おとな女子登山部レポート恐怖のアイスバーンと水の産声を探す旅~奥秩父・笠取山
- 投稿者
- るんちゃん(おとな女子登山部)
- 日程
- 2021年02月07日 (日)~2021年02月07日 (日)
- メンバー
- 銀座店 西山
- 天候
- 晴/曇
- コースタイム
- 作場平(30分)一休坂分岐(90分)笠取小屋(50分)山頂(20分)水干(40分)笠取小屋(15分)ヤブ沢峠(40分)一休坂分岐(20分)作場平
- コース状況
- ・作場平までのアイスバーンはかなり手強いです。スタッドレスでもハンドルを取られるので10km/h以下で慎重運転に努めてください。午後になっても半分も溶けません。帰りは登りになるのでFFだときついです。
・登山口と笠取小屋のバイオトイレはこの時期でも使えました。
・日陰になっている登山道は凍っているので軽アイゼンやストック必要です。降雪後は小屋より上では腰まで潜る場合もあるようなので、ワカンがあると良さそうです。
・西峰の後10分ほど行くと最高点があります。切れ落ちた岩場に雪が付いているので通行注意。
- 難易度
感想コメント
荒川、多摩川、富士川の分水嶺がある奥秩父の笠取山。懐には多摩川の最初の一滴を宿し、スキーのジャンプ台のような姿が魅力的な人気の山です。この時期は一ノ瀬林道が凍結するため登る人が少ないとのことで、今の時世にはもってこい。奥多摩湖から多摩川沿いに、川を遡上しながら登山口を目指しました。
411号線から右の脇道に入ると路肩に除雪された雪がごろごろ。雪はちゃんと避けられているし問題無さそうだと高を括っていたら、最後の1kmでつるつるの分厚いアイスバーンが待っていました。氷の層はかなり厚く、日が当たって溶けるにはかなりの時間がかかりそう。この大量の水分は一体どこから?もしかして水の山だから山肌から染み出している?恐怖でいっぱいの割に、頭の中は冷静に分析している自分に驚きつつ、慎重に慎重を重ねてのろのろ亀のように進みました。終いには後続の猟友会軽トラに煽られて何とかかんとか到着した作場平駐車場、意外にも数台の車が停まっていました。みんな山仕様のSUV車、羨ましい限りです。
先程までの運転で既に達成感と疲労感でいっぱいでしたが、登山口向かいのキレイなバイオトイレに立ち寄り、気を取り直して出発しました。
道は土が出ていて一見すると春山のよう。しかし足元はガチガチに凍っており、少しでも傾斜がつくとバランスを崩してしまいます。一休坂までは軽アイゼンを装着して登ることにしました。
分岐から先は日が当たり、雪が緩んでぬかるんでいる部分もあったので一旦アイゼンはザックの中へ。小屋まではあっという間で、こちらの綺麗なバイオトイレもありがたく使わせてもらいました。
ふと顔を上げると鹿の群れがこちらを見ています。雲取山同様、この山域も鹿が多い様子。小屋周辺や山頂近くには鹿避けの柵や、木の幹にネットを巻いて獣害対策が念入りに施してありました。可愛い鹿たちも増えすぎるといろいろと大変です。
そんな笠取小屋を出発すると、程なく分水嶺のある稜線に出ます。いよいよ風が強さを増してきて、異形のピーク・笠取山の山頂が見えてきました。ジェットコースターとかスキーのジャンプ台とか、いろんな言われ方をしますがどの表現も言い得て妙で、天空に突き上げるように一直線に道が延びています。雪で覆われているので試しに道を外れて登ってみると、膝までがっつり埋まってしまいました。アイゼンが必要なほど急ではなく、ワカンがいるほど長期戦にもならなそうなのでそのままつぼ足で山頂へ。山頂の風はかなり強かったので、本峰目指してシャクナゲの尾根にさっさと逃げこみました。
この先は狭い上に岩が露出し、場所によっては雪がべったり。少々緊張を強いられる細尾根でした。頂上からは霞んだ大菩薩が確認できましたが、暗い雲が北から流れ込んでいたので富士山や南アルプスは確認できず。長居はせず水干に向かうことにしました。
水干(みずひ)は沢の行き止まり、つまり源流を意味します。笠取山の南側にある巻き道の少し上に位置し、何の変哲もない沢筋が下まで続いていました。大河の一滴は確認出来ませんでしたが、沢に覆い被さっていた雪が溶けて、土に染み込みやがて川となる...そんなイメージを頭に描いたらなんだか感動が湧き起こってきたので、沢を眺めながら気の済むまで大休止することにしました。
ランチをとって食後のコーヒーを啜っていると、空から白いものがちらちら。青かった空はいつの間にか真っ白、慌ててパッキングし下山に取りかかりました。下山は登りと少しルートを変えて沢沿いを下ります。途中様々な形の氷柱を鑑賞しながら歩きました。この氷柱もいつか溶けて海に注いでいくんだなぁ。そう思うとまたしみじみした気持ちがこみ上げてきました。
小さな感動を胸に、ほんわかした気分で登山口まで下りてきたのに、ここにきて忘れていたつるつる地獄の恐怖を思い出しました。
帰りは登りになるのでアクセルの調整に手こずり、思わぬ方向へ行きそうになるのを必死に堪えながら、やっとの思いで抜け出しました。その後も青梅までワインディングロードがしばらく続きますが、凍ってないので天と地の差、煽られようが余裕綽々とドライブして帰りました。
今回も混まずに楽しい山登りができましたが、しばらくアイスバーンの運転は遠慮したいです。