北岳バットレス ピラミッドフェース~第四尾根主稜 継続

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投稿者
つじまい(おとな女子登山部)
日程
2019年08月26日 (月)~2019年08月28日 (水)
メンバー
GR岸和田 石田さん
天候
一日目晴れのちくもり 二日目晴れのち雨 三日目雨
コースタイム
一日目 広河原→(120)→白根御池小屋
二日目 白根御池小屋→(90)→ピラミッドフェース取り付き→(7時間)→第四尾根取り付き→(3時間)→終了点→(20)→北岳山頂→(120)→白根御池小屋
コース状況
芦安無料駐車場に駐車
芦安から広河原まで、乗り合いタクシー利用
片道1300円(協力金含)

バットレス登攀は白根御池小屋をベースにするのが便利です。
横断バンドからの落石には常に注意が必要。
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感想コメント

オリンピックで盛り上がるスポーツクライミング全盛の今、なぜかアルパインクライミングに夢中の私。
今年、絶対登りたいリストに入れているのが「北岳バットレス」です。

普通に四尾根登るだけなんておもんない、と生意気にもピラミッドフェースからの継続登攀を計画しました。
同行は、マルチピッチほぼ未経験のフリークライマー石田氏です。

不安要素だらけですが、準備は万端にして広河原を出発しました。
ほぼ寝ずに運転したので(南ア遠い・・)、眠気に襲われながらもなんとか白根御池に到着。
テントを張り、計画していた下見に出かけました。

順調に大樺沢を登っていき、C沢と思しき沢で尾根に上がる踏み跡を見つけ、登っていると、
「バットレスはそっちと違いますよ」と通りすがりの方に声をかけられました。
C沢右岸だから、あってると思うけどなあ、と思いながらもその方の言うとおり、D沢のガレを登って行き、
なんとか取り付きまで辿りつきました。
ピラミッドフェースの1ピッチ目を確認し、登攀具を岩影にデポ。
帰りに、C沢とD沢の間の草付の尾根にしっかりした踏み跡を見つけたので、下りていくと私たちが登ろうとしていたC沢に出てきました。
2パターンの行き方があるようですが、C沢を上がる方が楽に思えました。

翌日、2時起き3時出発で、ちょうどバットレスが朝日で赤く焼ける5時ごろにクライムオン。
取り付き手前でビバークしている二人パーティを発見。
自分なら、落石が怖くて眠れなさそう・・。

ギアは、キャメロット♯0.3×1、0.4×1、0.5×1、0.75×2、1×2、2×2、3×1
リンクカム♯0.5×1、0.75×1 マスターカム♯00×1、0×1、1×1
50mダブルロープ 

「ピラミッドフェース」総合グレード4級

1P目 私 Ⅳ
ビレイ点のハーケンがぐらついており、カムで補強。
いつでも初めての岩場のリードはこわいです。
見た目より傾斜があり、時間をかけて高度を上げました。

2P目 石田 Ⅱ
草付をトラバース。岩をぐるっとまわりこんでさらにトラバース。
トラバースでもプロテクションはとってほしい。

3P目 石田 Ⅳ
フェースを直上。ピッチを凹角手前で切ってしまった。

4P目 私 Ⅳ
本来3ピッチ目の残り半分。凹角の右のクラックが濡れていてとても怖かった。
フォローの石田さんは濡れてるのを避けて、悪いフェースを直上。

5P目 石田 Ⅳ+
横断バンド真下の草付フェース。フォローで荷物を背負っているとバランスがとれず、とても悪かった。
(私はルートを間違っていると思っているのですが、真相は?)
トラバースを戻る際にちょっとテンションをかけたらヌンチャクをかけていたハーケンがブチ飛んで、思い切りフォール!
一瞬何が起こったかわからなかった。
横断バンドは、外傾しており少し当たっただけでも容易く石が落ちる。
下にクライマーがいる場合、要注意。

6P目 私 Ⅲ
横断バンドから左に進むと、右上のランペ状に上がっていく。
ガレているので、落石に気をつける。

7P目 石田 Ⅳ+~Ⅴ
わりとすっきりしたフェースで、下部核心ピッチが見える。
やはりスタンスが無く、微妙なバランス。
石田さんが2ピッチ繋げてくれた。Ⅴ級のコーナークラックは思ったより手がよく探せば足もある。
楽しかったです。

8P目 石田 Ⅳ+
つるっとした謎凹角を上がり、上に見えるハングを避けて左へ。
謎凹角が激悪で、私はチョンボ用のハーケンを踏まずには上がれませんでした・・。

9P目 石田 Ⅳ+
逆層のフェースを上がり、左にトラバースすると最後は難しめのスラブを上がったところで切ってます。

10P目 石田 Ⅴ
核心直下でスタート。
下から見るとそうでも無かったが、取り付いてみると下部核心より傾斜が強く悪かった。
フリーでもう少しがんばりたかったが、疲れと時間が押しているため、A0で突破。
クラックを抜けても、しばらく気は抜けない。

11P目 私 Ⅲ+
残置に導かれて、やさしいフェースを登りきると、第四尾根2ピッチ目の終了点テラスについた。

「第四尾根主稜」総合グレード3級

1P目 私 Ⅲ
「白い岩のクラック」とよばれるところ。
残置が至るとこにあるが、コンテで登れるくらいやさしい。

2P目 私 Ⅲ~Ⅳ+
難しい三角形の垂壁の手前でも切れるがいけそうだったので、繋げた。
(垂壁が余裕だったので)フォローの石田さんに褒められ、得意気な私。
高度感のある楽しいリッジが終わると、マッチ箱の頂上。

懸垂20m 

3P目 石田 Ⅳ
右のコーナーを使って上がると、良いハンドサイズのクラックが現れる。
その上で切る。

4P目 私 Ⅲ+
右のリッジか左のルンゼか選べるが、隙間好きの私は迷いなくルンゼへ。
残置は少なく、大きめサイズのカムが役立った。全く快適で、楽しい。
枯れ木テラスへ上がる。

5P目 石田
高度感のある楽しいトラバース。

6P目 私 Ⅳ+
「城塞ハング」とよばれる四尾根の核心で、渋っていたところリードで行けと言われ、気合を入れなおしました。
下部は残置が多くあるものの、ほとんどグラグラ。
ただ右側にカムがどこにでもセットできるような感じで、思い切って足を張れば、上部はガバありで快適。
落ちる気は全くしなく、成長を感じたピッチだった。

全17ピッチの壮大なスケールのクライミングが終了しました。
クライミング技術的には余裕のご様子だった石田さんですが、長時間の登攀と高度による疲れで、
途中からはすっかり口数が少なくなってしまいました。

すでにヘロヘロですが、これから山頂へ向かいます。
石田さんは初めての北岳。晴れていたらここから見る景色は素晴らしいよ、と言ってるうちに、雨が降り出しました。
ギリギリセーフでした。
すでに時間は17時前で、あとは無心で下りるだけ。
雨足はどんどん強くなり、白根御池に着くころにはすっかり体が冷え切ってしまいました。

テントに着くと睡魔と空腹が限界。寝ながら食べてました。
夜中ずっと降り続く雨で、浸水に怯えながらも、なんとか朝を迎え、
少し弱まった頃にテントを撤収し、下山しました。

北岳バットレスは、ロケーションの素晴らしさ、取付きやすさから人気の絶えない岩場です。
ただ、2010年に起こった大崩落の爪痕はまだ残されており、またいつか必ず崩れると言われています。
そのことを、理解したうえで臨まれることが必要です。

フォトギャラリー

草付と逆層がピラミッドフェース

夏はカルピスです

白根御池小屋

私のギア

偵察です

翌朝、第1ピッチ目!

3ピッチ目の出だし

高度感あります

合ってるのかわからない、悪いフェース

横断バンド

下部核心

サクッと突破

謎凹角、つるつるです

上部核心も突破

四尾根のリッジ、ガスガスです

定番ショット、マッチ箱と

ルンゼ状上がります

トラバース

城塞ハングで終了

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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