おとな女子登山部レポートサミット・トゥ・シー 泥んこ栂海新道

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
日程
2015年09月23日 (水)~2015年09月25日 (金)
メンバー
友人一名
天候
1日目:晴 2日目:曇→雨 3日目:雨
コースタイム
≪1日目≫蓮華温泉(105分)天狗の庭(60分)白馬大池(90分)小蓮華山(30分)三国境(60分)白馬岳(10分)白馬山荘

≪2日目≫白馬山荘(15分)白馬岳(25分)三国境(90分)雪倉岳(90分)燕岩(40分)水平道分岐(50分)朝日岳(25分)吹上のコル(35分)長栂山(140分)黒岩山(90分)サワガニ山(40分)北俣ノ水場(50分)犬ヶ岳(5分)栂海山荘

≪3日目≫栂海山荘(50分)黄蓮山(30分)菊石山(40分)下駒ヶ岳(70分)白鳥山(40分)シキ割(40分)坂田峠(40分)尻高山(40分)二本松峠(10分)入道山(60分)国道8号線(10分)親不知 

 
コース状況
・サワガニ山~犬ヶ岳、下駒ヶ岳直下に鎖場あり。垂直の崖なのでご用心。

・水場は燕岩~小桜ヶ原の沢、黒岩平の沢、北俣ノ水場、白鳥の水場、シキ割、それぞれ豊富でした。
栂海新道に入ってからは小屋に水場が無いので、いずれかの場所で水で確保する必要があります。

・白鳥小屋以降はぬかるんだどろどろの道なので、レインウエアかゲイターは着用した方が良いです。

・栂海山荘、白鳥小屋のトイレは一枚の板で仕切られているだけのとても開放的なトイレです(笑)使用した紙は持ち帰りましょう。

・宿泊した栂海山荘は2階建ての広い小屋です。毛布や銀マットもたくさんあったので持参したシュラフ、マットは使用せずこちらをお借りしました。シーズン中は足りなくなる恐れもあるので、あてにしない方が良いかもしれません。
難易度
Google Map

感想コメント

 頂から海へ-白馬岳から天嶮・親不知まで憧れのロングルートを歩いてきました!当初は蓮華温泉から朝日岳に直接向かう予定でしたが、欲張って新潟県最高峰の小蓮華山と白馬岳もついでに縦走。おかげで日本海へ辿りついた頃にはもうヘロヘロで歩行困難になっていました。

 初日は秋晴れで最高のお天気。早くも蓮華温泉の登山口から秋色に染まった雪倉岳と朝日岳が見えました。空気は少し冷たく感じましたが、黄色いダケカンバが気持ちをほっこりなごませてくれます。樹林帯が終わり天狗の庭に着くと、青い空に海まで続く錦秋の山々が連なっていました。明日、明後日はあそこまで行くんだなあ…と遥か彼方の目的地に思いを馳せました。
 さらに行くと人気エリアの白馬大池に到着。想像以上に雄大で、上から見た時の青の濃さには驚きました。ハイマツの緑が徐々に姿を消し白い砂礫の稜線を進んで小蓮華頂上へ。新潟で一番高い頂からは少し雲のかかった白馬三山が見渡せました。午後になってガスが湧くと、登山道は時折真っ白な寂しい道になることも。そんな中垣間見えた巨大な二重山稜(稜線が二つに分かれて真ん中が凹んでいる地形)はとても圧巻で、自然の力強さを感じました。
 白馬へ着く頃にはタイミング良く晴れてくれたので、山頂からは延々と続く後立山の峰々、そのさらに向こうには槍が聳えていました。この日最終営業のスカイプラザで贅沢にケーキを頂きながら夕暮れを眺め、明日の長丁場はバテませんようにと祈り、小屋で快適な眠りに就きました。

 翌朝は日の出前に出発。鉢ヶ岳の巻道付近でご来光を迎え、おまけにライチョウにも遭遇。今年ようやく会うことができました。雪倉岳頂上は遮るものがない360°の大絶景、せっかくなのでここで朝食をとることに。そこから見える白馬は尖った山頂部が一層際立ち、東側の妙高、火打など頸城の山々や高妻山も雲海に堂々と浮かび上がっていました。
 次の朝日岳を目指すには一度大きく下り、燕岩のガレ場を越えて小桜ヶ原の湿原を通過します。北アルプスの荒涼とした感じは既に無く、海の湿った空気が入り込んできたせいか、木々が生い茂りジメジメした黒い土の道へと変わっていきました。この辺で植生がガラッと変わるので、同じ北アルプスなのに一気に別の山域に来たような感覚でした。
 朝日の登りで雨が降り始めたため、栂海新道は雨でのスタートに。幸いガスに巻かれることはなく、小屋に着くまでずっと剱や妙高、遠くは柏崎の米山まで見えていました。栂海はまず、照葉ノ池など紅葉に彩られた池塘の間を縫うように快適な木道歩きから始まります。楽チンなんて思っていると、そのうち道がぬかるみ始め、ゴロゴロとした大岩の上ですってんころりん、痛い目に遭いました。雨具が破けてしまい、やれやれと思って頭をあげると、目の前には見渡す限りの絶景が。赤と黄色に彩られた広大な黒岩平が現れ、転んだ痛みも忘れるほどの景色にしばし心奪われていました。
 黒岩山まで登るといよいよゴールの犬ヶ岳が近づいてきました。が、アップダウンの厳しい道が続き容易に辿り着くことが出来ません。この道を作った小野さんは巻き道ではなく、真正面から挑む道を敢えて作ったそうですが、それにしても残り約1kmの間の急登はくたくたの身体には堪えました。
 やっと着いた栂海山荘からは何やら楽しげな声が。雨天にもかかわらず我々の他に10人程の宿泊k客がおり、長く厳しい栂海新道、意外にも人気で驚きました。雨は結局止まず、期待していた日本海に沈む真っ赤な夕日は見ることが出来ませんでした。残念。

 最終日、夜半に強くなった雨も朝には小降りになっていたので、小雨の中泥んこ覚悟で出発。相変わらずのアップダウンと樹林帯のせいで蒸し暑く、おまけにぬかるみで下半身は歩き出してすぐに泥だらけ。急登も多く相変わらず厳しい道が続きます。軽くなっているはずのザックは疲れで重く感じ、峠に着くころには足の裏がジンジン痛くなってきました。
 坂田峠で一旦急な山道は終わり、何となく終点の雰囲が出てきたような気がして、助かったーと思っていたら大間違い。この先も急登と急な下りが待ち受けていて、正直投げ出したくなりました。
 それでも歯を食いしばって突き進むとようやく車の音が!もうすぐだ!そして見えた!親不知観光ホテル!階段を一歩、二歩…下り切って遂にゴ~~~ル!この瞬間思わず涙が溢れてきました。でもまだ本当のゴールはこの先に。国道を横切り、ホテルの横の階段から海を目指します。海岸に出るまでにいろんな思いが過りました。ゆっくりと、噛みしめながら、親不知の海にボロボロの足を浸しました。冷たくてしょっぱいけれど紛れもないゴールだ…歩き通した実感がじわじわと体に染み渡ってきました。長かったけど終わってみるとあっという間の3日間。ありがとう。山と海に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 今度はシー・トゥ・サミット、逆から行ってみようか…いやそれはしばらく遠慮願いたいです。

フォトギャラリー

感動のフィナーレ。親不知海岸。

初日の白馬大池。

小蓮華山。

白い二重稜線。

もうすぐ白馬山頂。

白馬のお隣・巨大な旭岳。

雲海と劔。

2日目の朝焼け。雨に変わるなんて。

雪倉の紅葉した山肌。

雪倉から白馬。

雪倉と朝日の間にある赤男山の燕岩。

朝日へ向かって。小桜ケ原付近。

照葉ノ池を見ながら快適な木道を歩く。

アヤメ平。栂海山荘はまだまだ先。

黒岩平。まさに秘境。

谷に流れ込む滝雲。

ようやく近づいた犬ヶ岳。

栂海山荘。お世話になりました。

無人小屋なのにこのこだわり。素敵!

味のある字です。

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