秩父山地 二子山

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投稿者
田渕 幹敏
日程
2013年07月20日 (土)~2013年07月20日 (土)
メンバー
ららぽーと横浜店 田渕 (TL)
他 3名
天候
コースタイム
【東岳】 全体で95分 (途中休憩込/大休止等は含まず)
股峠 ⇒ 東岳 ⇒ 股峠
【西岳】 全体で240分 (途中休憩込/昼食休憩等は含まず)
股峠 ⇒ 上級者コース ⇒ 西岳 ⇒ 魚尾峠 ⇒ 巻道 ⇒ 股峠
コース状況
稜線及び上級者コースの露岩帯以外は、天気が良くても粘土質の路面が滑るヶ所が多いので注意。

西岳の登山道及び東岳の上級者コースは、垂直に近い岩場が頻出する。
ホールドは豊富で難易度は高く無いが、滑落は即致命的な事故に繋がるので要注意。

東岳の登山道は、初級者コースにも多少の鎖場有り。
踏跡が幾つか有り辿るルートによっては少し迷う事があるので、股峠で地形を確認しておくと良い。

稜線上は基本的に両側が切れた痩尾根の為、転倒/転落に注意。
風雨に浸食された石灰岩が鋭く尖っており手を切る事があるので、グローブはあった方が良い。

魚尾峠から股峠への巻道は比較的緩やかなアップダウンで歩き易いが、路面は滑るので注意。
岸壁の上に登山道が通るので、落石にも注意が必要。
難易度
Google Map

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感想コメント

秩父には二子山と呼ばれる山が二つあります。
一つは横瀬町にある883mの山、もう一つが今回登った小鹿野町にある1165.8mの山です。

小鹿野町の二子山は石灰岩からなる岩峰と岩稜の山で、その腹壁には多くの秀逸なクライミングルートが拓かれてきました。
日本最難のフリールート「フラットマウンテン(5.14d/15a)」もこの山にあり、東西のピークを分ける股峠から上は…登山道も岩を攀じ登る様なクライミング要素の強いルートになります。
麓からの登山道もついていますが、車で股峠直下まであがると僅か10分のアプローチでこのスリリングなルートに取付く事が出来ます。

事故防止の意図も有り、地権者の意向でルート上の鎖はその殆どが取り除かれています。
その為、二子山の登山道は自然のままの美しさを色濃く残しているのです。
まるで原始の森に分け入って行くような独特の趣は、いつも僕をドキドキさせてくれます。

二子山の稜線は、僕が今まで訪れた山の中でも屈指の美しさです。
顕著な岩稜であるにもかかわらず、森を切り裂く事のない調和した美がそこにはあります。
まるで太古の遺跡の様に半ば森に溶け込んだ…しかし迫力を失わない尾根が、龍の背の様にのびて僕らを更に深山へと誘います。
風雨に浸食された石灰岩が独特の奇形を成して美しさにまるで異世界の様な不思議な魅力を添えており、その為か西岳と東岳で少し雰囲気が異なるのも素敵です。

生物の息吹も多く感じられます。
美しい木々や花々、数種の蝶、多くの虫達、糞や足跡等の動物の痕跡…。
今回は稜線上で猛禽類の物と思われるペリットも見付けました。
そして、なんと!
稜線のペリットの主でしょうか…、帰りには車の窓から大きなクマタカを見る事が出来ました。
道沿いの枝にとまっていたのですが、こんなに間近に野生の鷹を見たのは初めてでした。
クマタカ(角鷹/熊鷹)は国内の鷹の中では大型で森林生態系の頂点に君臨し、「森の王者」とも呼ばれる強靭な猛禽類です。
一方で、一部の例外を除いて一夫一妻を通すロマンティックな鳥である事も知られています。
絶滅の危機に瀕しているこの希少な鳥に出会えた事は、とても嬉しい出来事でした。

入山から魚尾峠(近隣には"魚尾道"と書いて"よのうみち"と読む地名がありますので、恐らく"よのうとうげ"と読むのだと思います。)へ抜けるまで、まるで天上の秘境の様な世界に包まれる二子山。
下部の巻き道も豊かな樹林帯で、前回訪れた際にムササビを見たのを思い出します。
稜線の美しさと山を覆う豊かな森がこの稀有な環境を生み出し、そこに至る登攀の適度な厳しさがそれを守ってくれているのでしょう。
何度でも訪れたい、素敵な山です。

フォトギャラリー

西岳の登り。適度に冒険的で素敵だ!

西岳の稜線。この美しいラインを初めて見た時は、本当に感動した。

山頂付近。薮っぽいがルートは明瞭で、今の時期は花々が美しい。

深山烏揚羽。ビロードに輝く翅が美しい大型のアゲハ蝶。

辿って来た稜線と、これから登る東岳の岩峰。

北穂高岳 東稜を思わせるシャープな岩稜。短いが秀麗なパートだ。

西岳の全体図。本当に素晴らしいラインで道が付いていて感心させられる。

草付の岸壁を登る。まさに核心が終わった辺りから見下ろした写真だが、この後もずっと気は抜けない。核心部は、程良く階段状でホールドは豊富だが、斜度はほぼ垂直の岸壁。

大きな山椒。良い香りがする。

稜線に上がると、まずこの風景が迎えてくれる。心が躍り、胸が高鳴る。

このダイナミックな風景は、とても1200m足らずの標高とは思えない雄大な力強さに満ちている。背後の山並みは両神山系。

先程も紹介した深山烏揚羽。老齢なのか翅が傷付いているが、その気品ある姿はやはり美しい。

東岳から烏尾峠へ向かう美しい稜線。適度に混ざる緑の木々が趣を添える。まるで龍の背の様なこのラインは、僕が最も美しいと思う尾根の一つだ。

その美しい尾根上でランチタイム。最高のロケーションで最高の仲間と過ごす、値千金の一時。

ミスジチョウの一種。近縁種との見分けが難しく自信が無いが、ホシミスジだと思う。数回羽ばたいた後に滑空する独特の飛び方は、空間を滑る様な優雅さで非常に美しい。

こうして写真で見ると大迫力!まるでアルパインクライミングのルートの様で、本当に素敵なコースだ。

実際には道はそれ程悪く無いが、難易度でははかれない魅力が、この山にはある。

稜線上で見付けたペリット。動物の骨が含まれており、サイズも大きい。恐らくは猛禽類の物と思われる。帰りに出会ったクマタカだろうか?近くに巣があるのかもしれない。

タテハ蝶の一種。時期にも因るのだろうが、二子山では多くの蝶を見かける。

クライミングエリア。休日には多くのクライマーで賑わうが、今日は白く輝く石灰岩の岸壁が静寂の中に佇んでいる。

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