おとな女子登山部レポート恐怖!雨の石転び沢

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
日程
2018年06月12日 (火)~2018年06月13日 (水)
メンバー
新潟山仲間3名
天候
1日目/曇→雨 2日目/雨
コースタイム
1日目/飯豊山荘(20分)温身平(15分)堰堤(30分)うまい水場(100分)石転びの出合(120分)中の島(60分)梅花皮小屋

2日目/梅花皮小屋(40分)北股岳(60分)門内岳(50分)地神山(80分)丸森峰(40分)夫婦清水(90分)飯豊山荘
コース状況
・入渓点は770m付近、その手前710m辺りで渡渉しました。
・丸森尾根は地神山北峰~丸森峰までほぼ急斜面の雪渓、アイゼン必須です。
・梅花皮小屋、管理協力費1500円、水洗トイレは中にあります。
・梅花皮小屋の水は出ています。夫婦清水は雪に埋もれて使えません。
難易度
Google Map

感想コメント

 ずっと憧れていた石転び沢、天候や崩落に阻まれチャンスを逃し続けていたルート、今回ようやく登ることができました。夜明けは前は雨がしとしと降っていましたが、出発時には止み日が差し始めたので、期待を膨らませながら飯豊山荘を後にしました。

 温身平を過ぎると急登、へつりのオンパレード。雪渓に出る前にリタイアしたくなるような悪路が続きます。流れの速い渓流を勇気を出して渡渉し、ようやく雪渓に降り立ちました。谷底の空は灰色、ガスがたち込めいつ降り出してもおかしくない様相です。小屋に着くまでには何とかもってくれと、祈るような気持ちでアイゼンを装着し歩き出しました。天気が良ければ真っ青な空と新緑と、眩い白のコントラストが素晴らしいはずの石転び沢、出合に来るとますますどんよりして怪しげな雰囲気。いつ落石が飛んでくるかわからないので常に前方を睨みながら、足元はうっかり滑らないように神経を尖らせながら登ります。最悪なことに傾斜が増すにつれ雨も本降りになっていきました。ふと右手前方でガラガラ…と嫌な音が。歩みを止め様子を伺ってみても何も起こらない。大丈夫かなと思って再び歩き出すと、ふいに握りこぶし大の雪の塊が飛んできました。一発、二発…続いて後から後から大小さまざまな雪弾が我々目がけて降り注いできました。無我夢中で避けたので多少かすっただけで皆無事でしたが、落ち着いて我に返ると足が震えているのに気づきました。石転び沢って本当に名前の通りなんだ…恐ろしや。

 雨と共に風も強まり皆の表情も次第に険しくなっていきます。最大傾斜の辺りでは、立ち止まって今立っている場所がどんなに急か自覚するのが怖くて、とにかく前に進むことしか考えられませんでした。少しでも油断すれば落ちる。一刻も早く安全な所へ辿り着きたいと一心不乱に上を目指しました。ようやく傾斜が緩んでくると、前方にぼや~っと小屋のシルエット。助かったー!小屋の中は当然無人、全身びしょ濡れのウエアを脱ぎ捨て、乾いたウエアに身を包みダウンにくるまりました。こんな日はザックの中の防水もきっちりするのが正解です。

 皆先程まで味わっていた恐怖は昨日のことのように、楽しい宴会が始まりました。20㎏越えの荷物を背負って美味しい鍋を振舞ってくれた仲間に感激です。(ちなみに私はわずか10㎏程度…)
明日は北股岳から綺麗な石転びを見下ろせたらいいねーなんて呑気に語っていましたが、翌日も雨…。石転び下山はさすがに断念、丸森尾根経由で戻ることにしましたが、稜線上がってからの新潟側からの風が冷たいこと。指先の感覚が無くなりかけたころ丸森尾根に辿り着きました。晴れていれば大好きな稜線歩きですが、やっと稜線から解放されることに喜びさえ覚えました。
 
 ところがこの先も難所が待ち受けていました。少し下ると見渡す限りの雪渓、夏道ゼロ。一人だったら泣き出しそうな絶望的な光景でした。ザックを下ろしアイゼンを装着、雨だとこの作業が非常に面倒です。冷たい雪渓の上を下り続け唇が紫色になった頃、ようやく丸森峰に到着しました。ここから先はもう森の中、気温も少しづつ上昇し、暖かい緑の中で次第に気持ちが落ち着いていきました。最後の難所の岩場を越え飯豊山荘へ降り立った頃にはさすがにへとへと。

 今回大好きな飯豊連峰には牙を剥かれてしまいましたが、余裕のない中で見せてくれたハクサンイチゲやウスユキソウの群生には心動かされました。次また訪ねた時にはきっと、晴れ渡った美しい石転び沢を見せてくれることと思います。
 

フォトギャラリー

腰が引けてる。未確認生物R。

どんより温身平。

下つぶて岩を上から。

うまい水で休憩。卵の空きパックを利用した料理男子のおにぎらず。

ここを渡渉しました。

一旦雪渓に出てまた左岸の夏道へ。

ここから本格的な雪渓歩き。

まだ余裕。

石転び出合。青空はお預け。

晴れていれば雪渓上とはいえ汗をかくほど。

傾斜が徐々に増していきます。

小さな滝も。

この辺から落石が。

雨と風に耐えながら。

核心の最大傾斜44°。

梅花皮小屋!助かった!

染みる~。

ハクサンイチゲが待っていました。

北股山頂。

雨を浴びて花びらが透き通ったサンカヨウ。

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