厳冬期白山山スキー

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2014年02月22日 (土)~2014年02月22日 (土)
メンバー
天候
快晴
コースタイム
白峰ゲート~(190分)~市ノ瀬~(105分)~別当出合~(150分)~甚之助小屋~(120分)~室堂~(60分)~御前峰~(20分)~黒ボコ岩~(0分)~観光新道大斜面~(70分)~林道合流~(30分)~市ノ瀬~(120分)~白峰ゲート
コース状況
林道・新雪はほぼ皆無でスーパーファットスキーでくるぶしラッセル程度
標高2000m以上はクラスト・シュカブラ・硬い雪のミックス
山頂付近は猛烈な風で油断大敵
総時間15時間45分、往復距離約46km
難易度
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感想コメント

金曜日の20時に仕事を終え、ダッシュで帰宅。
夜御飯をがっつり食べて22時半自宅発。
23時半に白峰ゲートに到着、仲間は既に到着していた。
各自準備をして予定通り0時00分に出発。

雪に覆われた県道白山公園線を10km先の市ノ瀬に向かってシール歩行開始。
トレースなどあるわけもなく、あるのは動物の足跡のみ。

心配されたラッセルはほとんど無く、順調に進んで3時間10分程で市ノ瀬に到着。
市ノ瀬では小休止をして、6km先の夏の登山口”別当出合”に向かう。

別当出合までの林道はショートカットして高度を上げる。
そして開始から5時間で別当出合に到着。
ここまではほぼ予定通りの時間。

別当出合では大休止、朝食を食べてエネルギー補給。
いよいよここからが本格的な白山登山のスタートです。

冬期間限定の恐怖の一本吊り橋を渡り、砂防新道大地に出る。
ここからは、歩きやすい斜面を選んでどこでも好きに歩いて登るのみ。
だがその前に無雪期は階段になってる個所だけは急なので慎重に登る。(かなり難儀した)
このタイミングでクトー(スキーアイゼン)を装着して登る。
ここでトラブル発生、防寒帽子をかぶる為にヘルメットを脱いだ所、手を滑らしてしまい約20m程ヘルメットは滑落していった。
勿論取りに戻ったのだが、場所や状況が違っていたらヘルメットは手の届かない所まで行っていただろうし、「気をつけろ!!」と自身を戒める。

その後は順調に高度を上げて、中飯場、甚之助を通過。
7時頃からは日光も当りだして、あまりにも快晴の天候にテンションはほぼMAX状態だった。

甚之助からは斜度が緩め(無雪期の砂防新道と比べて)のエコーライン側から登る。
緩いと言ってもこの斜面は落ちたら終わりなので慎重に慎重を重ねて、クトーとポールをしっかりと噛ませて一歩ずつ確実に登る。
そしてエコーラインを登り切り、遂に白山御前峰との御対面。
(白山に登る際、このタイミングが一番ドキドキする瞬間でもある)

目の前に現れた白山御前峰は最高に綺麗だった。
快晴の空に白い峰が映えていてこれぞ”絶景”といった感じ。

しかし同時に、この辺りからかなり強い風が吹いていて、雪煙が舞うほどだった。
(因みに気温はマイナス13℃)
弥陀ヶ原ではまたまたトラブル発生。
目出し帽を装着する為にオーバーグローブとサングラスを外していたら、一瞬の隙で片方のグローブとサングラスが風で飛ばされてしまう。
直ぐに後を追ったが、強風でどんどん遠くへ流されていき、50m程進んだ所で手袋は止まってくれてなんとか確保。しかしサングラスは谷へ吸い込まれていった。

そこから上部は風との戦いだった。
室堂も強烈な風が吹いていて、建物の陰で休憩するのがやっとだった。

そしていよいよ山頂へアタック開始。
強烈な風は山頂に近付くにつれて猛烈な風へと変化。
斜面もシュカブラ・場所によってはクトーが刺さり難い程の氷・クトーがしっかり刺さる雪、のミックス状態で細心の注意をしながら登る。

いよいよ山頂の稜線に到着という所の直前で、猛烈な風の為スキーを履いたままでは歩行困難の状態になりスキーを脱ぐ。
その後稜線上の岩陰に板とザックをデポしてポールのみで山頂へ。

そして開始から11時間10分後の午前11時10分に念願だった厳冬期の白山のピークに立つ事が出来た。
この瞬間は最高の瞬間だった、三人で喜びを分かち合い猛烈な風の中写真を撮れるだけ撮る。

山頂では10分程滞在して、速攻でデポ地点へ戻る。
山頂からの滑降は危険と判断して、ザックを担ぎ、靴のまま少しだけ歩く。
(この時も板が風に煽られて体ごと吹っ飛びそうになっていた)
50m程歩き”御宝庫”付近のスキーが出来そうな斜面の上部で板を履き、滑走開始。

雪の状態としてはパウダーはあまり無かったが、クラスト気味な斜面をエッジを効かせながら滑る。
足は結構辛い状態だったが、なんとか滑る。

別山や室堂を見ながらの滑りはスキー場では味わえない最高の斜面だった。
お互い写真を撮りながらどんどん滑って黒ボコ岩に到達。

黒ボコ岩以降は観光新道大斜面を滑る。

風もいつの間にか微風になっており、標高が下がるにつれて雪質もクラスト・パウダー・モナカ・ザラメと変化。
一瞬一瞬を大事にしながら楽しく滑走。

そして登りで360分掛かった距離を100分程で滑り下り、別当出合を1km程過ぎた辺りの林道に合流。
しかも嬉しい事に、林道にはソリと思われる真新しいトレースが残っていて、市ノ瀬まで僅か20分で下る事が出来た。

市ノ瀬からは最後の試練として10kmの林道歩き。
斜度も緩くてほとんど滑れなかったが、店舗で買ったワックスを塗ったら、明らかに滑ってる感じがして、なかなかの逸品だった。

長い長い林道を約2時間歩いて遂に白峰ゲートを目視。
最後の力を振り絞り、ゲートを通過して厳冬期白山日帰りを見事達成する事が出来た。

今回は非常に厳しい山行だった。
猛烈な風、クラストした斜面、マイナス15℃以下の気温、
更には体力不足の影響か、山頂付近では足が攣りそうになりペースが落ちたり、大事な装備が滑落や紛失をしてしまったりもした。
だがしかし、素晴らしい仲間のお陰で無事に達成する事が出来た。
一人では多分挑戦出来ないと思うし、やったとしても成功してたかもわからない。
三人で挑戦したからこそ達成出来たと思っているし、今回も完全燃焼で最高の思い出となった。
皆さん本当にありがとうございました。

フォトギャラリー

厳冬期白山

白峰ゲートスタート

デブリ

百万貫の岩

恐怖の吊り橋

生クリーム

シールを効かせてハイクアップ

甚ノ助小屋

シュカブラ

弥陀ヶ原より白山

室堂

山頂

凍てつく奥宮

悲願達成

室堂と別山

山頂より滑降

ジャンプ

林道に合流

市ノ瀬

完全燃焼

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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