おとな女子登山部レポート天使の住まう赤木沢
- 投稿者
- るんちゃん(おとな女子登山部)
- 日程
- 2021年08月02日 (月)~2021年08月03日 (火)
- メンバー
- 山の先輩
- 天候
- 【1日目】晴れ 【2日目】晴れ→小雨
- コースタイム
- 【1日目】折立(200分)太郎平小屋(120分)薬師沢小屋
【2日目】薬師沢小屋(120分)赤木沢出合(150分)大滝(120分)赤木岳(40分)北ノ俣岳(60分)太郎平小屋(120分)折立
- コース状況
- ・今年は例年に比べ水量は少ないそうです。
・水温は冷たいので厚手の沢ウエア(ファイントラック/フラッドラッシュ上下)にレイン重ねました。靴はフェルト。
・装備は支点構築セット、お助け紐に7mm×7mプルージックコード、8mm×30mダブル1本etc。
・虫除けは使いませんでした。
・泳いだ3段滝は水に入らず左岸を登ることもできるようです。私の背の高さ(152cm)で底に足が着きませんでした。
・ツメは赤木岳に直登するルートを登りました。大滝を巻いた後に出てくる2本目の右手の支沢(1:1)を遡行。
・赤木岳は登山道なし。ハイマツを漕いでいくと三角点があります。
- 難易度
-
感想コメント
長年の夢だった赤木沢にようやく行ってきました。ヤマケイの雑誌で見て憧れ続けてはや数年、装備を揃え、技術をある程度身につけ、最高の天気を狙って、満を持して訪ねてきました。
今回は一泊二日のちょいきつめのプラン。仕事終わりと同時に関東を抜けて折立まで6時間、有峰のゲートオープンに合わせて車を走らせました。
睡眠不足の初日は薬師沢小屋に早めに到着、ゆっくり体を休めます。川のせせらぎを聞きながらうとうとしていると、あっという間に夕飯の時間。食堂に降りると、たくさんの滋味溢れるおかずがテーブルに並んでいました。小鉢に入ったお蕎麦、白身魚の昆布締めに根菜の炊き合わせなど、どれも素朴で丁寧な味付け。きれいなお水で炊いたつやつやご飯は2回おかわりしました。お腹か膨れたら急激に眠気が襲ってきたので、その日は早めに就寝、翌日に備えました。
翌朝は3時前に起床、暗いうちに朝食と身支度を整えます。ハーネス、沢靴を履いたら早速ラジオ体操。夜明け前にヘッデンを点けて入渓開始です。
久しぶりの沢登りでしたが、今回もへっぽこリーダーに任命されてしまいました。流れの穏やかな箇所や、無理なくへつれるポイントをルーファイしながら遡行しなければならないのですが、何度か立ち往生してしまいやり直し。歩くのに一生懸命で、薬師沢をそのまま登ろうとしてしまいました。
赤木沢は出合のところで右に進路をとり、始めは穏やかナメを歩きます。ちょうど朝日が射し込み、暖かな色に染まった河床をじゃぶじゃぶ踏みしめていたら、少しずつ緊張がほどけてきました。
ロープは出さずに登れると聞いていましたが、過去にナメ床で滑落した経験があるので、少しでも自信のないところではしっかり装備。習ったシステムも実践できるので躊躇わずロープは出すことに。滝で声が遮られるのでホイッスルも役に立ちました。
自分でルートを決めて一歩ずつ踏み出すのは、かつてガイドさんに連れていってもらった沢登りとは全くといっていいほど別物で、味わったことのない緊張感で足がすくみそうになりました。それを癒やしてくれるのが、翡翠のような美しい色の流れや、片隅で咲いている可憐なダイモンジソウ。また登るほどに達成感が増していくので、時間と共に少しずつ余裕も出てきました。
高度が上がるにつれ背後から水晶岳が競り上ってくるのを見て、自分が今アルプスの懐にいることを実感できました。言い表しようのない感慨、それは源頭のツメが近づくほど深まっていきます。次第に水が涸れていく中、振り返れば名だたる山々。最高の眺めを満喫しながら、濡れた沢服を乾かしました。
この先はいよいよ天使のツメ。広い草原、お花畑、さらさらと流れる風...いつまでもここにいたいと思ってしまうほど心地良い景色。この時ばかりは、例え誰かに何を言われても全て受け入れてしまうような、そんな満たされた気持ちになっていました。
そのまま登山道に合流し、少し藪を歩いて赤木岳へ。雲がみるみる湧いてきて、太郎へ向かう頃にはすっかり真っ白になってしまいました。ガスに覆われる前に沢を遡行できて本当にラッキーでした。
赤木岳から太郎の小屋までは約2時間。今度は噂の太郎ラーメンを食べるという目標に向かって、登山道をひた走ります。晴れていれば、山並と池塘が織り成す絶景を眺めながら歩けるはずですが、今回もお預けとなりました。
小屋につくと早速ラーメンを注文、ここまで約9時間半歩いてきたので大盛りでもペロリでした。下山前に少し降られてしまいましたが、ラーメンパワーで折立まで駆け下り無事下山。
たったの2日間でしたが、ラーメン以上に濃い山旅となりました。