白峰三山&白峰南嶺縦走~人気のルートとマニアックな稜線を歩く~【南アルプス】

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2015年08月18日 (火)~2015年08月19日 (水)
メンバー
天候
18日:曇りのち晴れ 19日:晴れ
コースタイム
【1日目】
広河原(180分)八本歯のコル(60分)北岳山荘--設営--(50分)北岳(40分)八本歯のコル(50分)北岳山荘

【2日目】
北岳山荘(20分)中白峰山(35分)間ノ岳(105分)西農鳥岳(25分)農鳥岳(30分)大門沢下降点(15分)広河内岳(60分)大籠岳(30分)白河内岳(70分)笹山北峰(10分)笹山南峰(160分)奈良田湖水門
コース状況
【広河原~八本歯のコル】
大樺沢は歩く箇所には雪はありません。二俣から八本歯のコルへは階段のスリップ注意。

【八本歯のコル~北岳】
北岳への登りは非常にタフです。標高が高い分さらにきつく感じます。ちなみにこの道中にキタダケソウの群生地があります。

【北岳~間ノ岳】
非常に歩き易い稜線。間に中白峰岳があります。登り返しは北岳ほどきつくはありません。

【間ノ岳~大門沢下降点】
間ノ岳から農鳥小屋の下り、農鳥小屋から西農鳥だけへの登り返しはなかなかハードです。西農鳥から農鳥岳へのアップダウンもジャブのごとく効きます。

【大門沢下降点~大籠山】
ここからが白峰南嶺になります。登山客が少ないので踏み跡は薄いです、稜線ははっきりしているので晴れていれば容易に通過できます。

【大籠山~笹山】
唯一迷いやすいのは白河内岳から笹山に行く過程。白河内岳は稜線から少し西に外れるので、もう一度東に戻って稜線上を辿るとシラビソ林に入ります。入口を見つけるのが大変ですが、見つければわかりやすくなります。

【笹山~奈良田湖水門】
奈良田が標高約850mなので、標高2,718mの笹山から約1,900m下ります。ただただ下りです。急な斜面上に土もむき出しになっている箇所も多いので、転倒注意です。テープが多数なので迷うことはないでしょう。
難易度
Google Map
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  • おとな女子登山部

感想コメント

白峰三山といえば北岳(3,193m)、間ノ岳(3,189m)、農鳥岳(3,026m)の3座というのはご存じの方も多いと思いますが、白峰南嶺(しらねなんれい)は初めて聞く方も多いと思います。
名前の如く、白峰三山から南側に連なる山の総称です(広河内岳、笊が岳など)。歩く人も少なく、山小屋もありません。
白峰三山を広河原から縦走したことがある人は何の迷いもなく大門沢を下降していくと思いますが、そのさきにタフでフリーダムな稜線があるのでご紹介します。

私自身、北岳には2回(1回目は登山始めたて、2回目はキタダケソウ目当てに)登りましたが、北岳より南側は今回が初でした。
今回の目的は、
①今シーズンの目標である10㎏以下のテント泊装備の実践
②白峰三山と白峰南嶺縦走
③ほぼ北岳にしかないとされるミヤマハナシノブを見に行く
ことでした。

白峰三山は情報も多いし、登山レポートに多数アップされているので、白峰南嶺中心に書きます。

【1日目】
5時30分の奈良田発のバスに乗って広河原へ。前日の大雨で芦安⇒広河原のバスは運休でしたが、奈良田からのバスは時刻通り発車しました。その影響とハイシーズンも終わりかけの平日とあって、全員座れる余裕がありました。

初日は大樺沢ルートで北岳山荘を目指しました。大樺沢は前日の大雨で増水が懸念されましたが、登山には全く影響ありませんでした。
大樺沢周辺はヤナギランやハクサンフウロ、タカネビランジなどの高山植物が残っていますが、お目当てのミヤマハナシノブはもう終わっていました。その他の植物も、今年は花期が全体的に早いですね。

八本歯のコルを経由して北岳には行かず、まず北岳山荘にテントを張りました。
午前中は北岳周辺は雲に覆われていて、バットレスも見えませんでしたが、午後から北岳にかかっていた雲が取れたので北岳山頂へ。仙丈が岳や甲斐駒は雲に覆われていましたが、間ノ岳への稜線がよく見えました。
テン場に戻ると北岳や間ノ岳は持ちろん、次第に甲府盆地や富士山もよく見えてきました!テントの中から眺める富士山は最高でした。

テントは今シーズン発売されたニーモのブレイズ1人用を初お披露目しました。メーカースペックは全て910gと非常に軽いですが、使ってみると十分な広さがありました。シュラフはファイントラックのポリゴンネスト4×3ニーモのゾア20Sを使用。使用下限温度は7℃ですが、テント内は10℃ぐらいだったので快適に寝られました(上下ライトダウンを着ていましたが)。

夕食はテント泊の人でも1,700円払えば食べられます(朝食は1,200円)。体力勝負なので、今回は夕食だけ北岳山荘で食べました。水も無料なので荷物が少なくて済みます。

【2日目】
この日は間ノ岳と農鳥岳を経由して、今回の核心部の白峰南嶺へ!
朝は上空高いところは雲に覆われていましたが、昨日見えなかった甲斐駒や仙丈、中央アルプスと北アルプスも見えました。
さすが3,000m級の稜線、次第に青空も広がり、大門沢の下降点までは富士山、甲斐駒、仙丈、鳳凰三山、聖岳、荒川三山、中央アルプス、北アルプスの展望が終始楽しめました。

寝坊&朝食は用意したので、スタートが6時10分と遅かったわりに大門沢の下降点には9時30分に到着。時間も体力もまだまだ余裕があるので、いよいよ白峰南嶺に突入!!好日山荘のレポート初登場だと思います。

予定していた
広河原岳(2,895m)⇒大籠岳(2,767m)⇒白河内岳(2,813m)⇒笹山(2,718m)を通って、笹山から約1,900mを一気に奈良田まで降りました。

白峰南嶺もキモチのよい稜線が続き、塩見や荒川三山などの南アルプス南部の展望が近くなります。
広河原岳から南側は山と高原地図などには一応バリエーションルートという銘打たれていますが、踏み跡とマークまあります(かなり薄いですが)。稜線上を歩けば問題ありませんが、視界が悪い時には無理しないほうがいいと思います。大籠山以降は南アルプスらしくないガレ場が続きで、決まったルートはありません。自分の判断能力で進むことになります(下手するとハイマツの中を進むことになります)。
一番迷い易いのは、山頂の広い白河内岳から笹山に向かう過程。私もここで20分ほどロスしましたが、GPSなどには稜線上に破線があるので、その破線上を歩けばシラビソ林に入ります。そこからはピンクテープが目白押しでルートも明瞭になります。

笹山北峰を経緯して笹山の南峰に到着すると、奈良田への案内板があります。ここから一気に奈良田の水門まで1,900mを下ります。とにかく細く・長く・急な斜面をひたすら下るので、膝がガクブル覚悟です。登りはもっと大変だと思います。
装備が軽いおかげもあって15時ちょっと過ぎにに奈良田到着。久しぶりに全力でテン泊縦走を終えました。

この笹山ダイレクト尾根も明瞭でピンクテープ豊富です。展望はなく、ひたすら苦痛の下りです。シラビソ林⇒ブナ林⇒カラマツ林と移り変わるので、これは標高差の大きいルートの楽しみではないでしょうか。

【今回の縦走装備】
今シーズンは軽量なギアが多数発売されています。常に夏山のテント泊でも20㎏超えていた私も装備を見直し、UL装備をいろいろと新調しました。重さは量っていませんが、36ℓのザックでパックウェイト(バックパックと中身の総重量)は10㎏は確実に下回っていました。
その主な装備をご紹介します(すべてメーカー表記値です)。

ザック:ペース36(ドイター)920g
テント:ブレイズ1P(ニーモ)910g
シュラフ:ポリゴンネスト4×3(ファイントラック)450g
マット:ゾア20S(ニーモ) 275g
バーナー:ウィンドマスター+4本ゴトク+105カートリッジ(SOTO) 191g
クッカー:チタンクッカー1人用セット(エバニュー) 155g
レインウェア:エバーブレスフォトンジャケット&パンツ(ファイントラック)483g
レインカバー:ライトウェイトリュックサックカバー30-45(バーグハウス)
防寒着:ライトヒート ジャケット(ノースフェイス) 195g

他にもヘッドライト、エマージェンシーキット、水などの縦走装備もありますが、36ℓのザックに余裕で入りました。実際に担いで歩いてみると、軽いのは素晴らしいですね(笑)。肩の負担も減りますし、行動も速くなります。
一番のネックは一眼のカメラを置いていくこと。一眼レフはレンズと合わせると2㎏以上になるので、今回はコンパクトデジカメだけにしました。風景はいいですが、動植物の写真や星の撮るにはやはり一眼レフには敵いませんね。

UL装備をご検討されている方は、是非お声かけください(まだまだ私も勉強中ですが)

フォトギャラリー

今回のパッキングと北岳&甲斐駒&八ヶ岳(間ノ岳より)

広河原から出発。あいにく北岳は見えていない。

前日は大雨だったが、登山には支障なし。

ヤナギランと鳳凰三山方面。

大樺沢のお花畑。お目当てのミヤマハナシノブはもう終わっていた(スルーしたかも・・・)

八本歯のコルにあった終わりかけのタカネビランジ。南アルプス特産種。

八本歯のコルより北岳山荘へ。写真は危険そうだが、道中危険箇所はない。

ニーモブレイズと北岳のツーショット。

北岳から見る間ノ岳方面。何回見ても素晴らしい。

テントの中からの富士山、晴れていればテン場のロケーションは最高!

2日目の朝。長丁場なので気合を入れる。今日も愉快にいっちゃうよ!(紫推し)。

日本第4位の標高、間ノ岳。37座目の百名山ゲット!

間ノ岳から見る農鳥岳と塩見岳と荒川三山。鞍部に農鳥小屋がある。

西農鳥岳より間ノ岳と北岳と八ヶ岳。

大門沢の下降点。この先、興味ありませんか!?

最初のピーク広河内岳。甲府方面から雲が上がってきた。

広河内岳から見る、白峰南嶺の稜線。ここからはマニアックな道❤

大籠山から白河内岳はこんな感じ。南アルプスっぽくないガレた稜線。道はないので歩き易い場所を見つける。

大籠山から。塩見岳が近い!三伏峠にも1日で行けたかも。

笹山ダイレクト尾根。きれいな自然林だが、いかんせん苦痛すぎる(汗

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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