おとな女子登山部レポート三重県 楯ヶ崎 海金剛~stand by me~
- 投稿者
- つじまい(おとな女子登山部)
- 日程
- 2020年11月21日 (土)~2020年11月21日 (土)
- メンバー
- 他一名
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 楯ヶ崎駐車場〜取り付き 30〜40分
- コース状況
- 阿古師神社手前までは遊歩道を歩き、踏み跡を辿って適当に稜線へ上がる。
杭を目印に反対側へ下る。2箇所フィックスロープがあるが、無いところも危険なので注意。
シングルロープ60m
#0.75〜#2を3セット、あとは適当に。
感想コメント
2年ぶりに楯ヶ崎を訪れた。
前回は「高嶺の花(5.10c)」を登ったが、今回はすぐ右にある「stand by me(5.10d)」が目的だ。
どちらも3ピッチで短いが、オールナチュラルプロテクションのルートである。
懸垂支点を除く全ての支点を自分でつくる必要があり、技術無しに登ることはできない。
この日は晴天、暑いのではという予感は当たり、暑がりの私はアプローチで弱り気味である。
11月も終わりかけで、この暑さ。南紀に来るには時期がまだ早かったかも。
今回「stand by me」の下部2ピッチははっきりとルートが分からないため、「高嶺の花」の下部を登ることにした。
1ピッチ目はさくっとリードしてくるわ、と意気揚々と取り付いたものの、前回プロテクションが取りづらく難儀したことを思い出した。
シングルロープのため流れも気にしつつ、上部スラブのランナウトに耐えて終了点へと進んだ。
ここで事件(というか事故)が起こる。終了点に適した立木があったように記憶していたが、思った以上に朽ちていて使えなかった。
そこで、良さそうなクラック2箇所にカムを決め、直径4cmくらいの灌木と合わせて3点から流動分散でビレイ点を構築した。
ビレイ解除の合図を出し、ロープアップしようともたれた拍子に、カム2つが吹っ飛び、支点が崩壊。
気づいた時には体が2mほど下にあった。
どうやら、4cmの灌木で止まったようだ。
250cmのスリングで崖を落ちたので、相当な落下係数だったと思うが、木が強くて助かった。
パートナーがフォローで上がってきて事情を説明すると、支点をとったクラックを見に行ってくれたが、その岩自体が浮き石だった。外れて当然だった。
確認を怠ったり、固定分散にしなかった自分が愚かだが、念の為に少し離れた木を使ったのが生と死の分岐点となった。
一枚目の写真に印をつけたので、行かれる方は参考にしていただきたい。
これは今までの人生で最大のピンチであったが、このまま継続し残り2ピッチをフォローで登ることにした。
ただ、この後はナチュラルプロテクションや自分を確保する終了点を信用することができなくなった。フォローでもテンションをかけることが恐怖で、ひたすらA0作業を行う。
どうして私はこんなところにいるのだろうと、ふと考えた。
さらに、終了点真下でピッチを切ったり、懸垂下降のロープいっぱいで何もないスラブに下りたりと、パートナーもドジを炸裂…
私に怒られるのが怖くて縮こまっていた姿は一生忘れられないだろう(笑)
やっとの思いで海岸に下りるとまだ12時。しばらく海を眺めて過ごした。
狭いと聞いていた3ピッチ目の「stand by me」のクラックは私のハンドがぴったりだ。いつか、また来ることができたらと思う。