庚申山【栃木県日光市】~コウシンソウと皇海山の展望を求めて~

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2015年06月23日 (火)~2015年06月23日 (火)
メンバー
天候
22日:曇 23日:雨のち曇
コースタイム
~1日目~
銀山平(50分)一の鳥居(50分)庚申山荘(50分)コウシンソウ群生地(30分)庚申山荘

~2日目~
庚申山荘(50分)庚申山山頂(20分)お山巡り分岐(90分)庚申山荘(40分)一の鳥居(40分)銀山平
コース状況
銀山平~一の鳥居
林道ですが今回の中で一番危険なルートかもしれません。斜面からの落石が至る所にあります。シカの屍も転がってるので、おそらく滑落してくるのでしょう。そして、クマも転げ落ちてきます!

一の鳥居~庚申山荘
樹林に囲まれた渓流沿いを緩やかに登ります。明瞭で危険箇所もありません。

庚申山荘~庚申山
ストック不要の急傾斜。よく整備され、はしごや鎖場の人工物がありますが脆いので注意。雨天時やその後はかなりスリップしやすくなるので慎重に。ところどころ主ルートを外れる脇道があります。

お山巡り
上級者向けの注意書きがりますが、初心者でも楽しめます。このルートも脆い人工物が補助となり、スリップ箇所も多いです。深酒注意!

・ヒルがいないので安心して歩けます。
・庚申山荘は1泊2050円です。山荘内には布団と炊事場がありますが電気はありません。山荘の前にバイオトイレがありますが、当日は故障で使用不可でした。
難易度
Google Map
  • スタートナビ
  • おとな女子登山部

感想コメント

好日山荘の13,000件以上あるレポートの中でも初登場の山だと思いますが、浜松在住の私がこの時期にどうしても行きたいとっておきの山です。着目されないのが不思議なくらい素晴らしい山です。

庚申山(こうしんざん)は足尾山地に属する標高1,892mの山です。この時期にどうしても行きたい理由として、「コウシンソウ」という花をを見るためです。
コウシンソウは6月中旬~7月上旬に庚申山周辺および男体山や女峰山周辺にしか咲かないとされる非常に貴重な花です。行けば見られるというわけではなく、岩壁に生えるため群生地を知っている人しか出会えません。

そして、もうひとつの目的が皇海山の大展望を見ることです。日本百名山にもなっているため皇海山はご存知の方も多いと思いますが、地味な百名山の一つ、ですよね?
私の中では皇海山は登る山ではありません!眺める山です!その山容が拝めるのが、今回計画した、庚申山からアクセスするルートです。
皇海山は沼田側から登れば2~3時間で登れますが、今回のルートは8時間近くの長丁場で、岩場・鎖場も多く、山と高原地図では庚申山~鋸山は破線になっているルートです。しかしこのルートこそ皇海山が百名山になれた要因。深田久弥氏もここを通り、皇海山の山容に感銘を受けています。
皇海山の下山ルートは、六林班峠を経て庚申山荘に下りると藪漕ぎが必要となるまた趣きが違ったルートを味わえます(このルートこそ皇海山の真骨頂です)。

~1日目~
本日は庚申山荘という無人小屋宿泊のため遅立ちでも問題ないく、12時から庚申山の登山口の銀山平から出発。約4キロ、1時間ほど林道を歩くと一の鳥居があり、ここから庚申山荘まで渓流沿いを緩やかに登って行きます。
途中登り終えた登山者の方から「コウシンソウは全部花を落としていたよ」と言われ、少し落胆しながらも本日の宿の庚申山荘に到着。荷物をデポしてコウシンソウを探しに行く。
庚申山荘からは修験道らしい険しい道が山頂まで続きます。
実は3年前にもコウシンソウを見に来ていて、その時偶然見つけたコウシンソウの穴場へと今回も足を運んでみると、前回より花期はだいぶ早まっていましたが、20株ほどのコウシンソウを見つけることができました。あと1週間も持たないでしょう。
非常に貴重な場所のため明記はしませんが、登山道から少し外れますが危険な場所ではありません。

山荘に戻り、電気も宿泊客もいない大きな無人小屋に本日は私1人。夜は暗闇の中、一定の間隔で鳴り響くトラツグミの不気味な鳴き声が逆に心地よかったです。

~2日目~
予報どおり朝から雨。このまま下山することも覚悟していましたが、8時には雨が止んだので予定を変更して庚申山のピークを経て皇海山が拝めるかだけ確認し、下山はお山巡りという別のルートを歩く行程に変更しました。
庚申山山頂から5分ほど鋸山方面に進んだところに皇海山の展望地があり、到着後すぐは霧の中でしたが、20分ほど待つとビックリするほど大きな山容の皇海山が現れました!1枚目の写真がその瞬間ですが、写真じゃ伝わりきれないほどそそり立つ皇海山は圧巻でした。
天候が不安定だったので、すぐにその姿は隠れてしまいました。本当はこのさきに行きたいが・・・また紅葉の季節に再チャレンジしたいと思います。

再び山頂へ戻り、登ってきた途中の分岐からお山巡りという奇岩・怪岩の林立する独特な風景の中を歩くルートで降りました。終始細いトレイルで鎖場やはしごがあり、「初心者ご遠慮」の看板がありますが、そこまで繊細にならなくても問題はありません。
景観もよく、日帰りでも楽しめるため、初めてここを訪れるならお勧めのルートです。

今回は雨の影響で核心部には行けませんでしたが、足尾一帯の森はありのままの自然が保たれたとても気持ちのよい森です。コマドリ、エゾムシクイ、クロツグミなどの様々な鳥のさえずりが高原の雰囲気を醸し出し、嫌なことも忘れさせてくれます。

最後に。帰りの林道を歩いているときに、斜面からツキノワグマの子供が目の前に転げ落ちてきました!クマには何度か遭遇していますがこんな近くで出会ったのは初めてでした。

フォトギャラリー

雲が切れて皇海山が姿を現した。百名山に選ばれるのがうなずける圧巻の山容。

庚申山の登山口、銀山平。

林道終点の一の鳥居。

文久三年B組!(どうでしょうより)

庚申山荘。無人小屋とは思えない立派な建物。素泊まり2,050円

ドラゴンフライ愛用者です。米はいつも炊きます。

山荘周辺で群生するクリンソウ。

ラン科ショウキラン

ラン科オノエラン

オオバコ科クワガタソウ

ウチョウラン。これも野生ではかなり珍しい。

庚申山荘から上は終始こんな狭いルート。

岩肌に張り付くユキワリソウ。

ありましたコウシンソウ!

非常に小さく地味な花ですがとても貴重な植物。食虫植物です。

庚申山山頂。展望はない。

お山巡りルート。岩壁の際を通る。

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・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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