雪山シーズイン!西穂でラッセルトレ
- 投稿者
-
るんちゃん(おとな女子登山部)
浦和パルコ店
- 日程
- 2021年12月07日 (火)~2021年12月08日 (水)
- メンバー
- 山仲間2名
- 天候
- 雪
- コースタイム
- 【1日目】西穂高口(80分)西穂山荘(100分)独標(60分)西穂山荘
【2日目】西穂山荘(240分)独標(80分)西穂山荘(60分)西穂高口
※2日目は膝~腰までのラッセルの為大幅に時間かかってます。
- コース状況
- ・新穂高ロープウェイ始発9:00~西穂高口最終16:15、往復3000円、荷物券600円。
・穂高口~西穂山荘まではほぼ樹林帯。小屋の方が踏跡つけてくれるのでアイゼン、ワカンなしで歩けます。
・西穂山荘からは要アイゼン。独標手前からピッケルも必要。降雪直後はラッセルとなります。
・テント泊1人2000円。水はペットボトル購入可。
- 難易度
感想コメント
久しぶりの雪山テント泊。足慣らしにちょうど良いということで、山小屋通年営業の西穂へ行ってきました。厳冬期シュラフに分厚いダウン、アイゼン、ピッケルはもちろん、ビーコン、ショベル、ワカン等、雪山ならではの装備や、登攀具に30mロープも入って僅か17kg。テントや食料は共同とはいえ、20kg越えを期待していたのになんだか拍子抜け。一緒に行ったメンズは軽く25kgを越えていて、少し負けた気分になりました。
ロープウェイ乗り場は朝から雨、単独男性が1名いたもののこんな日に登る人は他にいません。吹雪いてなければ独標まで到達できると踏んで、まずは西穂山荘を目指しました。
山荘まではノーアイゼンで。キックステップやハの字など、雪山の歩き方を思い出しながら歩きます。程よいアップダウンで、小屋に到着する頃にはすっかり体が温まっていました。
到着後は早速アタックの準備とテントの設営。雪に埋もれたテン場の中で、トイレに一番近い場所を陣取りました。まずは皆で区画整備、行ったり来たりして出来るだけ平らに整地します。3人だからあっという間に踏み固められ、テントも素早く完成。今夜は積もりそうだったので、仕上げにフライではなく通気性のある外張りを被せ、吹き出しのすぐ下に小さな上がりを作りました。段差があるので靴が履きやすく、テントの出入も大幅に楽になります。雪山歴戦の先輩の知恵を教えていただきました。
雪は相変わらず降り続いていましたが、風は落ち着いていたのでアタックを決行、独標目指して登り始めました。これは山行ではなくトレーニングだ。展望の無い中、自分に言い聞かせながら集中して歩きました。明日の天気は今日と同じかそれより悪いとのこと。条件の良い今日のうちにルートをしっかり頭に入れておいて、明日また同じく独標まで挑戦するという計画を立てました。
独標手前までは前日の薄いトレースが残っていて何とか歩けましたが、山頂直下は僅かですが岩稜が始まり、確実なアイゼンワークが求められます。今まで何となく自己流で歩いてきた私。無雪期の登攀感覚で足運びをしたら、後ろから指導が飛んできました。だって私ちゃんと習っていないもの。心の中で呟きながら教えられた通りやってみると、なるほどと納得。乗っけた爪は決して動かすべからず。僅かなスタンスにアイゼンの爪が上手く重なると、驚くほどの安定感でした。一度乗れたらそれまでの恐怖心が薄れて、無事に独標へ上がることができました。本日の到達点はここまで。その先に立ちはだかる無慈悲な岩壁を眺めながら下山にとりかかりました。
今日もたくさん勉強したなぁ、そんなことを考えていると稜線の先にうごめく白いモフモフ。真っ白なメスの雷鳥が顔を覗かせていました。撮れ高が無かったので、ここでしばらく写真タイム。モノトーンの世界が垣間見せた癒しの瞬間でした。
下山後は、お客さんゼロの小屋で一服。温かい飲み物をいただきながらストーブに当たっているとすっかり根が生えてしまい、小屋泊に切換えようと危うく言ってしまいそうになりました。
今回は雪訓なので水も手作り。1人2L分の水と朝晩の煮炊き用に計8Lほどの水をせっせと溶かしました。1人だと大変ですが皆でやれば早いし楽しい。テント内も3人分の温かさがあってとても快適でした。生のトマトもちゃっかり持ち込んで、今夜はさっぱりトマト鍋。チーズのコクと野菜の旨味が最高の一品でした。
翌朝、夜通し降り続いた雪のせいで、テントは半分埋まった状態。雪は止んでおらずラッセルは必至、朝ご飯のカレーうどんをしっかり食べて備えました。
ヘッデンを点けて6時半頃には行動開始。一面雪灯りでそれほど暗く感じません。登り始めて10分も経たないうちに雪は膝上の高さに。それから程無くして腰まですっかり潜ってしまいました。雪質は新潟の重い雪と八ヶ岳のさらさらの雪の、ちょうど中間くらいの程好い固さ。膝で踏み、足底で固め、腰で押し出すという流れ作業がいつの間にか楽しくなっていきました。少しでも浮けばその下に夏道が続いている証拠。ストックでつつきながら交代で登りました。
昨日の2倍以上の時間をかけてようやく独標が見えてきました。雪がべったり付いていて、風も強まり見るからに狂暴な様相に変化しています。しかし昨日下見したおかげでルートはばっちり、雪崩ないかだけ慎重に見極めながら取り付きました。「ナイスルーファイ!」後ろから嬉しいお言葉。誉められて育つタイプなので自信がつきました。
4時間もかかって遂に独標へ。こんなに苦労して登る機会もなかなか無いと思います。本峰には遠く及びませんでしたが、この上ない達成感を味わいました。
降り積もる雪で下りは既にトレースが消えかけていました。それでも登るよりは遥かに楽なので、勢い余って滑落しないよう気をつけて下りました。
頑張ったご褒美にいつか食べてみたかった西穂ラーメンを堪能。こってり辛味噌かあっさりまろやか醤油が選べます。冷えた体と空腹がすっかり満たされ大満足のお味でした。
ロープウエイ乗り場でもう一つのお目当ての頂チュロスもゲットし、全ての目標をコンプリート。最高に楽しい雪山デビューを飾りました。今回も一緒に登ってくれた先輩方に感謝、非常に学びの多い山行でした。
フォトギャラリー
・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。