おとな女子登山部レポート温泉と紅葉 下ノ廊下

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
日程
2019年10月23日 (水)~2019年10月24日 (木)
メンバー
銀座店 西山
天候
1日目/晴 2日目/曇
コースタイム
【1日目】黒部ダム(50分)内蔵助谷出合(180分)十字峡(100分)仙人谷ダム(50分)阿曽原温泉小屋
【2日目】阿曽原温泉小屋(90分)砂防堤トンネル(40分)大太鼓(25分)志合谷トンネル(100分)欅平
コース状況
・扇沢から電気バス1570円。バスを下りたらケーブルカー乗場には行かず直進、左の登山者出口の看板を曲がると最終トイレがあります。そこから阿曽原までトイレ無し。
・内蔵助谷出合を過ぎた辺りから道が険しくなります。途中番線が切れている箇所もあるので注意。すれ違い時は譲り合いの精神で安全な場所で待機、強行突破はやめましょう。
・黒部別山谷で渡渉箇所あり、その後崩壊地を登ります。黒部へ向かう場合は下りになるので注意が必要です。
・十字峡付近で2箇所ほど滝に打たれます。防水対策をしっかりと。
・仙人谷ダムでは施設内を通ります。作業員の方には元気良く挨拶!
・阿曽原温泉小屋、幕営 温泉利用で1500円。温泉は男女入替制、夜は空いています。水場、トイレ、テン場に併設してます。小屋から5分ほど下るので暗い時間は注意。小屋で水平歩道のステッカーが400円で買えます。下ノ廊下バッジは宇奈月温泉の駅売店で買えます。毎日病人や怪我人が運び込まれ、ご主人や救助隊の方は登山者の為に夜遅くまで働いていたので大変頭が下がりました。小屋の営業は10月末まで、11月頭までは水を使えるようにしてくださるそうです。
・志合谷トンネルは要ヘッデン。足下は5㎝くらいの水溜まりになっています。
・欅平~宇奈月温泉までトロッコ電車990円。座席はオープンなので防寒対策を。雨の日は追加料金を払えば窓付きに乗れます。
難易度
Google Map

感想コメント

 憧れの下ノ廊下を歩いてきました。大きなアップダウンはあまりありませんが、落ちたら一巻の終わり、か細い谷のへつりを延々と歩くので、体力と集中力が必要となります。今回は黒部ダムから入って欅平へ下るコース、バスと電車で楽チン旅でしたがその分荷物が多くなり、コンパクトにしたつもりが結局60Lのザックになってしまいました。幸いにも2日間とも雨は降らず、夜もそれほど冷え込まずちょうど良いお天気、最後まで元気に歩き通すことができました。

 1日目、午前中は快晴、色付いた山々が青い空に一層映えていました。賑やかな黒部ダムを後にして、黒部川と共に下り開始。紅葉のコントラストをしばらく楽しみ、1時間ほど歩いたところで立山へ向かう分岐の内蔵助谷に出ます。ここで一旦河原に下りてガレた道を進むと、左に黒部三大岩壁の一つ・黒部の魔神が見えてきます。大小たくさんの滝など見所は他にもたくさんあるのですが、道は次第に細く切れ落ちてきて写真を撮る余裕が無くなってきました。足下ばかり見ていると岩に頭をぶつけてしまうので、前方確認しながら慎重に歩みを進めます。逆方向へ向かう登山者もいるのですれ違いにも一苦労、十数人の団体をやり過ごした時はさすがに緊張が走りました。できるだけ壁に密着してもらい、こちらは対向者を避けながら番線を片手ずつ握って素早く通過しなければなりません。幸いこんなシーンは一回だけでしたが、これが土日の混雑時間帯だったら思うとぞっとしました。
 その後は黒部別山谷の渡渉。息つく間もなく土が剥き出しの崩壊した急登を登ると、再び番線伝いの渓谷歩き。途中番線が切れて無くなっている箇所もあり緊張を強いられました。だんだんと人がいなくなり、高所にもようやく慣れてきた頃、今度は滝のシャワーの洗礼。ものぐさな私達はできるだけ流れの少ない箇所に体を寄せながらそのまま通過しました。右半分がびっしょり、十字峡の前後にこのようなポイントがあり、後半では水に勢いがあったので今度は左半分が濡れてしまいました。
 十字峡はその名の通り、剱から流れてくる剱沢と鹿島槍から流れてくる棒小屋沢が黒部川に合流し、十字の形になっている場所で、ザックを下ろして近くまで見に行くことができます。ちょうど午後の陽が当たって水飛沫に虹が映っていました。長い道のりの中の癒しスポットなので、5分ほど急坂を下りますが一見の価値ありです。
 
 ここまで来てようやく後半戦。半月峡、S字峡と高度のある岩壁を歩き、たゆんたゆん揺れる東屋吊り橋に慄きながら下りきると、川幅が広くなり長かった渓谷歩きがようやくお終い。さらに進んで関電の仙人谷ダムが近付いてくると人工的な匂いがプンプンしてきます。ちょうどダムが放流中で水の勢いに大興奮、ワクワクしながらそのまま施設内にお邪魔しました。薄暗いトンネル、蒸し暑い坑道、先程まで歩いていたスリルのある山岳地帯とのギャップに好奇心が止まらず、まるでRPGの世界に迷い混んだ気分でした。
 もっとゆっくり見学したかったのですが先を急ぎます。阿曽原まではあと1時間程、今度は山道のアップダウン。長時間歩いた後のこの登りは急登ではなくもはや激登に感じました。なんやかんやで無事阿曽原に16時過ぎに到着、ちょっとゆっくりしちゃったかなと思ったのですが、その後日が暮れても登山者が続々とやって来たので少し驚きました。夕食時にも救助隊に抱えられた一人の高齢女性が到着。小屋のブログ通り毎日のように事故が起きているようです。本当にお疲れ様です。
 この日の夕食は小屋名物の絶品カレーライスに対抗して、尾西の白飯にアマノの鶏肉とたっぷり野菜のカレー。生米を炊いていた時期は、もう美味し過ぎてアルファ米なんか食べれませんわーなんて言っていたけれど、山ではこれでも十分美味い。軽量化は正義です。
 お腹が満たされた後はお待ちかね温泉タイム。人が少なくなったのを見計らって真っ暗な道を下って行きます。温泉は当然野趣溢れる野天風呂、脱衣場代わりにすのこが敷いてあって、素早く脱いだらあとは温泉へダイブするだけ。かなり熱めのお湯ですが慣れてくると丁度良い湯加減、臭みはなく硫黄が苦手な私好みのお湯でした。汗も流れて体はポカポカ、夜はそれほど寒くならずに快適に眠れました。 

 翌朝は曇り、雨が降らないだけありがたいです。この日の行程は昨日よりは歩きやすい道。途中真っ暗な志合谷トンネルを通ったり、岩をくり抜いた大太鼓の絶壁を歩いたり見所もたくさん。何より目を引いたのは岩壁そのもののような山・奥鐘山。滑り台のようなフェースが特徴的でした。 
 ゴールが近付いてくると周辺の高い山々も姿を現します。水平道と平行して東に見えてくるのは唐松岳、さらに奥には尖った白馬が聳えてました。こんなに近いのかと驚き地図を広げると祖母谷の文字が。なるほど、全ての道は繋がっているのだなぁとしみじみ。後方には鹿島槍、よく見るクリオネみたいな双耳峰ではなく槍のように天を突くような勇壮な姿。後立山の峰々はすっかり雪化粧していました。

 トロッコのガタゴトという音、駅のアナウンス放送の声が大きくなってくると終点はもうすぐ。なんだか寂しいような、でも早く温泉入りたいようないろんな気持ちが湧き起こってきました。下ノ廊下は雄大で厳しい自然と知恵と人情で出来ている、そんなことをうとうとと感じながら、宇奈月温泉までのんびりトロッコ旅を満喫して帰りました。

フォトギャラリー

紅葉ど真ん中!気を引き締めて歩くぞい。

放流していない黒部ダムを見上げて。

始めは黒部川のすぐ縁を歩きます。

あぁ綺麗だなあ。まだまだ余裕。

ピンチ!ここですれ違いするんですか?!皆が思っていること。

梯子は全般滑りやすいので後ろ向きで下ります。

木橋も叩いて渡る。

十字峡に虹が架りました。

シャワーポイント。汗冷え注意。

この東谷吊橋を渡って自分が高所恐怖症だということに気付く。

ああ深く青い青いS字峡。

頭上注意。

関電の白い塔が近付いてきました。オバQみたい。

遺跡のようなトンネルをくぐれば仙人谷ダムは間もなく。ここもヘッデン必要です。

ファイナルファンタジーのような世界にワクワク。毎年見学会もあるのでぜひ参加してみたい!

温泉サイコ~。

奥鐘山。滑り台が特徴的。

大太鼓付近。ここも頭上注意。

志合谷トンネル。真っ暗な中で水の音だけ響く。不気味なり。

紅葉に染まる水平歩道。

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