【レポート】紅葉谷道 企業参加型共同作業体験 №3
- 投稿者
- あやや(おとな女子登山部)
- 日程
- 2023年03月07日 (火)~2023年03月07日 (火)
- メンバー
- 神戸市・建設局 公園部の森林整備事務所
一般社団法人 神戸市造園協力会の皆様
神戸電鉄ならびに神電コミュニケーションズの皆様
好日山荘
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 極楽茶屋跡(20)作業エリア周辺で適宜移動(20)極楽茶屋跡
- コース状況
- ・特に問題なし
«お手洗い情報»
なし
感想コメント
■2023年3月6日(月) ~7日(火) 丸太ベンチ加工・設置
本日からの現場は再び初日に作業を行った極楽茶屋跡から紅葉谷道へ10分ほど下った場所での
大木切り出し・ベンチの作製です。
この日は他にも新しい標識を設置するため、運搬するものが多かったので、全員で手分けして運びました。
大物を運ぶ背負子が大活躍です。
チェーンソーを使った大木の切り出しは別レポート(№2)の通りですが、材料として、倒木や不要な間伐材を再利用することもあります。
因みに今回切り出したのは全て杉で、木目がまっすぐ通り、柔らかく加工しやすいのが特徴です。
日本で最も多く植林されており、国産材のなかでは最も安く手に入ります。
檜(ヒノキ)は強度と耐朽性が高い優良材で、杉の次に植林されているのですが、同じ樹齢の場合、杉の半分程度の太さにしかならないため高価なんだそう。
設置場所は登山道の邪魔にならない事が大前提ですが、谷方向ギリギリに設置しすぎると滑落の危険もあるため場所決めは慎重に行います。
登山道の幅や周囲からの落石リスクなどを考慮して好日山荘スタッフからの意見も反映させることができ、登山者の視点を活かせました。
ベンチの図面は予めあったものの、長さや高さを現場で最終問題ないかを確認しながら作成を進めます。
座面本体は予定通り、2.5~3メートルで問題なく設置していきます。作業に夢中になり、周りが見えなくならないよう、また指詰めや足詰めに十分注意しながら作業を行います。
ここで改めて根本から切る森林整備の作業手順をご紹介します。
1.木を倒す方向を決める
伐採をする際は、木を倒す方向を予め決めておきます。
伐採した木が人や構造物に倒れて怪我や事故が起こらないようにするためです。
2.ロープ・ワイヤー等で方向の固定ができるようにする
決めた方向にきちんと倒せるように木へロープをかけます。理由は他の木に当たったり、風で倒す方向がずれないようにする為です。念には念を、安全第一への配慮です。
ロープの端はウィンチ(または滑車)でテンションをかけ、万が一に備えます。
3.受け口、追い口を作る
聞き慣れない専門用語ですが、受け口と追い口を入れることで、木を決めた方向へ倒すことが出来ます。
受け口とは、木を倒す方向に三角形に切れ込みを入れること。
追い口とは、受け口の反対側に水平の切れ込みを入れること。
①木を倒す方向に受け口のマーク(角度30~45度)を付けます。(※慣れている場合は割愛)
②チェーンソーでマークに沿って切れ込みを入れます。
まずは平行に切り込みを入れ、その後、深さは1/4以上で、30度~45度の傾斜部分をカットします。
この角度が伐採の可否を左右する大きなポイントとなります。
③倒す方向の反対側に追い口(のマーク)を付け、チェーンソーで追い口に水平の切れ込みを入れます。
(※追い口は受け口の高さ2/3に入れる)
4.木を倒す
①追い口をチェーンソーで切り進め、受け口の手前で止めます。
②必要に応じて受け口にドアストッパーのような形をした楔(くさび)を差し込みます。
これを使う事で倒れるタイミングをコントロールすることが出来ます。
③倒す準備が出来たら、作業者以外は、木の倒れる方向とその回り120度以外の安全な場所まで離れます。作業者は笛を3回鳴らして合図をします。
④楔をハンマーで打ち込んだり、ロープを引っ張り、木を倒すきっかけを作ります。
⑤木が動き出したら、根株直径の1/10ほどを目安に残したツル(切り株と倒木が繋がっている部分)が作用して決めた方向へ倒れていきます。
5.倒れた木を裁く
倒れた木の不要な枝を切り落とし、必要な部材を切り出します。
不要な枝葉や木材が出た場合は、登山道の邪魔にならないよう周囲へ安全に積み上げておきます。
今回伐採した木はおよそ3~4m近くあり、大の大人が寄ってたかっても非常に重いです。
ウィンチも使って何とか設置場所まで移動させます。場所は登山者目線で、景色の良い小さな丘の上にしました。
ベンチの座面は今まで習ったチェーンソーの使い方の応用で作っていきます。
垂直に切るのではなく、水平=横にスライドさせながら切る、というやや高度なカッティングに挑戦します。
山ごはんを置くテーブルのようなものがあると便利なのではないか?という案も出たので、座面の横をさらにカットし物を置ける形に工夫してみました。
これからたくさんの方に座っていただけると嬉しいです。
大木の伐倒やその後の処理などは、危険も伴いますが、非常にダイナミックでコンテンツとしての価値も高いと感じました。その場にあるものを選定から伐採、ベンチへの加工まで一連の流れを体験出来るのはコアかもしれませんが、登山愛好家の方には興味を持って頂けるのではないかと思います。
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