おとな女子登山部レポート梅雨明けの明神主稜~前穂縦走
- 投稿者
- るんちゃん(おとな女子登山部)
- 日程
- 2022年06月28日 (火)~2022年06月29日 (水)
- メンバー
- 山仲間1名
- 天候
- 晴/風
- コースタイム
- 【1日目】河童橋(50分)明神岳分岐〈7番標識〉(210分)森林限界(60分)5峰(60分)幕営地〈3峰手前〉
【2日目】幕営地(30分)2峰(150分)前穂高岳(120分)岳沢小屋(120分)上高地
- コース状況
- ・さわんどBT駐車料金1400円。千円札しか使えないので注意。さわんど~上高地バス往復2400円。始発6時。上高地下り最終16時45分です。
・7番標識から稜線までの急な箇所にはロープ張ってあります。
・幕営適地は3峰までにいくつかあります。岳沢小屋まで水場なし。1人4Lずつ持って上がりました。
・2峰の下りは懸垂20mと15mの2ピッチ。クライムダウンできそうな箇所もあるようですが未確認。
・2峰から前穂までは踏み跡薄い所もあり、何度か間違えました。ガレ、ザレで歩きにくく、浮き石にも注意です。
- 難易度
感想コメント
上高地から明神主稜線と前穂高岳を縦走してきました。直前まで天候が怪しかったのですが、幸運なことにちょうど前日に梅雨明けの発表。朝の静かな河童橋をテンション高めで出発しました。
岳沢小屋への道のりを7番の標識まで登ると、明神へ向かう尾根へ取り付けます。しっかり踏み跡&赤テープが付いているので迷うことはありません。その代わり道のりはえらく急で、おまけに重装備の為スピードは全く上がらず。私は17kg、相方くんは23kg、じっとりと滲む汗を拭いつつバテないようにゆっくりと歩きました。
標高差は1000m以上、代り映えのしない樹林帯を黙々と登っていると、木々の間からゴツゴツした西穂、奥穂の稜線が見え隠れして、ここが北アルプスだということをしばらくぶりに実感できます。森林限界近くのアスレチックな岩場を登っては下り、さらにダケカンバの森を抜けるとようやく稜線に出ました。ちょっぴり強めの風でクールダウン、遥か下の河童橋を俯瞰しながら大休止の後、寝床を求めて再び重い荷を背負いました。
明神岳主稜は5つの峰が連なり、最初のピークの5峰にはシンボリックな木のピッケルが刺さっています。ここから眺める稜線は圧巻で、ギザギザの鋭峰を見たらあんなとんがりを登れるのかと不安になるほど。進めば進むほど足元は狭く不安定になってきたので、3峰手前の適当な場所でビバークすることにしました。
前室を開けるとそこは非日常の世界。ちょうど目の前に明神が拝める絶好の場所に張りました。左手には乗鞍や御嶽、右に目をやると常念山脈。なだらかな蝶ヶ岳の稜線にたゆたう雲の影を眺めていたら、いつの間にかうとうと。気温も寒すぎず快適で、幸せに包まれながらぐっすりと眠りました。
翌朝はかなりの強風、テントが大きくたわむほどの風で目を覚ましました。外はこの上なく良い天気。飛ばされないように慎重に撤収してアタック開始です。
2日目のハイライトは懸垂下降とルートファインディング。登攀はありませんが、下降点の状況や強風の影響など、問題なく抜けられるか行ってみないとわからず、ちょっとしたバリエーション要素を味わえます。3峰まではスムーズに越えて、いよいよ2峰の懸垂点までやって来ました。
荷物を分散させるために今回はダブルロープ30mをそれぞれ1本ずつ持参しましたが、それが仇となってしまうとはつゆ知らず。緩いフェースで引っかかりそうな溝もなく、引きもきちんと確認したつもりが見事に回収不能に。滅多に使用することはないと思っていた登り返しを、早くも実践で使うことになってしまいました。身につけておいて本当に良かったです。
スタックの原因はロープの結び目が僅かな岩溝に引っ掛かっていたせい。今回はシングルロープの方が正解だったかもしれません。時間は多少ロスしましたが良い経験になりました。
緊張の懸垂が終わって後は前穂を目指すのみ。1峰まで来ると前穂と奥穂の圧倒的な存在感をひしひしと感じ取れます。踏み跡を辿って安全な場所を歩いているつもりが、いつの間にかロストして、際どい岩の上を歩いてたりハイマツの海にはまったり。ルートミスしたら先頭交代という暗黙のルールに乗っ取り、ゲーム感覚で楽しみながらルーファイしました。
やっとこさ登山道に合流して前穂の頂上へ。ここまで来てようやく槍の穂先が顔を出しました。このエリアはかれこれ10年振りの再訪。10年前は岩にビビりながらよちよち歩いていたなぁ。初々しい頃の思い出に浸りながら灼熱の重太郎新道を下りました。
上高地はうって変わって沢山の人々。早めの夏休みを満喫する人で賑わいを見せていました。この時期はまだ登山者より観光客の比率が圧倒的に高いようです。河童橋からすぐの売店でゲットしたひんやり甘いソフトクリームで、下山のお祝いをしながらバスを待ちました。
穂高エリアはまだまだ行きたいルートがたくさん。これからもっと登攀力を上げて、前穂北尾根やゆくゆくは明神東稜にも挑戦したいです。