カルスト台地で羊群原ハイク 大平山-貫山-周防台

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2016年12月17日 (土)~2016年12月17日 (土)
メンバー
天候
☁⇒☀ 気温3~11℃
コースタイム
吹上峠駐車場(35)大平山(40)四方台(25)貫山(20)四方台(60)周防台(20)中峠(20)茶ヶ床園地そば(60)吹上峠駐車場
コース状況
特に問題無し
濃霧時は方向と進路の確認注意⇒過去ドリーネに滑落した事案あり
難易度
Google Map
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感想コメント

福岡に転勤して来て以来、『カルスト地形』『羊群原』の単語が気になっては予定を立てるも、なぜか毎度毎度天気に裏切られてきた《貫山・平尾台》。どうも北九州方面とは相性が悪いみたいです(・・;)
心なしか、九州に転勤してきてからというもの徐々に雨男化してきている気もします(苦笑) 本州在住の頃は低気圧をことごとく跳ね返していた(つもりな)のに(T ^ T)
そんな山あるあるの流れがありつつ、今回は雨(前々日)⇒曇り⇒曇りのち晴れ(当日)と、珍しく天気の方から徐々に休日に合わせているかの様な好転傾向に恵まれました。


ちょっと前置きで本音を漏らしちゃうと…。
平尾台の写真や地形図といくらにらめっこしてみても、吹きっさらしの地形には変わりなく(冬場はコルを吹き抜ける風が特に嫌いです)、出来れば寒い冬より暑くも寒くもない春か秋に行きたかったというのが正直なところ。
でも久々巡ってきたせっかくの好機です。自然相手にいつまでもそんな事を言ってても仕方ありません!多少の不便を含めてありのままを全力で楽しむのも登山の醍醐味。大自然を満喫しようとしているのに、人間の小さな我儘不満なんかいくら言った所で野暮ってなもんです。
こちらから心を開いて山に歩み寄らなければ山も微笑んではくれません!(たぶん)歩み寄れる範囲は装備や計画でカバーすればいいんです!
同じ冬でも厳冬期の雪山登山に比べたら気温も環境も体力度も内容的にはお散歩の様なもの!
↑と、色々と自分で自分に言い聞かせました(笑)

平尾台の主要な山々は天候さえ良ければ開放感は保証付き。独特な地形の中で気持ちの良い展望と穏やかな稜線を眺め、まったりとした尾根歩きに心を洗われるのは間違いありません。2016年最後の登山になるやもと思えば、散々見放されてきた平尾台なのでこれはこれで良い締めくくりの様な気もしてきました。
という訳で『Let's go to 平尾台!!』


この日の早朝の福岡市近郊から見る東側の空は、高度700〜1,000m辺りでまだまだ低層雲がびっしりと空一面を覆っている様子。思っていたより雲が低くて厚い。う〜ん、どうだろう?雲が取れるのが予定より遅くなる?
16日(前日)の天気図では列島全体に等圧線の縦縞が5本かかっていました。
17日(当日)は大陸側からの高気圧の東進に伴ってAM9時頃には西日本にかかる等圧線が広がる予報に。冬山登山で一番気になる風速は弱まる傾向。
ちなみに前日から当日にかけて東北・北海道の日本海側は雪でした。典型的な西高東低の気圧配置からの天気の移り変わりですね。
このまま予報通りにいけば「午前中は羊群原と雲の博覧会でいい写真が撮れそう!」「多分午後から程よく晴れて眺望が利くはず!」と一抹の不安と大いなる期待を胸に秘め、平尾台方面へ足を運びます!
ひょっとしたら北側斜面や日陰で溶けきれない霜が残っていて、九州の低山でもいよいよ冬山の本格的な到来を感じられるかな?
平尾台に向かうにつれて雲の高度が高くなり、厚みも雲量も次第に減っていきます。これはお天道様も『Enjoy yourself in 平尾台!』と言ってくれている^^


結果は写真の通りです。この日の天候と風の吹き方、展望や登山内容はおおかた予定通りで大満足でした♪
小学生の頃に修学旅行で山口県の秋吉台に行った思い出が薄っすら蘇りつつ、熊本県出身の身としては《心の山》的な存在の阿蘇地方も彷彿とさせる情景。
カルスト地形独特の景観がコンパクトに凝縮されていて、お手軽にこの展望が楽しめるとあっては毎シーズン行きたくなりますね!!
季節を選んで花も見られますし、夏はぜひ鍾乳洞の中をジャブジャブ歩きたい。


今回の登山で印象に残った所を数点挙げると、
〇 平尾台のピナクル(地表に突出した石灰岩柱)の結晶質型石灰岩。
石灰岩が多い日本で全国各所の例を上げたらキリがないと思いますが、石灰岩と言うと個人的には燕岳、鳳凰三山、甲斐駒ケ岳、日向山、福岡では宝満山、井原山、香春岳などを連想します。その表面はザラザラだったりやや滑らかに侵食されている事も多いです。周辺は砂地や砂浜状になっていたり。
平尾台のピナクルは粒がハッキリとしたまるで大粒の岩塩の様な結晶がとても目立ちます。粒が特に大きく感じられ、この結晶一つ一つがよく見ると美しい。
全く本題と関係ない話ですが、今や九州地方でしか食べられない?と思われる馬のレバ刺し。やはり胡麻油に九州醤油と、何と言っても最近では岩塩が付き物でしょう!!結晶質型石灰岩を見て馬のレバ刺しに連想が行き着いてしまうのはきっと私だけ?…(笑)
○ 意外と個性たっぷりのドリーネが見応えあり!
平尾台を歩いていて目につくのはピナクルだけでなく、凹地状のドリーネも散見されます。
一帯は水が流れる沢がほとんど見当たりません。雨水はドリーネから地下の鍾乳洞に流れ落ちているのかと想像してしまいます。大雨時は地下と繋がっていないドリーネは池の様になるのでしょうか。
たまに樹木がドリーネ底部に集中しているのは土や水分がすり鉢状の中央部に溜まるからですかね。
そんなドリーネですが大きさがかなりマチマチ。小さめの運動場くらいの規模で迫力がある大きなものもあります。特に大平山東側の「大穴」と「小穴」は見応えがありますね!「大穴」なんて事前に知らなければ大きすぎてドリーネとは気付かないんじゃないでしょうか? 大平山と四方台のコル上の道、実は「大穴」「小穴」のフチの上を歩いている事になるとは…。
○ 展望なら貫山より周防台!
平尾台最高峰の貫山は東側(太平洋側)の眺望は利きますが、周防台は360度見渡せて大平山側のピナクル群やお隣の福智山系も丸見え。次回は周防台以南を歩いてみたいです。

☆番外編☆
○ 『平尾台 自然の郷』12月〜2月は営業時間16時まで。
大人から子供まで平尾台の自然を満喫しながら楽しめる施設。ドリーネ好きは是非「ドリーネデッキ」に行ってみたい!? この日は朝8時から3時半頃までゆっくり時間を使ってしまい、おまけに冬季営業時間を把握しそびれていたので入場せず。登山じゃなくても平尾台再来の動機が増えてしまいました(笑)
○ ガスったらご用心!
以前悪天を承知で登山のつもりではなく、周辺の様子と雰囲気を把握する為に濃霧の中を茶ヶ床園地まで偵察に来た事がありました。視界5m未満くらい。割と濃いめの濃霧。
濃霧時の、所謂ガスった状況の緩やか〜平坦な地形は視覚的に方向が判別しづらくなります。晴天時は見通しが利き道がハッキリしている平尾台ですが、分岐が多い分小さな脇道も多数あります(付属のGoogleマップ参照。青丸が分岐。今回認識した狭い範囲だけでも結構な数です。)。
悪天時や天候の急変では方向と道の確認に注意した方が良さそうですね。
当店アルバイトさんからの情報ですが、悪天時に迷い込んでドリーネに落っこちた人の話は戦慄しました…。

フォトギャラリー

ピナクルがニョキニョキ〜。

吹上峠からすぐの石仏。空模様のせいでどこか寂しげ。

ススキもまだ残ってました。徐々に明るくなる平尾台。

日本の山らしからぬ雰囲気が漂っています。

う〜ん。HDR撮影ではなく、ただのワイド撮影でこの様相です!

大平山山頂。

ピナクルと秋の残りを満喫

結晶だあ…

ドリーネがポコポコ!

防火帯沿いに進みますが、偶然?にも防火帯の中にピナクルが集中。

四方台。ここから貫山や周防台にも。

貫山山頂。やはり北側の日陰には霜が残っていました。

手前のドリーネが「小穴」。これで小穴って…。「大穴」は小穴の北側、写真の右側の尾根を挟みます。

周防台への穏やかな稜線。なんて平和な稜線なんだ…!

予報通り完全に好転。周防台からはどこを向いても満足の展望です。こちらは福智山方面。

周防台から各方面の展望です。写真左下、様々な山域の稜線の重なり具合が見事でした。右下、英彦山方面も丸見え!

周防台方面を振り返って。

駐車場までの1時間、なんでもない道ですが飽きませんでした。

被写体としてのススキは大好物です!!

石仏はすっかり優しく穏やかな雰囲気に。ありがとうございました。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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