おとな女子登山部 登山レポート くじゅう

くじゅう

登ったのはこんな山

くじゅう

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 好日山荘「おとな女子登山部」が冬の山行として今回選んだのは、山好きなら一度は訪れてみたい!と、きっと誰もがあこがれる南方のあの山。

そう、九州きっての人気登山エリア、大分県の「くじゅう」です。

阿蘇くじゅう国立公園の北部に連なるくじゅう連山は、1,700m以上の山が10座あり、「九州の屋根」とも呼ばれるエリア。もくもくと白い噴気を挙げる温泉地を山麓に抱き、主峰・久住山(1787m)や、九州本土最高峰の中岳(1791m)、東部の名峰・大船山(1786m)といった山々が一帯に鎮座しています。そしてそれらのピークや稜線からは、飯田高原ののびやかな草原が見渡せ、また由布岳や阿蘇五岳が望めるとあり、登山シーズンには九州内から(遠方からも!)山好きがぞくぞくと集まってくるというわけなのです。

 

さてそんなくじゅうですが、私たちが訪れた時期は夏山とはまた様相を変え、霧氷の白さをまとう冬の装いとなっていました。

登山口・長者原から雨ヶ池越、坊ガツルを経て、大船山を目指した今回の山行。登山客は少なく、静寂を楽しむような山歩きでしたが、その分、山の風景が際立つ時間に。冬らしい枯れ色の大湿原は北風を受けて植物の葉先を揺らし、大船山では清々しいほど白く輝く霧氷が青空に浮かび上がっていました。これらの行程はくじゅう登山のなかでも1、2を争う人気ルートで、健脚であれば日帰りのピストンも可能です。が、1泊2日のプランに決めたのは、やはり「法華院温泉」も大きな理由のひとつでしょう。大船山の山頂付近では冬山の厳しい一面も味わった私たちでしたが、そんな1日の疲れは山麓で待つ"いで湯"へ静かに溶けていきました。

1泊2日で訪れた山行の詳細は、12月に全国の好日山荘で配布予定の『GUDDÉI Research 2014 winter 』でお届け。今回は3名の登山部メンバーのイチオシ情報と、「くじゅう」だけに、9つのミニコラムでお楽しみください!

コースマップ

くじゅうコースマップ

▲クリックで詳細なマップを表示

参考コースタイム


【往路計:4時間55分】
長者原登山口(40分)指山自然観察路分岐(30分)雨ヶ池越(40分)法華院温泉(1時間30分)段原(20分)大船山(15分)段原(1時間)法華院温泉
【復路計:1時間30分】
法華院温泉(40分)雨ヶ池越(20分)指山自然観察路分岐(30分)長者原登山口

山行アドバイス

毎年11月中旬ごろ、くじゅう連山は初冠雪を迎えます。冬季は雪が常に積もっているわけではありませんが、登山道の日陰や山の上部は雪などが凍って残ることがあるため、軽アイゼンが必要となります。長者原から法華院温泉の間はアップダウンは少なく比較的に安全ですが、大船山を目指す場合はピッケルも装備すると安心です。

アクセス

電車+バス:JR久大本線「豊後中村駅」下車、日田バス「くじゅう登山口・牧ノ戸峠行き」バスで約50分。マイカー:福岡方面より/大分自動車道九重ICから飯田高原中村線40号線、田野庄内線621号を経由し、約30分。大分方面より/大分自動車道湯布院ICから「やまなみハイウェイ」を経由して約30分。阿蘇方面より/JR宮地駅から「やまなみハイウェイ」を経由して約40分。冬季はチェーンまたはスタッドレスタイヤを装備のこと。

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メンバー3人のくじゅう記念

部長 荻野なずな

「日本山岳ガイド協会」認定の登山ガイドであり、好日山荘「おとな女子登山部」の部長を務めるなずなさん。くじゅうは二度目とのことですが、前回は大雨にやられたそう。今回は個人的なリベンジでもあります!


ほほ笑ましいふたり

 いつも元気いっぱいななっちゃんと、ニコニコ笑っているまっちゃん。普段は部署や店舗が違うため、なかなか一緒に山歩きに行けないのですが、訪れた今回のくじゅう2日間でこのふたりには本当に癒されました。そして晴れてよかった!

なっちゃん

 登山歴4年のなっちゃんは、「前から九州のくじゅうは来てみたかった山だったんです」と、山麓から興奮気味。スラリと手足が伸びる立ち振る舞いの美しさは、山の上でも健在なのでした。


日本とは思えない景色!

 今回は雪のくじゅう連山を歩きに来たのですが、最後の最後で感動したのが砂礫の北千里浜。なんだか荒野のようなこの場所は、日本とは思えない不思議な雰囲気に満ちていました。歩く山ごとにお顔の違うくじゅう連山……ハマりそうです!

まっちゃん

 小柄な身体で大きなバックパックをたくましく背負う、笑顔が印象的なまっちゃん。「初日の大船山は強風で極寒でしたが、山頂を踏んだらそんなマイナスな感情はどこかへ吹き飛びました。登れてよかった!」


豪華な山荘の夕ご飯

 確実にくじゅう歩きの魅力のひとつである「法華院温泉山荘」は、温泉だけでなく、じつは夕ご飯もすごい。おでんにそば、野菜の和え物やおひたし、お漬物……と豪華でビックリ! 個人的には、大分の名物でもある鶏の唐揚げがおいしかったなぁ。

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くじゅうの9つのステキ

point1 なんといっても法華院温泉!

 くじゅう連山の山塊に湧く「法華院温泉」は、九州の最高所にある秘湯として山好きに親しまれてきた通年営業の山宿です。自慢の浴室からは湿原「坊ガツル」や大船山などが一望でき、温かい食堂でビール片手にリラックスする湯上がりの時間はまさに格別! 最短ルートでは、登山口からはゆっくり歩いても2時間ほどです。

point2 国内最大級の中間湿原

 法華院温泉のそばには、中間湿原として国内最大級の希少な湿原「坊ガツル」が。山裾に広がるのびやかな景観は、毎年春に行われる地元有志による野焼きで維持され、登山口のある長者原のタデ原とともにラムサール条約登録地でもあります。キャンプ指定地でのテント泊も人気があります。

point3 次々と変化する山の風景

 風景が次々と変化するのもくじゅう登山の醍醐味。樹林帯や湿原のほか、荒涼とした火山地帯、アルパイン的な岩稜帯、山肌を草原が覆うのびやかな高原など、短い山行であっても濃密な時間となります。

point4 日帰りハイキングも楽しい

 山中に泊まる山行もオススメですが、長者原から法華院温泉まで、あるいは牧ノ戸峠から久住山や中岳まで……など、主要な登山口から代表的な人気スポットまで日帰りで往復することもできます。九州きっての登山エリアということもあり、道の整備もしっかり行き届いています。

point5 冬は霧氷観察も

 国内では南方に位置するくじゅうですが、冬はときにマイナス20℃にまで達することもあるという厳寒な自然環境をもつエリア。そのくじゅうを真っ白に染める雪や霧氷の幻想的な世界をひと目楽しもうと、じつは冬山登山でも多くの人が訪れます。山の上部には立派なエビのしっぽがビッシリ!

point6 楽しい登山口

 くじゅう登山の玄関口、長者原には周辺の自然に関する情報の展示施設「長者原ビジターセンター」が。連山の地形模型や動植物のパネル展示など、下山後に復習を兼ねて訪れても楽しい。近くには足湯も!

point7 名湯ぞろい! 山麓のいで湯

 全国でももっとも多い源泉数を誇る「おんせん県」大分。くじゅう山麓もその例外ではなく、さまざまな泉質を持つ温泉が九重町だけでも11もあります。写真は黄金色のお湯と天然湧水を使った料理が自慢の「筌の口温泉 新清館」(登山部が前夜に宿泊)。一帯は地熱発電も日本一なんです!

point8 山麓ローカルグルメ

 山や温泉もさることながら、食の満足度も非常に高かったくじゅう訪問。とり天やとり飯、唐揚げ、だんご汁。さらには、熊本名物の馬刺しや、宮崎名物チキン南蛮などなど、下山後も胃袋は気を抜けません!

point9 本州から2泊3日プランで!

 遠いと思いがちな九州・大分ですが、実は週末プランも可能。博多や別府、阿蘇方面からいずれも入山当日の朝にレンタカー(または電車、バス)でアクセスできるため、金曜の夜の飛行機で九州に入っておけば、短期間で楽しんで帰ることもできますよ。最近はLCC(格安航空会社)のフライトも増えつつあるので、とても便利です。