忍びの道を歩く 岩根山(十二坊)/ 湖南

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投稿者
上田 哲也
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日程
2018年06月26日 (火)~2018年06月26日 (火)
メンバー
グランフロント大阪店:上田
天候
晴れ
コースタイム
バス停・岩根~30分~磨崖不動明王~20分~十二坊・登山口~35分~岩根山(405.1m)~15分~展望岩~20分~巨石~5分~岩根山(405.1m)~25分~十二坊温泉ゆらら~40分~善水寺~5分~医王山(256)~10分~善水寺~15分~バス停・岩根
コース状況
岩根山までは枝道がなく分かりやすいです。
岩根山から十二坊温泉までの尾根道ルートは一部急な所があります。
十二坊温泉から善水寺までの道は、起伏が激しく結構消耗します。
善水寺までの道は下記の時間以外利用できません。
 4月~9月 9:00~16:00
10月~3月 9:00~15:00

水場:磨崖不動明王に下りる所にあり
WC:岩根山の山頂裏、善水寺にあり
難易度
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感想コメント

滋賀県湖南市にある岩根山に行ってみました。

甲賀山塊の最高峰である岩根山は「甲賀山」「十二坊」とも呼ばれていますが、山の中腹にある奈良時代に開かれた比叡山延暦寺の別院・善水寺に十二の坊舎があったことから十二坊と名付けられたようです。明治期の古記には善水寺に二十六坊があったと記されており、大勢の僧侶らが昔は在住していた事が分かります。

延暦寺の木材を切り出す杣山であった甲賀山塊では、杣人(きこり)たちが地域の豪族により組織化され武装し戦うようになり、甲賀忍者の誕生につながったと言われています。その為か周辺の山では忍者が崇敬したという不動明王が刻まれた大岩が複数見つかっています。また岩根山は甲賀五十三家(甲賀忍者の名門)の岩根家が自治していたようです。

長享元年(1487)室町幕府の足利義尚は近江国守護・六角高頼(行高)と息子の承禎(義賢)を征討するため観音寺城に軍を送りますが、六角氏は城を放棄して甲賀に撤退。甲賀忍者の力を借りた六角氏は「亀六の法」(亀が敵に対して手足を甲羅に隠すような戦術)を用い、甲賀山(岩根山)の山中に姿を隠しては表に出て攻撃するというようなゲリラ戦を行い、幕府軍に激しく抵抗して勝利したといいます。

「鈎の陣」と呼ばれた長享合戦では、忍びが義尚の本陣に夜襲をかけるなどして活躍しており、全国に「甲賀忍者」の名が知れ渡るきっかけになっています。戦いに参加した甲賀武士を「甲賀五十三家」、その中でも夜襲の功績で六角氏から感状を貰った者を「甲賀二十一家」、長享合戦及び後の合戦でも軍功甚だしかった者を「下甲賀六家」と「江州甲賀廿一家之由緒書」は記しています。

甲賀山には伊賀からの参拝者も多かったといい、六角氏は山中に潜伏していても修験者や忍びを通じて幕府軍の情報入手が容易であった事が想像できます。もしかすると剃髪していた承禎は、大勢いる僧侶に混じって善水寺の十二坊に隠れ住んでいたのかもしれません…。

バス停・岩根から出発。地名にも残っているように、甲賀五十三家の内「下甲賀六家」に数えられた岩根家がこの辺りを治めていたようです。住宅街を抜け、変化に乏しい車谷林道を登って行くと、磨崖不動明王尊に到着。江戸時代の作とされる高さ4m以上の磨崖仏は不動明王を彫刻。この地で修行する僧はここに訪れるたびに像への祈りを捧げていたそうです。

林道の終点で車道を渡り、次は「十二坊トレイルランニング」のコースへ。薄暗い森の中をしばらく歩き、シダ植物の中を泳ぐようにして抜けると、見晴らしの良い岩場があり、岩根山(十二坊)の山頂に到着。三角点あり、展望あり。気温25度で暑い。山頂からは水口方面がよく望めます。

山頂裏から少し下ってシャクナゲ谷へ。途中の展望岩からは金勝アルプス方面が望めます。シャクナゲの見頃は5月という事で群生地には何もありませんでした。少し上り直して、木製展望台を経由して巨石に到着。ここからは竜王方面が望めました。再び山頂に戻ると、今度は尾根道伝いに十二坊温泉へ。所々に現れる巨岩がオブジェのようで飽きない山道でした。

十二坊温泉からは車谷林道の分岐点で曲がり善水寺へ。気温30度で、非常に起伏が激しい洗濯板状の階段道を歩いたので結構消耗しました…。林道の分岐点(239m)と善水寺(206m)の標高差33mを下りるのに40分掛かっており、実に1分で約82cmしか下りられない過酷な道です。山頂から善水寺に至るこの辺りの道が修験者や甲賀忍者の修行の場だったのではないかと思われます…。

善水寺の本堂(天台密教仏殿)は延暦寺様式ですが、本家の比叡山延暦寺が信長の焼き討ちで焼失したため、創建時の古い形式を残す貴重な寺となっています。本堂真北の山を医王山といい、そこに埋められた壺はどんなに日照りが続いても常に水があるといいます。本堂奥の墓地裏から尾根伝いに登り、実際に行ってみると確かに「医王山の壺」には水が蓄えられていました。

帰路は不動明王の刻まれた大岩がある観音堂を経由して、バス停・岩根に下山しました。

フォトギャラリー

岩根山(十二坊)からの眺め

磨崖不動明王

高さ4m以上ある車谷不動

十二坊・登山口

シダ植物の海を泳ぐようにして抜ける

見晴らしの良い岩場

もうすぐ山頂

岩根山(十二坊)の山頂

岩根山(十二坊)のコース地図

展望岩

展望岩から金勝アルプス方面を望む

巨石から竜王方面を望む

巨岩がオブジェのよう

非常に起伏が激しい洗濯板状の階段道

善水寺の本堂

百伝池

医王山からの展望は少しだけ

医王山の壺…日照りが続いても水が枯れないという

アジサイ

観音堂の磨崖不動明王

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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