鈴鹿の美渓 赤坂谷遡行 ~ カラト谷下降で最短周遊 (神崎川支流)

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2014年06月13日 (金)~
メンバー
単独行
天候
コースタイム
R421神崎橋ゲート(20分)仙香谷出合(80分)カシラコ谷出合(40分)660m地点(50分)カラト谷出合(30分)神崎川林道(30分)R421神崎橋ゲート
コース状況
■ 神崎川林道 … 車両通行止め。入口にゲート。奥は落石多くあります。
■ 駐車スペース … ゲート脇に3台ほど。三重県側に少し坂を上ったチェーン着脱場も停められそうです。
■ 林道からの下降路 … 乗倉橋の手前、ロープの張られた下降路あり。
■ 水量豊富で水温低めでした。
■ 乗り越し点の印はないので、初見ではそれなりの読図力が必要です。
■ カラト谷下降 … 上部は斜度がありますが、ロープなしで降りられました。
■ 帰路は堰堤(水取入口)から林道へあがる道を使いました。
難易度
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感想コメント

鈴鹿で最も美しいと言われる「神崎(かんざき)川」。
鈴鹿山脈の御在所岳と雨乞岳を源とする一大渓流で、「愛知(えち)川渓谷」の名称でも親しまれています。
水量豊富で、山深く緑濃い渓谷美は訪れる全ての者を魅了し、鈴鹿で唯一本流遡行を堪能することができます。
前半部のS字峡や、中流部の40m長瀞、天狗の滝など多くのハイライトをもち、渓相は豪快かつ美しく、盛夏ともなれば涼を求める多くの遡行者で賑わうようです。

「赤坂谷」はその神崎川の最大支流、釈迦ヶ岳から中峠にかけての稜線を水源とする大きな沢で、『関西の赤木沢』とも称される美渓です。
(※赤木沢は北アルプス黒部川支流の美渓として名高い有名ルートです)
前半部の廊下帯と、中流部の美しいナメが迎えてくれる魅惑のルートで、白い花崗岩の川床と多くのナメ滝が遡る者を陶酔させ、鈴鹿山系で最も美しい沢の一つにあげられます。
正確には下流域を「仙香谷」、すごい名前の「鬼女谷」を分け、617m地点の二俣で「カシラコ谷」と本流の「赤坂谷」に分かれます。

はっきりとしない梅雨空の下、神崎川では一番ポピュラーな赤坂谷を訪れてみました。
水温の低い釜を泳ぎながら越えていくのは決して楽ではありませんが、何度見ても美しいエメラルドグリーンの清流は瑞々しい感性を呼び戻し、心の奥まで潤してくれます。
ハイライトは中流部に連続する水量豊富なナメ滝群の美しさ。
あたかも北アルプスを彷彿とさせる見事な渓相で、気が付くと足が止まり、ナメ滝が生み出す癒しの風景に時を忘れて魅せられてしまいました。

本来の沢登りのあり方としては、釈迦ヶ岳へと登り詰め、中峠からの不明瞭な登山道を下降し入渓点に戻るべきですが、上流域がとても穏やかな渓相で、何よりも時間がかかるということで、一般的には南側の尾根を乗越し、同じく美渓のツメカリ谷を下降するケースが多いようです。
しかし今回は直近でツメカリ谷を2回遡行しているので、あえて最短下降を意識し、隣のカラト谷の下降を試みてみました。
一部斜度のキツイところもありましたが、立ち木につかまりながらスピーディーに下降することができ、結局ロープを使用することなく神崎川本流に降り立つことができました。
残念ながら遡行価値はありませんが、短時間で下降できる沢としてもっと認知されてよいような気がします。
赤坂谷遡行というと何となく時間がかかるイメージがありそうですが、カラト谷を下降すれば比較的短い時間で周遊できるので、トレーニングに使える山深く美しいルートとして1本もっておくのもよさそうです(今回は9時半に駐車場を出発して、14時半に戻ってくることができました)。


一期一会としてその日その時をただ純粋に楽しむ登山のあり方も素晴らしいもの。
しかし何か冒険的要素の高い大きな目標を抱き、登山者として心技体の修練を繰り返さなければ、より高いステップに確かにある世界に辿り着くことはできず、短い人生の中でいつまでも同じ風景しか見ることができないと考えるのは不自然でしょうか。
とりわけ沢登りの技量を高めるためには絶対的な経験値が必要です。
神崎川の沢の美しさは確かに素晴らしい。
しかしもっと美しくも厳しい沢がまだまだたくさん存在します。
より高みを目指し、まだ見ぬ気高い世界を覗くために、自分に一体何が必要なのか、この素晴らしいフィールドで自分を磨きながら、そのヒントをつかむことができればよいと思っています。

フォトギャラリー

美しいナメ滝が続く赤坂谷

仙香谷出合

深い釜をもつ8m滝

白い花崗岩とエメラルドグリーンの釜が広がる美しい渓相

トイ状斜滝8mへは釜を泳いで取り付きます

迫力ある10m滝が続きます

上部はシャワークライミングで越えます

中流部の穏やかな廊下帯

カシラコ谷出合を過ぎると視界が開けます

最初のナメ滝

どの滝も軽快に登っていけます

曇り空の下で水温が低く感じます

水量も豊富です

長いナメ滝は赤坂谷のハイライト

様々なナメ滝が現れます

トイ状のナメ滝

段々と渓相が穏やかになっていきます

660m地点の張りだした岩の手前から枝沢に入ります

遡行価値のないカラト谷を下降しました

神崎川本流の美しい瀞

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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