おとな女子登山部レポート阿弥陀南稜・北稜 継続登攀

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
日程
2021年07月28日 (水)~2021年07月28日 (水)
メンバー
山の先輩2名
天候
雨→晴
コースタイム
舟山十字路(120分)立場山(30分)青ナギ(70分)P3(100分)阿弥陀山頂(20分)中岳のコル(140分)阿弥陀山頂(60分)不動清水(80分)舟山十字路
コース状況
・舟山十字路は5~6台駐車できるスペースあります。
・南稜の直登はP3を1ピッチ、終了点のボルトははずれているので灌木で。P4まではコンテで上がりました。
・北稜は中岳のコルから行者小屋方面に下り、少し進んで左手のダケカンバの尾根から取り付きます。岩稜は2ピッチ、ペツルやハーケン豊富にあります。
・御小屋尾根は上部岩稜帯、ハシゴやロープがあるので雨天時は注意です。
難易度
Google Map

感想コメント

 冬に登られることの多い阿弥陀岳バリエーションルート。冬の下見とマルチの練習を兼ねて、南稜と北稜を連続で登ってきました。

 今回は初めてへっぽこリーダーを務めることになり、事前にネットの情報や動画でできる限り予習した上での挑戦。天候や体調によっては北稜はパスする計画だったので、とにかく南稜だけは重点的に調べました。残置の状態や中間をとるべき箇所、必要なガチャの数。加えて天気や撤退ルート、装備の振り分けなど、たった一日の山行、それもフリーで登れなくはないルートなので、細かい所まで記してある資料はあまり見つからず。それでもできる限りの準備はしようと様々な情報を読み漁り、行く前から既に頭が沸騰状態に。シビアな登山こそ段取り八分、事前の準備の大切さを改めて実感しました。

 仕事終わりにそのまま集合し、僅かに仮眠してから夜明けと共に出発、小雨が散らつく山道を歩くのはさすがに我々だけでした。時折強くなる雨に不安を覚えながら、最初のピーク・立場山を目指します。立場山はシラビソに覆われた森の中のピークで、足元には苔の絨毯が広がり、穏やかな八ヶ岳らしい雰囲気でした。
 さらに急登をつめていくと雰囲気は一変。全ての樹木が滑り落ち、山肌が露になった青ナギに到着しました。靄の中に浮かび上がる黒い急な斜面は、不気味で待ち受ける不安を煽るかのよう。晴れていればこの先のピークや阿弥陀の山頂が見下ろしているはずですが、この時展望はゼロ。登攀装備はここで整えました。
 2564mの無名峰を過ぎるといよいよ阿弥陀岳らしい岩稜が見えてきます。濡れたハイマツでびしょ濡れになりながらP1、P2峰は左側を巻き、さらに進むと見覚えのあるP3岩峰が迫ってきました。P3は左側のルンゼを行くルートか、今回挑戦する直登ルートに分かれます。雨で濡れていたらルンゼにするつもりでしたが、岩はしっかり乾いていたので予定通り直登することに。何度も脳内で見たP3の頂、シュミレーションはしていましたがいざ目の当たりにすると緊張を隠せません。ロープでお互いを繋ぎ、ゆっくりと呼吸を整えてから一歩踏み出しました。

 P3はボルトが打っていないため中間は全て岩角でとります。予習通りに2箇所ガースでとり、終了点は強靭なダケカンバの灌木に作りました。緊張の1ピッチでしたが、全員登り終えたところでちょうどガスが晴れ青空が覗きほっと一息。案外うまくいったかなと思っていたら、フォローの先輩からぼそっと一言、ガースが逆だと忠告されしょんぼり。優しいルートだったから良かったものの、気を引き締めていかなければと反省。そこから上数メートルはコンテ、P4手前でロープを解除しました。
 この後も脆い岩場をトラバースしたり直登したり。一番不慣れな私は小さな落石を何度か起こしてしまい、歩き方に難有りとの判定。全く、何年山やってるんだか。ちょっと情けなくなりましたが地道に改善して行こうと思います。

 山頂に着いたのは9時過ぎ。昼前に着くことができたし体調も問題無し。北稜に挑戦しない選択肢はありません。
 まずは赤岳との間にある中岳のコルまで下り、行者小屋方面へ進路を取ります。下ること数分、顕著に張り出した尾根を見つけて登り返し開始。踏み痕もあり籔漕ぎというほどでもありませんがかなりの急傾斜、必死に上に這い上がっていくとそれらしい岩が出てきました。
 北稜は南稜に比べ、どちらかというと冬がメジャーのようです。無雪期の記録はあまり見つけられませんでしたが、南稜のP3より登りやすく、支点をとる場所もしっかりしているのでそれほど心配せずに取り付いてみました。ともするとロープを出すまでもないような形状、しかしこういう場所こそ練習にはもってこいなので、一つ一つ確実に進みます。
 しかし2P目リッジの稜線の前で、ちょうど良いペツルがあったので何故かピッチを切ってしまいました。危険箇所の細いリッジを越えた先の灌木で終了すべきだったのに、完全な読み間違い。調べが甘かったと反省しました。
 気を取り直して本日2度目の阿弥陀岳へ。ガスはすっかりとれて迫力の赤岳が眼前に迫っていました。先ほど登った南稜も青ナギから延びる稜線を確認、俯瞰してみるとえらく難しそうに見えます。遠くの山は未だ雲の中でしたが、八ヶ岳連峰だけは登頂を称えるかのように顔を覗かせてくれていました。

 いくつか失敗もしてしまいましたが、無事山頂を踏むことができて感無量、リードさせてもらったことは本当に良い勉強になりました。今までのようにフォローで付いていくだけなら、ここまでの達成感は無かったはず。もっと経験を積んで、より早く確実に登れるようになりたいです。

フォトギャラリー

南稜P3登攀を終えて山頂が顔出しました。

夜明け前に舟山十字路スタート。

急登を越えてようやく立場山。

青ナギ。黒い斜面が不気味。

ラスボス感漂うP3が現れました。

P3登り。イワオウギ踏んじゃった。

ダケカンバでビレイ。

コンテで登る。ダイナミックな稜線が広がります。

P4手前で山頂くっきり。ロープ解除します。

山頂踏んでから中岳のコルへ。

北稜取付き。ダケカンバやシャクナゲの中を登ります。

1ピッチ目の岩稜に着きました。

ペツルやボルトがたくさんあって安心。

2ピッチ目。この先ナイフリッジの手前でピッチ切ってしまった...。

振り返れば赤岳どどーん。

ここが終了点だったのに。

2ラウンド目の山頂。権現岳や西岳が見えてます。

南稜と中央稜。青ナギも確認できます。

御小屋尾根下山。ガレガレでけっこう危ないです。

下の方は高原の雰囲気。木漏れ日の気持ち良い下りでした。

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