おとな女子登山部レポート雪のない八ヶ岳 地蔵尾根から横岳・硫黄岳周回

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
日程
2023年12月29日 (金)~2023年12月30日 (土)
メンバー
単独
天候
晴れ
コースタイム
【1日目】美濃戸口(50分)美濃戸山荘(135分)行者小屋
【2日目】行者小屋(60分)地蔵の頭(70分)横岳(70分)硫黄岳(50分)赤岳鉱泉(60分)行者小屋(90分)美濃戸山荘(40分)美濃戸口
コース状況
・年末は登山道に雪が無くて歩きにくかったです。南沢登山道は一部凍結していたものの、ほぼ夏道でスパイクは付けませんでした。ストックの先ゴムは行者小屋、赤岳鉱泉までは装着した方が良さそうでした。

・地蔵尾根にも雪は付いておらず鉄階段が露出してました。凍った箇所もあるのでアイゼンは付けて登りました。

・横岳~硫黄岳の東側は雪が無く岩が出ていますが、西側は雪が付いています。鎖は出ているので難しくはありません。チェーンスパイクで歩く人もいましたが西側の歩行は慎重に。硫黄岳山荘付近からスパイクに変えました。

・稜線は風強いのでバラクラバ装着していました。

・行者小屋は年末年始のみ営業しておりテン場も混雑してました。料金は2,000円。水を作るほどの雪は無く、小屋の水が出ていたのでありがたく使わせてもらいました。
難易度
Google Map

感想コメント

 雪山といえば八ヶ岳。初めての本格的な雪山に講習で訪れたのが数年前、それから毎年冬には通い続けていたエリアです。初級から上級まで様々なルートがありますが、赤岳~硫黄岳まで縦走したことがなかったので、久しぶりの雪山ソロテント泊も兼ねて大荷物を担いで電車で向かいました。
 年の瀬の混雑した新宿駅からあずさに乗って茅野駅へ。年末年始のこの時期は駅から美濃戸へ行くバスが出ていて大変便利。車が運転できない身にとっては足があってとても助かりました。2日間あったので初日は行者小屋まで荷運び、翌日アタックという行程です。冬期のソロテント泊は久々でしたが、サーマレストのネオエアーXサーモという最強のマットを手に入れたので、大船に乗ったつもりで出発しました。R値はなんと7.3。今まではせいぜいR値3程度のインフレータータイプやパタパタマットで凌いでいたので、この数字の大きさは大変心強い。加えてこの暖冬。あずさから眺めた八ヶ岳は白い雪山ではなく茶色や濃緑の山肌で、春が訪れたかのように見えました。美濃戸も全く雪が無く、中間着やオーバーパンツは脱ぎ捨てて、身軽な格好で歩きました。この調子ならテントの夜も問題無かろう。岩や木の根が露出して今までで一番歩きにくい南沢を、行者小屋までハイキング気分で上がりました。
 途中南沢小滝でアイスを楽しんでいるクライマーがいました。滝はしっかり凍っているのか、そういえば赤岳鉱泉のアイスキャンディーもオープンしたとか...。やはり夜は寒いのでは?一抹の不安を憶えながら行者小屋までやって来ました。

 行者小屋は今まで通過したことしかなく泊まるのは初めて。いつも数張のテントしかないイメージでしたが、この日は優に20以上のテントが張られていました。静かな場所を探してみましたが既に無理な話。それならばとトイレが近い小屋前に設営。テント泊の醍醐味も何もありませんが、快適さを優先していつでも用を足せる場所に張りました。
 水でも作って時間をやり過ごそうとしましたが、まとまった雪は無いし水道は出ているし。宿泊費には水代も含まれるはずなので小屋の水を使うことにしました。水場はトイレ前の水道です。出しっ放しなので半分以上が凍っていました。冷え込みが強いと完全に凍りそうですが問題なく使えました。
 夕闇が迫ると急にお腹がぐぅぐぅ。明日は日の出と同時に出発予定なので18時には食事を済ませ、分厚い寝袋にくるまり分厚いマットに早めに横になりました。お正月モードで賑わうパーティーも多かったですがいつの間にか就寝。アラームが鳴るまでぐっすりでした。末端冷え性で冬山登山には年々苦労している身ですが、無事に一晩越すことができました。

 翌朝はまだ暗いうちに目覚め、ヘッデンを点けて出発。文三郎道から行く登山者が多いので間違えてしばらく進んでしまいました。慌てて引き返し地蔵尾根に取りつきます。こちらは人がまばらでした。途中横岳大同心、背後の阿弥陀岳が大きくなったところで明るくなり、ここでピッケルを装備しました。目の前には雪の付いていない鉄階段。前爪があると登りにくいですが、幸いにも持参したアイゼンは爪の短いグリベルのエアーテックだったので、暖冬には丁度良かったです。
 雪が多いと緊張する地蔵尾根は難なく越えて、稜線に出ると朝日を浴びる南八ヶ岳の主峰・赤岳の堂々たる姿。その左手には富士山。今日は赤岳には行かず進路を左へ。右に向かう登山者に別れを告げ、赤岳以上にゴツゴツした横岳へ向かいました。ここからが本番、気を引き締めて一歩ずつ踏み出します。
 それにしても雪が無いです。夏山みたいだなぁと嘆く声が聞こえました。途中硫黄から来る登山者とすれ違いましたが、中にはチェーンスパイクの方もいました。確かに歩きやすそうですが私はそのままアイゼンで。岩トレーニングには良い機会です。
 西側に回り込んでトラバースする日ノ岳が核心と踏んでましたが、鎖が出ていたので何とか問題無く通過。東側のこれまた雪の無い杣添尾根が見えてきたら奥の院は間も無く。予定より早く横岳に到着しました。後は硫黄岳まで一息。岩場を慎重に下ると長い背中の硫黄岳がみるみる大きくなりました。踝まで雪に埋もれる場所ももありましたが、山荘を過ぎてからの最後の登りはほぼ夏道。ここからはスパイクに履き替え山頂を目指しました。硫黄岳は風の強い印象があり、この日も例外なく強い風で山頂滞在は僅かな時間。さっさと赤岩の頭まで下りて振り返ると、そこにあったのは黄土色の肌が露出した硫黄岳。真っ白い山頂しか見たことが無いので、知らない山域に来たようでした。かつてラッセル訓練をした赤岩の頭も雪がなく、九折の登山道を尻セードでショートカットして下ったのが懐かしく思われました。

 赤岳鉱泉まで来たら行者小屋まで一登り。お昼には行者小屋へ戻って来れました。テントを撤収したら美濃戸口までまたとぼとぼと歩きます。テントと寝袋が入ったザックは今まで以上に重く感じました。美濃戸山荘まで着いても車が無いのでまだ終われません。この雪であればSUVでなくとも簡単に乗り入れができるのに。ため息を着きながら美濃戸口まで急ぎました。急いだのは理由があります。バスが出発するまでに美濃戸口のオーベルジュ・J&Nさんのスイーツが食べたい。車で来ていた頃は、下山してからお風呂とランチをいただいたり、宿泊したこともあるお気に入りのお店。八ヶ岳に来たらここに寄らないと終われません。何とか発車ギリギリに、りんごのタルトとクリームチーズパイとご婦人の美しい笑顔をゲットして美濃戸を後にしました。

 2023年はリハビリ登山が主でしたが最後に単独チャレンジが出来て良かったです。次来る時はJ&Nさんでもっとゆっくりお茶して帰りたいです。

フォトギャラリー

行者小屋テント場。年末らしい混み具合です。

美濃戸口。雪が無くてびっくり。

夕方の行者小屋。大同心から横岳のアーベントロート。

翌朝の地蔵尾根。階段が出ているのでアイゼン引っかかります。

阿弥陀岳が染まり始めました。

地蔵尾根終盤。いつもなら雪で埋まっているのでここにお地蔵様がいたのを初めて見ました。

地蔵の頭にて。朝日が眩しいのでサングラスをオン。

赤岳の横には富士山が顔を出してました。

これから向かう横岳はすっかり夏山の様相。

雪が無いので難しくはなかったですが。

まるでアイゼントレーニングです。

杣添尾根は春のよう。

あっという間に横岳到着。

先日登った御嶽山が見えました。

横岳から赤岳・阿弥陀岳の稜線。

硫黄岳も雪が無いです。

赤岩の頭から。歩いてきた尾根が見渡せます。

ここから見る硫黄岳も残雪期のようです。

行者小屋まで戻ってテント撤収。

バスの時間までにJ&Nさんのリンゴタルトをゲット!

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