台高 蓮川の名渓 ヌタハラ谷遡行 ~ 超絶美瀑連なる壮麗な渓を辿る (桧塚南面 櫛田川水系)
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2014年09月17日 (水)~
- メンバー
- 浜松メイワン店 伊藤 岳彦 (文・写真)
浜松メイワン店 藤谷 康輔 (モデル!?)
- 天候
- 晴
- コースタイム
- ヌタハラ谷出合(60分)夫婦滝下(80分)不動滝下(60分)アザミ滝下(35分)桧塚奥峰(110分)林道終点終点(50分)ヌタハラ谷出合
- コース状況
- ■ 県道569号線(蓮峡線)は舗装路。通行問題なし。
■ 廃村の蓮より先はダート。四駆でなくとも大丈夫です。
■ ヌタハラ出合手前の堰堤上まで進入可。駐車できます。
■ 夫婦滝手前は倒木多数。沢は荒れていました。
■ 初級ルートだけあり、高巻き道はどれも比較的明瞭でした。
■ ネコ滝手前には幕営適地が幾つかありました。
■ 1160m二俣より右の枝沢を詰めると桧塚奥峰に出ました。
■ 下山は1214m地点から南東進するとヌタハラ林道に出ます。
- 難易度
感想コメント
台高北東部(三重県松阪市)、奥香肌(おくかはだ)峡と称される蓮川(はちすがわ)には、スケールの大きい名渓秀渓が幾つもあり、初級者から上級者まで幅広く楽しむことができます。
その蓮川上流部に位置し、豊かな自然が広がる桧塚奥峰を源頭として東南に流れる渓がヌタハラ谷です。
夫婦滝3段100mや不動滝2段50m、ネコ滝2段40m、アザミ滝30mなど名高い美瀑を多く抱き、凝縮された連瀑とゴルジュのなかで、台高の渓谷美を存分に肌で感じることができる美渓として知られます。
蓮川界隈では訪れる方の多い谷のためか、どの高巻き道も比較的明瞭ですが、安全には充分注意する必要があります。
美しい連瀑とともに、ヌタハラ谷遡行を素晴らしくさせているのは、詰めの草原の清々しい開放感。
胸躍らせ遡ってきた者に心地よい大きな充実感を与え、桧塚奥峰山頂から見渡す台高・大峰山脈の大観は至福の一時を約束してくれます。
エアリアマップに記載はありませんが、桧塚下部までヌタハラ林道が延伸しているので、下山も比較的容易で日帰り遡行も十分可能です。
晴れ渡る九月の空の下、秋の訪れを少しずつ感じながら、再び奥香肌峡へ。
「遡る者を有頂天にさせる」と紹介される魅惑の渓、ヌタハラ谷を訪れてみました。
朝6時夜明けともに入渓し、冷たい水温のなか淡々と小滝を越え、台風の爪痕残る無残な倒木帯を乗り越えると、ハイライトの一つである夫婦滝3段100mへ。
最下部より全容は見えないので、下段の滝の頭に出る必要がありますが、高巻きしすぎてしまい、核心部を見逃すという悔いの残る失態!?。
次に訪れるときは夫婦滝の勇姿をカメラに正面から収められるようルートを見極めたいところです。
しかし次なるハイライト不動滝2段50mも迫力満点の大滝!スケール大きな自然の造形美に誰もが感嘆の声をあげることでしょう!
遥か上から落下する強烈なシャワーを浴び、普段味わうことのできない強烈な爽快感を味わうことができました。
さらに続くネコ滝2段40mやアザミ滝30mは水線が細いながらも高度感があり、大滝の優美な美しさを存分に見せつけてくれます。
アザミ滝上の二俣から枝沢を詰めると、気持ちの良い草原が広がる桧塚奥峰へ。
優しい風が心地よいピークから望む景観はとても素晴らしく、遡行のフィナーレとして台高・大峰山脈の雄大な展望を恣にすることができました。
関東出身の私にとっては初めて見る関西の大展望で、奥秩父を凌駕するほどの壮観さのなかに、会津越後を彷彿とさせる山深さが秘められているような気がして強く印象に残りました。
下山は桧塚より東進した地形図1,214mピークにある「ヌタハラ林道↓」の道標に導かれ、急峻な尾根を下っていくと林道に飛び出します。
テープと踏み跡を頼りに落ち着いて行動すれば、迷うことはないと思われます。
この辺りは山の崩落と相まって膨大な量の植林が行われているようで、夥しい数の無表情な杉林に囲まれながら、原生林に覆われた蓮川を見てみたかったという複雑な思いにかられました。
ヌタハラ谷は聞きしに勝る名渓でした。
総合的に完成度の高い遡行が楽しめるので、下から上まで忠実に沢を辿って頂に立つという本来の沢登りの姿を求める方には是非訪れてもらいたいルートです。
そしてまた紅葉の時期のヌタハラ谷は写真的にも極めて美しいはず!
美しい連瀑と急峻な谷、そして爽快な草原が燃えるように赤く染まる頃にまた訪れてみたい、自然とそんな気にさせる素晴らしいルートでした。
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