北八ヶ岳 三ッ岳~雨池山 縦走

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投稿者
田渕 幹敏
日程
2014年01月14日 (火)~2014年01月14日 (火)
メンバー
ららぽーと横浜店 浅見 (SL)
ららぽーと横浜店 石井
ららぽーと横浜店 根本
ららぽーと横浜店 田渕 (TL)
天候
コースタイム
北八ヶ岳ロープウェイ 山頂駅 ⇒ (60) ⇒ 三ッ岳 分岐 ⇒ (30) ⇒ 三ッ岳 Ⅲ峰 ⇒ (10) ⇒ 三ッ岳 Ⅱ峰 ⇒ (10) ⇒ 三ッ岳 Ⅰ峰 ⇒ (35) ⇒ 雨池山 ⇒ (20) ⇒ 縞枯山荘 ⇒ (20) ⇒ 山頂駅

※ 単位は分。
※ 休憩や雪訓の時間は含まず。
コース状況
全体としてコース状況は良好。
山域を通して人入りが多いので、週末などはトレースが期待出来る事が多い。
但し、三ッ岳 分岐から先はトレースが無い事もあるので注意。
雨池山の登りはラッセルになる事もあり、その場合はワカン等がある方が良い。
三ッ岳 分岐から雨池山とのコルまでは岩場が続く為、アイゼンワークに注意。
難しくは無いが、転滑落の可能性がある場所の通過も多いので気を付けたい。
三ッ岳からの降りは急なので、基礎的なアイゼン及びピッケルの使い方を身に付けて臨みたい。
難易度
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感想コメント

同じお店のスタッフと雪山のトレーニングへ行って来ました。
北八ヶ岳、特に坪庭の周辺は初級者の積雪期登山のトレーニングにとても良い山域です。

日本海からやってくる湿った空気も日本アルプスで雪を落とした後にこの山域に辿り着く為、厳冬期でも八ヶ岳は比較的晴天率が高いです。
中でも北八ヶ岳の坪庭周辺は、通年営業のロープウェイがあり時間的な余裕が作れる/豊富な積雪が有りながら滑落や雪崩のリスクが比較的低い地形である/樹林帯が多く極端な強風に晒されるヶ所が少ない/山小屋が多く有事の際の協力が得易い/人入りが多く登山道の雪面が安定している…等の特徴が雪山の入門者を助けてくれます。
(北横岳以北、特に大岳の付近はルートファインディングも難しく難易度が高いので注意して下さい。)
ロープウェイの山麓駅に、立派なトイレと暖かな着替えが出来るスペースがある事も非常に心強いです。
綺麗に使用する様にしたいものですね!

今回は、北横岳への登山道から中級ルートへそれて三ッ岳を目指す…この山域では珍しい岩場のルートを選択しました。
三ッ岳は夏場でもスリリングで楽しい岩山ですが、雪が乗るとそれは迫力ある風景を見せてくれます。
ある程度の基礎スキルをお持ちの方であればチャレンジ出来るレベルでありながら、その趣は南八ヶ岳の上級者ルートを彷彿とさせる精悍さで登山者を魅了してくれます。
岩と雪のミックスルートでのアイゼン歩行や、急な斜面でのピッケルとアイゼンを連動させた的確な歩行技術、樹林帯から露岩帯へ変化するなかでのレイヤリング、等の大切な技術を出来るだけ少ないリスクで学ばせてくれるとても素敵な山なのです。

坪庭から三ッ岳 分岐までは、トレーニングを兼ねてノーアイゼンで歩きました。
急斜面や表面がツルツルに踏み固められた斜面でのノーアイゼン歩行は、的確なステップワークと繊細なソールワークが求められます。
安全を確保しながらのノーアイゼン歩行は雪山での歩行技術の基礎を飛躍的に高めてくれます。
のみならず、アイゼンを履く事が安全と疲労にどれ程大きく影響しているのかを実体験として教えてくれるのです。

三ッ岳 分岐でアイゼンとピッケルを装備、ミックスルートでの歩行の基礎と滑落時の注意点を学びながら三ッ岳へ向かいます。
暫く低木の露岩帯を歩くと、目の前に突如として古代の遺跡の様な巨大な岩塊が現れます。
これが三ッ岳のハイライト、Ⅲ峰!
巻道もついていますが、鎖場を辿って山頂へ直登します。
岩場の難易度は高くありませんが、初心者の12本爪アイゼンでの岩場登攀には良い練習になると思います。
山頂にあがると急に風が強くなる事が多いので、基部でシェルを着ておくと良いですよ。

ここからは、Ⅱ峰~Ⅰ峰へと大きな岩の重なり合った軽いアップダウンを越えます。
引っかけたりしない様にアイゼンとピッケルを上手く使い、出来る限りスムーズ且つ的確に。
難しくはありませんが、意識して無駄を省きミスワークを減らす事で動きが洗練されていきます。

Ⅰ峰から雨池山とのコルまでの降りは樹林帯で滑落事故の危険が大きい様な地形ではありませんが、斜度は急です。
ピッケルとアイゼンをきちんと連動させ、確実な下降を心掛けましょう。
またいつ滑っても止められる様に、滑落の初期停止を常に意識しながら降りる事が大切です。

雨池山への登りは、今回はトレースが付いていました。
ここからはなだらかで雪深い登りが暫く続き、先行者がいなければラッセルが必要になります。
山頂からは、もう一頑張りで雨池峠へ降れます。

山頂駅までの帰り途中に、立入規制の無い斜面でラッセルと滑落停止のトレーニングをしました。
柔らかくフカフカの深雪の斜面を、膝ラッセルで登ります。
極力汗をかかない様に、スピードを出来るだけ維持出来る様に、確実に無駄なく進んで行きます。
難しいです、ラッセルは奥が深いですね。
今シーズン初の冬山なうえに怪我明けで3か月ぶりの登山、僕は直ぐに疲れてしまいました(笑)
ラッセルで登ったら、セードで出来るだけ固めた斜面で滑落停止の練習。
雪がフカフカで厳しい練習にはなりませんでしたが、体の動きを思い出す事が出来ました。

冬の北八ヶ岳は入門者向けと言う印象が強いですが、中級者へのステップアップとしても凄く魅力的な山域なんです。
そして勿論、トレーニングなどの意図が無くても、その山行自体がとても素敵な旅になる事間違いなしですよ!
美しい風景、豊富な雪量、カモシカやウサギなどの動物と出会える可能性も沢山あります!
美しい冬の八ヶ岳に、是非皆さんも訪れてみて下さい!

フォトギャラリー

晴天の坪庭。北横岳から三ッ岳を通り、雨池山へと抜ける稜線が美しい。

三ッ岳 分岐から先は、岩と低木の露岩帯になる。

突如として眼前に現れるⅢ峰。古代の遺跡の様なその姿は迫力満点!

この巨大な岩塊の、中央部を直登できる。みんなヤル気まんまん!!

Ⅲ峰 山頂から蓼科山方面。凛々しい好青年は、当店アルバイトの根本君。

Ⅲ峰の登攀は、距離も短く易しいが高度感があり楽しい。三ッ岳 登山のハイライト!

Ⅲ峰 山頂から南八ヶ岳方面。天狗岳~硫黄岳~赤岳~中岳~阿弥陀岳、南八の稜線が一望出来る!

Ⅱ峰へ向かう稜線上。お天気に恵まれ展望は最高!遠く上州の荒船山まで見えた。

Ⅲ峰からⅠ峰への稜線は比較的なだらかだが、所々に急なアップダウンも!

遠くを見つめる浅見さんと元気いっぱいの石井ちゃんは、当店のスタッフ!雪が融けるとココは鎖場になる。

稜線上には大きな岩がゴロゴロ。その間を縫う様に越えて行くので、初心者にとってはアイゼンワークの良い練習になる。

急な岩場の下降。雪下の路面状況に気を遣いつつ、的確なアイゼン&ピッケルワークで下降する。

雨池山とのコルへの下降。雪面は安定しており樹林が致命的な滑落からも守ってくれるが、傾斜は強い。滑落停止を意識しながらの基礎的な下降歩行の練習には良い場所だ。

雨池山への登りはそれ程キツくは無い。雪深く綺麗な道を登って行く。山頂からは、もう一頑張り降ると坪庭とロープウェイの山頂駅が見えてくる。

雨池峠から山頂駅までは、緩やかな道をほんの一歩き!

途中で良い斜面を見付けて…。いざ、雪訓の準備!!

深い雪の斜面を膝ラッセル!

滑落停止の練習も!

帰路のロープウェイより。雪原中央の黒い三角の影は、雪下の食料を探すカモシカ。

ロープウェイの山麓駅より。美しい夕焼けが一日の疲れを癒してくれる。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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