おとな女子登山部 登山レポート 荒川三山

荒川三山

登った山はこんな山

荒川三山

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 この夏おとな女子登山部が向かったのは、南アルプスのなかでもより山深い、南部に位置する荒川三山。悪沢岳(東岳)(3141m)と中岳(3084m)、前岳(3068m)の3座のことで、あわせて荒川岳とよばれています。椹島を拠点に千枚岳(2880m)、赤石岳(3121m)とあわせて訪れる人気コースを、反時計まわりで歩きました。
 千枚小屋の周辺や中岳と荒川小屋の間などでは、広大なお花畑が見られます。また、悪沢岳の南西面や中岳~前岳の南面のカールなど、氷河地形もあり、稜線を歩けば、あらゆる場所から富士山が! そして、南アルプス南部の山々が間近に見わたせます。
 山深いとはいえ、コース上に山小屋やキャンプ指定地が多いのも魅力でしょう。今回は、山中の山小屋で2泊、初日と最終日は椹島でテント泊(計5日間)のゆったりプランにしました。2014年の夏は天気のすぐれない日が続きましたが、今回の山では一度も雨具の出番なしというラッキーぶり。笑顔の絶えない山行になったのでした。
 詳細は、来年6月に全国の好日山荘で配布予定の『GUDDÉI Research 2015 summer 』でご紹介の予定。今回は「荒川三山攻略ガイド」と題し、メンバーからのひとくちアドバイスとともにお届けします。

コースマップ

荒川三山コースマップ

▲クリックで詳細なマップを表示

参考コースタイム


【1日目歩行計:6時間15分】椹島(2時間)小石下(1時間15分)清水平(1時間)見晴台(2時間)千枚小屋
【2日目歩行計:4時間55分】千枚小屋(50分)千枚岳(1時間30分)悪沢岳(1時間10分)中岳(15分)前岳(1時間10分)荒川小屋
【3日目歩行計:8時間45分】荒川小屋(40分)大聖寺平(1時間)小赤石岳の肩(55分)赤石岳(2時間5分)富士見平(30分)赤石小屋(3時間35分)椹島

山行アドバイス

 拠点となる椹島(ロッヂ、登山小屋)の営業期間は例年4月下旬~11月上旬。コース上には山小屋が5軒あり、例年7月中旬から10月中旬(避難小屋は9月末)まで営業しています。稜線歩きやお花畑を満喫できるよう、2日目の行程に余裕をもたせるのがおすすめです。天候などの状況に応じて、宿泊地を変更することも考慮しておきましょう。避難小屋には水場がないので、水分確保を忘れずに。
 このほか、メンバーからのアドバイス「荒川三山攻略ガイド」もぜひご覧ください。

アクセス

 まずは、南アルプス南部の登山拠点・畑薙第一ダムへ。公共交通機関: JR東海道本線「静岡駅」から、しずてつジャストラインバス南アルプス登山線で「畑薙第一ダム(時期により、臨時駐車場)」まで約3時間10分。または、大井川鐵道「千頭駅」からタクシーで約1時間30分。そのほか、東京からの直通バスもあります。以上のバスはすべて季節運行のうえ、毎年運行状況が変わります。マイカー:東京方面より/東名高速道路新静岡または静岡ICから県道27、189、60号線経由で約2時間。大阪方面より/東名高速道路相良牧之原または島田金谷ICから国道473号線で約2時間。
 畑薙第一ダム(時期により、臨時駐車場)からは、特種東海フォレストの送迎バスを利用します(畑薙第一ダムの1.5km先にある沼平より、一般車両通行不可)。このバスは、特種東海フォレストが運営する山小屋に宿泊する場合のみ乗車可。椹島まで約1時間です。
 山間部はカーブの多い道が長く続きます。乗り物に酔いやすい人は、酔い止めを用意するといいでしょう。

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メンバー7人の荒川三山記念

集合写真 メンバー7人の荒川三山記念
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オススメポイント

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「長い樹林の道をひた歩くので、ちょっと心が折れそうになるかもしれませんが……」
 まりっぺがそう話すように、1日目のコースはほとんど樹林帯です。ブナやミズナラ、ダケカンバの森から、やがてシラビソやオオシラビソ、トウヒの森へ。ときおり林道をはさみながら、ゆるゆると高度をあげていきます。
 そんな長い樹林帯歩きとはいえ、合間に楽しみもあるのです。
「足元に目を向ければいろいろな植物に出会えて楽しい道です。いろんなキノコがいるのでお見逃しなく!」(まりっぺ)
 コース中盤の清水平では、よく冷えた水を味わえます。また、後半にはもうひとつの見どころが。
「まだ体力が残っている方は、駒鳥池を見てほしい。静寂な雰囲気の池で、神秘的です」(まっちゃん)。
 この先、本日のゴールまでもうひとがんばり。お花畑に囲まれた建物が見えたら、千枚小屋に到着です。
「千枚小屋は2009年に火事で全焼し、現在のきれいな小屋は2012年に再建されたものです」(部長 荻野なずな)。
 快適な寝床でゴロゴロするもよし、白峰南嶺や富士山を肴にプハ~と一杯いっちゃうもよし、お花を愛でるもよし。ゆっくり休んで、翌日の荒川三山に備えましょう。


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 本日は樹林帯から一転、3000mを越える道が続きます。まずはハイマツのなかを歩き、稜線へ。
「稜線では風がかなり強い箇所がありますので、ウィンドブレーカーがあると便利です☆」(あやや)。準備はよろしいでしょうか?
 ひとつめのピークは千枚岳です。
「千枚岳から悪沢岳へ向かう途中に岩稜帯の下りが一瞬ありますが、三点支持でゆっくり下りれば心配ありません」(部長 荻野なずな)
 悪沢岳からはガレ場をいっきに下り、中岳に向かいます。その先、前岳にいたる道は進行方向から逸れますが、荒川三山のひとつなので立ち寄るのを忘れずに。ここで再び、部長からアドバイスを。
「前岳から荒川小屋へはザレた急な下りが続くので、トレッキングポールがあると安心です」
 そして、この間にはメンバー一同"ファ~♡"と声をあげたスポットがあります。「フェンスで囲まれているのは、シカの食害を防ぐためです」(部長 荻野なずな)
 さて、なんでしょう。
「南アルプス最大級のお花畑が登場します!」(あやや)、「広大なお花畑は絶景! カラフルな高山植物に囲まれて感激です」(との)。シナノキンバイの黄色と、ハクサンイチゲの白が印象的。ほかにも多くの種類が見られるので、じっくり観察してみましょう。フェンスを後にして下っていくと、やがて荒川小屋に到着します。少し短いですが、本日はここまで。
「カルピスの原液を持って行くと、南アルプスの冷たい水で美味しいカルピスが飲めます。売店には、サッポロクラシック(北海道限定)とオリオンビール(沖縄)がありますよ」部長、ナイスドリンク情報!


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 いよいよ最終日。椹島まで歩き切るために、まだ暗いなかをスタートしました。大聖寺平を経て、赤石岳をめざします。
「稜線歩きは大絶景! 山と高原地図にある通り、『稜線の空中散歩』を楽しめます♪」(なっちゃん)
 この間、小赤石岳もお見逃しなく。
「山頂に、かっこいい岩場があります。荒川三山や赤石岳をバックに、とっておきの1枚を!」(まいまい)
 赤石岳に到着したら、山頂からすぐの赤石岳避難小屋にも立ち寄りましょう。
「管理人のご主人とチエコさんはとても愉快な方たちです! ぜひお話を楽しんでください。あたたかみのあるお土産もたくさんあります♪」(なっちゃん)「その多くは、おふたりがデザインしているんです。お気に入りをぜひゲットして下さいね☆」(まいまい)。
 赤石岳から椹島へは、2000mも下ることになります。とくに、下りはじめは要注意。
「急なザレ場があるので、ストックがあると心強いです」(まいまい)。
 急坂を下ったあとは、しばらくトラバースが続きます。富士見平を経て、赤石小屋に着いたらひと休みしましょう。なにやらメンバー絶賛メニューがあるようです。
「抹茶アイスがおすすめ!!疲れてきた身体にヒヤっとおいしい。ラストスパートがんばれます」(なっちゃん)、「最終日の一押しスイーツ♪ ぜひご賞味あれ~」(まいまい)。
 この先、椹島はもうすぐ……と言いたいところですが、道はまだまだ続きます。「気が遠くなるほど長いので、やはりストックがあると重宝します。最後は膝ががくがくしちゃうので気を付けて!」(なっちゃん)