安倍川 関ノ沢ガリ沢遡行 ~ 奔流迸る急峻な渓を辿る 【静岡県の沢登り/安倍奥入島】

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2014年10月17日 (金)~
メンバー
単独行
天候
快晴
コースタイム
駐車スペース(10分)林道終点=入渓点(120分)905m二俣(90分)1200m二俣(60分)三の沢登山道横断点(80分)駐車スペース
コース状況
■ 関ノ沢林道は舗装路。通行問題なし。
■ ガリ沢右岸林道は工事中(無人)で進入不可。中の段へ至る分岐の少し  手前の路肩に駐車スペースあり。
■ 10月でも水量豊富。水温は低いです。
■ ヒルいませんでした。
■ 紅葉はまだこれからのようです。
難易度
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感想コメント

静岡県と山梨県の境にある、大谷嶺・八紘嶺・安倍峠に源を発する安倍川(あべかわ)。
源流部に有名な梅ヶ島温泉があり、大河川でありながら本流・支流に一つもダムがない珍しい清流として知られます。
沢登りの視点から見た場合、情報量の極めて少ないマイナーな山域であることは否めず、谷が急峻で険しい、岩が脆い、水量が多い、ヒルが多い、ほとんど人が来ないなどのイメージが定着しています。
それでも遡行対象となる沢として、コンヤ沢・ホーキ沢・黒ん沢・白ん沢・関ノ沢芝白沢などが一部で知られ、隠れた大滝やゴルジュを求めるコアな方が少なからず入渓されているようです。
新東名の開通により、アプローチもしやすい山域なので、密かに冒険心を満たしたい方にはオススメかもしれません。

今回私が訪れたのは静岡市葵区入島にある「関ノ沢ガリ沢」。
七面山・八紘嶺から連なる十枚山の南西面を流れる関ノ沢の支流で、小粒ながら多くの美瀑を隠し持ち、水量豊富な急峻な渓の醍醐味を味わうことができます。下山は十枚峠に通ずる快適で立派な登山道があるので安心です。

清々しい秋晴れの一日、久しぶりに安倍奥を訪れてみました。
10月にしては水量が想像以上に多く、傾斜がきつい分、水の白いたぎりに迫力があり、ただでさえ情報が少ないこともあり、終始緊張を強いられる遡行となりました。
名のある大滝はありませんが、直登困難な10数mの滝が幾つかあり、高巻きのセンスが問われるような気がします。
時にはきわどいガレ場の通過や藪漕ぎトラバースになってしまい、それなりに神経を使います。
しかし905m二俣以降谷は開けるので、陽を背に浴びながら、水線通しで気持ちの良い遡行を楽しむことができました。
里山を流れるにも関わらず、山深く急峻な安倍奥の渓。
マイナーというよりマニアックではありますが、独特な雰囲気のあるディープな世界なので、経験を積み、機が熟したらより大きな沢へ挑戦してみたいと思います。

自分の体力と技術と知恵を駆使して、ささやかでも一つの冒険をクリアすることは、大きな充実感をもたらしてくれます。
登山は安全で楽しいことが何よりも大切なことかもしれませんが、ちょっと隣り合わせの危険を、勇気を出して乗り越える瞬間の数々は登山の体験を濃密なものにし、ありふれた日常に張り合いをもたせてくれるような気がします。
迸る奔流と戯れた一日、そんなことをふと思ってしまいました。

フォトギャラリー

ガリ沢は急峻ながら南に開けた明るい沢です

入渓してすぐの堰堤を越した辺り 水温低めです

6m滝は左のバンドから容易に上がれます

奥に12m滝 左岸を高巻きます

4mスダレ状滝

3m、4m、6mの三連瀑

3連瀑2つ目の滝は右壁トラバースが厄介です 右岸高巻き可能です

905m二俣 右が本流 左は一の沢 エスケープとして使うこともできるでしょう

これくらいの傾斜が続きます

一番立派な15m滝

左岸を小さく巻きますが、ホールド豊富で快適です

激流なので緊張しますが、慎重に落ち口へ抜けます

水線通しの登りは気持ちいいです♪

後半は明るい渓相です

1200m二俣はなかなかの景観 左は10m直瀑、右は3段15m滝 右の3段滝を登ってから藪漕ぎトラバースで左俣に抜けました

10m直瀑に虹がかかります

ニの沢にかかる小滝 この辺りは岩が非常にもろいです

三の沢にかかる小滝 今回は三の沢を詰めました

上流部も連瀑が続きます

登山道横断点で遡行終了 怪我なく無事に遡行することができました

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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