屋久島大縦走!ヒルと闘う(荒川口~宮之浦岳~尾之間温泉、激闘三日間)

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2010年08月24日 (火)~2010年08月26日 (木)
メンバー
天候
晴れ時々曇り(一日目、二日目)→雨(三日目)
コースタイム
【一日目】
荒川口(7:00)→小杉谷集落跡(7:40、休憩)→楠川分れ(9:50)→ウィルソン株(10:50、休憩)→大王杉(11:50)→縄文杉(12:35、休憩)→高塚小屋(13:20)→新高塚小屋(14:30) 行動時間:7時間

【二日目】
新高塚小屋(7:20)→平石(8:40、休憩)→宮之浦岳(9:45、休憩1時間超)→投石平(11:30)→黒味岳分れ(12:15)→黒味岳(13:20、休憩)→花之江河(14:20)→小花之江河(14:28)→淀川小屋(15:20) 行動時間:約8時間

【三日目】
新高塚小屋(5:45)→淀川入口(6:15)→乃木尾根(7:40、休憩)→鯛之川出合(8:20)→ハイキングコース分岐(11:50、休憩)→尾之間温泉(13:45) 行動時間:約8時間
コース状況
【荒川口~小杉谷集落跡~楠川分れ】
荒川口はきれいなトイレ、駐車場がある登山口。早朝から縄文杉を目指すツアー客で賑わっています。安房森林鉄道の軌道上(トロッコ道)を歩きます。この鉄道は使用されており、作業員たちを乗せて運転していますので近づいたら速やかに道を空けましょう。小杉谷集落跡には小中学校跡もあり、解説付きの看板があり昔の栄華が偲ばれます。校庭跡に入れますがところどころ陥没しており進入禁止になっています。

【楠川分れ~ウィルソン株~縄文杉~新高塚小屋】
楠川分れからも軌道上を歩きます。この辺りから屋久杉の巨木群が目立ち始めます。大株歩道入口でトロッコ道は終わり高度をぐんと上げます。ウィルソン株はアメリカの植物学者アーネスト・ヘンリー・ウィルソンが紹介。1586年(天正14年)豊臣秀吉の命によって切られたといわれます。なかは畳10畳ほどの広さがあり、清水が滾々と沸いています。縄文杉は樹齢4,000年ともいわれ、1966年屋久町役場観光課長岩川貞次によって発見されました。ここは写真撮影の順番待ちができるほど。しかしそれも13:30頃までです。なぜって??それはこの時刻がツアー客が乗る最終バスの出発までに引き返せるギリギリの時間だから。僕たちは14:00頃のんびりと撮影しました♪ここまでは大勢の登山者がいますがほとんどはガイドをつけた登山者で、個人の方もツアーの方もいます。いろいろなガイドの方と話しましたが、それよりも何よりも僕は山でこんなに大勢のガイドを見たことはありません。高塚小屋~新高塚小屋は静かですが急峻な登山道。ヤクシカが多く出没します。事実、夕食は小屋の前の板張りのテント場でのんびり摂りましたが、ヤクシカが僕たちの目の前に出てきてコケなどを食べていました。ヤクシカは登山道にも何度も出てきてくれました。僕たちを見てもほとんど逃げることは無く、むしろ気にせず近づいてきてくれます♪

【新高塚小屋~宮之浦岳~花之江河~淀川小屋】
第一展望台からは視界が開け、奇岩群が目を惹きます。平石、翁岳、ビャクシン岳(坊主岩)、投石岳(なげしだけ)など。第二展望台、平石は絶好の休憩ポイント。宮之浦岳のベストビューポイントです(^o^)。途中の急登には何ヶ所がロープが掛けられており、特に雨の日の一枚岩の通過には頼りになります。標高1936mの宮之浦岳は九州最高峰。360度遮るものの無い大展望が広がります。特に奇岩の集まった永田岳を正面に望め、これをバックに記念撮影が定番。またこれから向かう栗生岳、翁岳の眺めも最高です。黒味岳は往復1時間弱でピストン可能。是非行ってみてください。一枚岩の山頂からの眺めは絶景です。花之江河は標高1600mに広がる泥炭層湿原。淀川(よどごう)小屋は淀川のほとりに立つ避難小屋。川は浅く広く、水も驚くほど澄んでいて、夕方まで水遊びをしました。小屋内と周辺にはヤクシマヒメネズミが出没しますので、食料は厳重に封をしておいてください。夜中に僕の周囲をネズミが徘徊していましたし、朝食時には僕たちの食事を狙っていました。

【淀川小屋~淀川入口~尾之間温泉】
小屋から淀川(*よどごうと読みます)入口までは40分ほど。車でここまで入れますし、トイレ、駐車場も完備されています。しかし、僕たちは道路を横切り、再び登山道に入ります。ちなみに屋久島では登山道を「歩道」と呼び、ここから入るのは「尾之間歩道」です。さらにちなみに尾之間は「おのあいだ」と読みます。乃木(のんき)尾根までは険しい道でここから鯛之川出合まで一気に高度を下げます。膝に不安のある人には苦しい道です。さらに廃道かと思うほど道は荒れていて、所々倒木が道を塞いでいます。鯛之川出合は徒渉ですが、増水時は危険です!思い切って淀川入口まで引き返し、タクシーを呼んで下りましょう。この後も蛇之口滝との分岐(ハイキングコース分岐)までは何度も徒渉が続きます。この日は朝から小雨でしたが、淀川入口に着いたときには激しくなり、雨具(レインウェア)を着ました。その後嫌になるほどのダラダラ下り、徒渉、倒木へのクライミング(!)を繰り返し、尾之間温泉に着きます。
難易度
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感想コメント

【ヤマビル襲来!】
三日目、レインウェアを着たとき、樹林帯のなかだし暑いし…と油断し、パンツを着ませんでした。すると…。鯛之川出合の辺りで休憩したとき、同行者の腕にヒルが!!剥がそうとしましたが剥がれません。とっさに持参していた虫除け『バズオフ・アウトドアスプレー』をヒルに吹き付けると瞬く間に小さくなり、断末魔の叫びを残して(想像)ポロリと足元に落ちました。しかし今度は僕の両足のふくらはぎにヒルが…(>o<)!!再びシュッシュと吹き付け隔離成功。しかし尾之間温泉に着いたときにはさらに僕たちの身体には数匹のヒルが吸い付いていることに気づきました。ヒルたちはもう血を吸い満腹でパンパンに膨れ、剥がすこともせずにぽとりと落ちました。満足そうにくねくねと身体を動かすヒルの恨めしいこと!!奇しくもお互いわき腹をヒルに吸われ、温泉から上がった後もしばらく出血は続きました。僕たちの血をたらふく吸ったヒルは「ヤマビル」と呼ばれる種です。ヤマビルは吸い付いて吸血する際、唾液腺から「ヒルジン」というポリペプチドを分泌します。これは血を凝固しにくくするのでなかなか出血が止まらないのです!対策としては1.皮膚をなるべく露出しない。2.『ヒル下がりのジョニー』などの忌避剤を袖口や靴下に吹き付けておく。などです。『ヒル下がりのジョニー』は吸い付いたヒルを剥がすのにも効果的だそうです。僕は荷物を軽くするためこれをあえて持ってきませんでした。うーん、失敗した(T_T)/

【廃道寸前、尾之間歩道】
この道はガイドブックなどでは問題なさそうに書かれています。もちろんアルプスのような危険箇所はありませんが、気をつけなければならないのは「増水時」。徒渉箇所がたくさんありますが、増水時徒渉困難な場所はいくつかあります。淀川入口へ引き返す予定も立てておきたいものです。また「倒木」が多く、大型ザックを背負っての通過は難儀します。

【レンタカーで観光】
登山以外にも屋久島には観光スポットがいっぱいあります!!レンタカーで島を一周しても1時間ちょっとです。一日はのんびり島巡りしてみませんか?おすすめは永田の「いなか浜」。シーズンには海がめの産卵が見られるかも。また、屋久島灯台より西は道が細くなり、うっそうとした雰囲気ですが、ヤクシマサルの生息地域です。僕たちも毛づくろいするサルの大家族をいくつも見ました。それも車のすぐ脇で。

フォトギャラリー

「宮之浦岳」山頂にて、バックは「永田岳」。さあ、皆さんもこの絶景を手に入れましょう!!はじまりはじまり~♪

前日に屋久島入り。夕方宮之浦地区のスーパーで「トビウオ」が普通に売られておりビックリ!宿の夕食にもトビウオの塩焼きが出ました。

屋久島のトカゲは気のせいか本州のものより鮮やかで元気がいいような…

機関車になったつもりでズンズンと進みます。

箱庭のような風景。道は整備され、階段も苔むして趣がありますなァ。

「ウィルソン株」のなかから上部を見上げたところ。見方によってこのようにハート型になります(^_^)♪

「縄文杉」の前で。神聖な古木の前ではこのようなリラックスポーズはそぐわない?

「新高塚小屋」での夕食です。ラーメン、カレー、鯖の味噌煮缶。節操の無い食べ合わせです。

「新高塚小屋」の外観。きれいに見えますが、ネズミのすみかでもあります。

奇岩その1。こういう岩がまーたくさんあります。

おおーッ!!ヤクシカが目の前に出てきて木の芽を食べてくれました。こんなにどアップで写真が撮れるとは!奈良なら煎餅をねだられ、袖口を引っ張られますな。

雨の日には頼りになるロープですが、強い女性はそんなものには頼りません!

奇岩その2。「平石」です。UFOでも呼びますか…。宇宙人が好みそうな岩です(?)。

ついに「宮之浦岳」が見えてきました!テンションが上がります↑↑↑!!

「宮之浦岳」山頂にて、「翁岳」をバックに。

奇岩その3。だ、誰だ、お前は!!

「小花之江河」にて。正面は奇岩その4の「高盤岳」。そして湿原のなかには食事中のヤクシカ。絵になるなァ~。

「尾之間歩道」のなかの徒渉地点。えっ?この川渡るの?!向こう岸には赤布付いているし…。結局濡れずに渡れました(^o^)v

息絶えて土へ帰っていくヤクシカ…。ここには自然、生物の営みが凝縮されています。

「尾之間温泉」前で僕のわき腹から落ちたヤマビル。憎らしいほど丸々と太っています!!

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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