母なる飯豊連峰・その懐へ~大嵓尾根から主稜縦走~

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2014年09月03日 (水)~2014年09月05日 (金)
メンバー
単独
天候
晴れ→雨
コースタイム
1日目 飯豊山荘(30分)温身平(90分)休場ノ峰(90分)千本峰(120分)
     宝珠山(150分)飯豊本山(90分)御西小屋
2日目 御西小屋(⇔120分)大日岳ピストン(150分)烏帽子岳(40分)
     梅花皮小屋(30分)北俣岳(50分)門内小屋(⇔90分)地神山ピストン 
3日目 門内小屋(60分)梶川峰(150分)飯豊山荘
コース状況
大嵓尾根は道標がほぼ無いので迷ってしまいそうな所が何か所かありました。
 ・温見平を過ぎてからは分岐が出たら道を常に左にとります。一見行き止りかと思われる様な草むらに出ますが、そのまま進めば河原に出て吊り橋を渡ると漸く登山口です。
  ・千本峰の下りの岩場は鎖も印もありませんが、進路を一端西側(石転び側)に取り、かなりの急な下りを暫く行くと再び南に向かって道が延びています。
 ・宝珠山までは東側が切れ落ち、うんざりするほどへつりが多いので常に神経を使いました。

それぞれの小屋付近の水場の水は豊富です(御西、梅花皮、門内)。
いずれも往復10分以内です。
御西、門内は10月上旬まで管理人さんが常駐しています。(避難小屋なので食事と寝具は持参です)
 
難易度
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感想コメント

 今回は飯豊連峰の懐にどっぷり浸かってきました。折角なので、一度は登ってみたい飯豊の名急登・大嵓(だいぐら)尾根を登り、七月行った飯豊本山との感動の再会を果たしてきました!

 初日の天気はまずまず。急登を登るには丁度良い陽気です。登り口まで丸森尾根、梶川尾根へと続く分岐がありましたが、大嵓を行く人の姿が無いので少々心細いなー…と感じていたのは吊り橋を渡り終えるまで。いきなり手を付きたくなるような急登が始まりました。登り始めて数分で息が上がり、額からは汗がボタボタ、自分は果たして本山まで辿り着けるだろうか。そんなことを朦朧と考えながら、兎に角足を前に進めました。
 休場ノ峰まで来ると急に視界が開け、右手に雲海に浮かぶ稜線が現れました。連峰最北端の杁差岳や石転び沢を始めとする幾筋もの白い線が確認できました。そして向かう先には鋸状の山並が。本山はまだ隠れて見えません。ここまで来れるものなら来てみなよ!と言われてる気がしました。

 息を整え再び歩みを進めると、ここからは文字通りアップダウンの連続。登っては下りを繰り返しているうちに少しずつ周りの山と同じ目線になったので、少しずつですが高度が徐々に上がっていることがわかって気持ちが救われました。際どい千本峰を越え、へつりをスパイダーマンのように何度も横這いし、時折、岩崖に咲くオヤマリンドウに励まされながら、ガスで覆われた同じような景色をいくつも越えていくと、漸く宝珠山に到着。一瞬ガスが晴れ、明日目指す縦走路が見渡せた時は、あと一息で頂上だと勘違いしてしまうほどの絶景でした。実はこの一息がとても長かったのです( ゚Д゚)
 地図には無い偽ピークに騙されて愕然とし、ここまでの疲れが歩み徐々にを遅らせ、身も心も疲れ果てもう無理だ~と投げ出しそうになっていた時、項垂れた頭をふともたげると、ガスの切れ目から本山の堂々たる三角錐が私を見下ろしていました。ああッ漸く御目にかかれましたね…。静かな感動と同時に、さっきまでの疲れはどこへやら。元気を取り戻し、御西小屋目指して今度は緩やかな稜線を辿って行きました。

 御西小屋では既に6名の方が寛いでいました。小屋番の方も大嵓からよう来なすったと暖かく迎えてくださいました。この日は夕焼けは見れませんでしたが、代わりに大日岳にかかる壮大な滝雲に身を震わせて、大満足で早々に床に就きました。

 翌日は快晴。モルゲンロートに染まる連峰最高峰の大日岳(2128m)の山頂を独り占めし、この日の縦走の活力を得ました。大嵓尾根の黒々とした厳ついシルエットも、昨日苦労した分とても親しみを感じます。大嵓の向こうには朝日連峰や月山まで見渡すことができました。

 稜線上にはトリカブトやマツムシソウが咲き乱れ、緑の山肌に紫の花々がとても鮮やかに映えていました。烏帽子岳を過ぎると、飯豊第三位の高峰・北股岳(2024m)が次第に大きく立ちはだかってきます。その鞍部にある梅花皮小屋の直下には雪渓で有名な石転び沢が広がっていました。そこを登ってきたという強者の男性によると、アイゼンは4本で十分、ピッケルも必要無いが、最後の草付の急登がきつかったとのこと。私も登攀意欲をつい掻き立てられました。

 一休みして北股を登り詰めると懐かしい光景が。私が暮らす新潟市の風景と、いつも見上げている越後の山々が眼下に広がっていました。遠いようで意外に近く、かと思うと容易には入れない、飯豊はそんな山だなぁとしみじみ思いました。

 門内までの道も緩やかな稜線で、遠くに行ってしまった本山が名残惜しく感じられました。本山に思いを馳せ、余所見してたので少々転倒(^^;)飯豊の神様に気を引き締めよと言われてるような気がしたので反省しました。
 門内小屋に着いてから日が暮れるまで時間があったので、隣の地神山までピストンすることに。昨日遠くに見えていた頼母木、杁差が手の届きそうなくらい近くにきていました。いや~歩いたなあ~。この日は空気が澄み、遠く蔵王まで見渡せたので、地神の頂上で腰を下ろし暫く景色を楽しみました。

 門内の小屋のトイレはちょっと変わっていて、用が済んだら何と備え付けの自転車(!?)をこいで撹拌する仕組みです。(疲れた足腰には酷ですが面倒がらずにちゃんと協力しましょう。)

 そして遂に下山の日、ガスの合間からあの大嵓尾根が顔を覗かせていました。今となっては愛しささえ感じます。試練の後には必ず慈しみを与えてくれる飯豊連峰。ますます虜になりました(^^)
 下りの梶川尾根も決して楽ではなく、木の根が張り出した急坂やロープで懸垂しなければならない岩場があったりして、とても飯豊らしい尾根でした。

 下り終えると雨はいよいよ本降りに。危機一髪でした。そして三日間の汚れは飯豊山荘の温泉できれいさっぱり(^^)v
 飯豊は紅葉も素晴らしいと聞きます。再び訪れてまた違った魅力をぜひ味わってみたいです!

フォトギャラリー

大嵓尾根全容。三角のピークが主峰・飯豊本山2105m。

吊り橋は揺れる揺れる(;'∀')

休場ノ峰から大嵓を見上げる。先はまだまだ長い。

雲海に浮かぶ烏帽子岳。

千本峰の岩場。急な上、印が無いので少し厄介。

ガスの中の宝殊山付近。ゴールまであとどのくらい?

稜線に出て大嵓を見下ろす。長かった…。

漸く辿り着いた御西小屋。バックは大日岳。

朝日に染まる大日岳とチングルマ。

大日頂上を独り占め。

雄大な大日岳。

御手洗ノ池。オタマジャクシがたくさん。

このような池塘が多数点在する。

遠くなる大嵓。名残惜しい。

イブキトラノオと烏帽子岳、梅花皮岳。

梅花皮小屋から石転び沢を見下ろす。

北俣岳。

門内小屋にて最後の晩餐。

新潟市の夜景。

梶川尾根を下る。天国に向かって歩いているようでした。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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