10月中旬までになります。室堂周辺は散策路も整備されていて、ローカットのシューズでも歩けるほど。ただし、一ノ越を超えて雄山にいたる登山道は浮き石も多く、斜度があって険しくなります。

アクセス

立山歩きの起点は室堂。一般車の乗り入れ不可で、立山黒部アルペンルート(12月1日〜4月9日までは冬季休業)を使ってアクセスすることになります。ルートは富山県側からと長野県側からの二つ。富山県側は富山駅から富山地方鉄道約1時間で立山駅へ。そこから立山黒部アルペンルートに乗り換えて2時間強。長野県側は信濃大町から路線バス40分で立山黒部アルペンルートの扇沢駅へ。室堂までは約2時間です。

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メンバー4人の室堂記念

部長
荻野なずな

 

「おとな女子登山部」の部長をつとめるなずなさんは、公益社団法人「日本山岳ガイド協会」認定のガイド資格を持つ山やさん。荷物のまとめかたもスッキリ上手。余裕の足運びはリーダーとしても頼りがいあり!


想定外の組み合わせ!

 山歩きのあとは、文明のありがたさもひとしお。特にひと汗かいたあとのご褒美は格別です。とは言え、との&まいまいは生ビールにソフトクリームという、下界では考えられない組み合わせ。そんなに冷たいものに飢えていたかと、感心するやら笑うやらでした。

まいまい

 

山歴3年半で立山は4回目というから、すでに年中行事。「今までは残雪期ばっかり。初の雪のない立山でした。白い雪が残る立山もですが、紅葉する立山もキレイ! 今度は夏の高山植物の時期に来てみたいです」


朝食がこの豪華さ!

 今回泊まった「みくりが池温泉」は食事がおいしくてビックリ。夕食は旅館のような豪華さだし、朝食はビュッフェ形式。和食も洋食も自由に選べるし、品数多くて最高! もちろん朝からおかわりしちゃいました。元気に歩けたのは、このごはんのおかげです。

まりっぺ

 

途中にブランクがアリながらも、山歴は12年。「ロープウェイに乗って、あっという間にダイナミックな景色に出会えてしまう。立山はお散歩だけでも大自然を満喫できます。なかでもみくりが池の美しさは印象的でした」


コンパクトで快適

 みくりが池温泉は山小屋って聞いてたんですが、嬉しい予想外。 相部屋とはいえ一人一人のスペースはカーテンで仕切られていてプライバシーもバッチリ。お布団もふかふかの超快適空間。お風呂は気持ちいいし、山を歩きに来てるとは思えない心地よさでした。

との

 

山歴5年ながら、立山はこれで6回目という立山リピーター。「ツアーの方から本格的なクライマーまで、誰でもがそれぞれの『山』を感じられる場所だと思います。その自然の雄大さには、来るたびに感動させられます」


この風景は感動モノ!

 雄山からの眺めは絶景そのもの。山肌にモザイク模様の絨毯を敷き詰めたような風景。そこに雲がどんどんわき上がってきて、山の向こうを流れていきます。その雲で夕日はハッキリしなかったけど、空を染めながら沈んでいく様子をぼーっと眺めちゃいました。

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語りたくなる室堂の3つの魅力

point2 アルペンルートで雲上へひとっ飛び

 とにかく山が深い。細い山道さえつくることが難しい険しさは、人の手が入ることを拒んでいるかのよう。そんな立山へのアクセスも、今や立山黒部アルペンルートでラクラク。というのもルートのうち長野県側、トロリーバスが走る「黒部ダム〜扇沢」の区間は黒部第四ダム建設資材運搬のためにつくられたルート。バスを降りれば、そこには7年もの歳月をかけて竣工した「黒部ダム」の端っこ。ケーブルカー乗り場までダムの堤体の上を歩くと、こんな山のなかにこんな大きなものを! という驚きが、ゆっくりと圧力を持って押し寄せてきます。自然の深さ、人のちから。さまざまな感動に包まれながら2時間強。いくつもの乗り換えを経て、ルートは室堂にいたります。

立山黒部アルペンルート
www.alpen-route.com/

 

長野県側からのアプローチでは周囲の景色を楽しみながら、黒部ダム上の徒歩移動も

 
 

左/黒部ダムをわたったあとはケーブルカーで黒部平まで 右/黒部平と大観峰をむすぶロープウェイ。黒部湖を見下ろしながらの空中遊覧は、このルートのハイライト

point2 散策気分でダイナミックな景色に出会える

 「立山」は前回、おとな女子登山部が訪れた「白山」、富士山とともに「日本三大霊山」と称されることもある山です。とはいえ、じつは「立山」という山はなく、雄山(3,003m)・大汝山(3,015m)・富士ノ折立(2,999m)の三峰を総称したもの。3,000m級の峰が壁のように続く風景は、昔から山岳信仰の対象としてあがめられていたことを納得させるにじゅうぶんな厳しさと雄大さです。立山の魅力はなんといってもその雄大な風景。雄山への登山は急坂ですが、それだけに頂上からの高度感に溢れた風景の広がりは格別。自分がいた道などが箱庭のように一望できます。さらに空気が澄んでいるからこそ、景色の遠近感が乏しくなる。そんな不思議な体験もできますよ。

 

左/室堂周辺の散策路は石とコンクリートで整備されている。奥に見えるのが雄山。ここからほぼ500mの標高差を登る 上/雄山からの眺め。険しい山々が延々と連なっていく。登山道に斜度があるので、眺望の広がりはすばらしい 下/雄山山頂の雄山神社で

point3 夜は身体に染み入る山中の名湯へ

 室堂周辺には何件かの宿があります。なかでもみくりが池温泉は、日本一高所の天然温泉として知られる宿。なにしろすぐそばにある地獄谷から源泉を引いて、そのまま掛け流し。山歩きをしたあと、ゆっくりお風呂に浸かるという贅沢を楽しめます。もうひとつみくりが池温泉が人気なのは、その食事の豪華さ。食卓には鍋や焼き物だけでなくお刺身まで、7〜8種類のおかずがズラリと並びます。さらに朝食もボリュームたっぷり。夕方にはテラス席で夕日を眺めて一日の山行を語り、夜には信じられないほどの数で空を埋めつくす星を見上げながら、翌日のルートを思うなどなど。温泉は日帰りでも入浴できますが、是非とも泊まって、そのすべてをゆっくり楽しんでみたい宿です。

みくりが池温泉
www.mikuri.com/

 

宿泊者は朝8時〜朝9時以外は23時間入浴可能。チェックアウト日も無料で入浴可

 
 

左/この日の夕食はきのこ鍋中心。ムニエルやスモーク鴨も並ぶ豪勢なもの 上/立地はみくりが池のすぐそば。奥に見えるのは大日連山 下/相部屋はカーテンで仕切るつくり。一人一畳が確保されているのでじゅうぶんに快適。人数がまとまれば個室利用も可能

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