巻機山の佳渓 ヌクビ沢支流三嵓沢右俣遡行(登川水系)
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2018年09月03日 (月)~
- メンバー
- 単独行
- 天候
- 晴
- コースタイム
- 桜坂駐車場(25分)割引沢渡渉点(60分)ヌクビ沢出合(30分)三嵓沢出合(30分)二俣(105分)井戸尾根登山道(80分)桜坂駐車場
- コース状況
- ※ 本文をご参照ください
- 難易度
-
感想コメント
三嵓沢右俣
越後の名山・巻機山の沢と言えば、米子こめこ沢がとても有名ですが、表参道と言える井戸尾根を挟んで、南西側には、割引われめき沢とその支流ヌクビ沢があります。
今回訪れたのは、ヌクビ沢のさらに支流となる三嵓みつくら沢。
ナメ滝と小滝の続く初級レベルの渓ですが、前半部で名のある美瀑を交えながら、変化に富んだ日帰り遡行を満喫することができます。
台風が近づく9月初旬、ちょっと詰めが大変でしたが、開豁な渓歩きを楽しんできました。
閑散とした桜坂駐車場を昼前に出発し、ぬかるんだ登山道で割引沢の渡渉点まで。
↑ 渡渉点
この先も沢沿いの登山道がありますが、昨今訪れる方はあまり多くはないでしょう。
渡渉点で沢装備を身に着け、本日も遡行開始。
上越らしい開豁な渓を目にすると、心が躍ります。
↑ 米子沢にも劣らぬ渓相です
連続するナメ床を越えていくと、大釜をもった2段8m滝へ。
↑ 2段8m滝
右岸登山道で容易に巻くことができます。
↑ 吹上ノ滝手前の淵
この淵は突っ込まず、右から簡単に越えられます。
↑ 吹上ノ滝10m
最初の名のある滝は、吹上ノ滝10m。
左岸に草付きスラブが明るく開けており、水流右を快適に登ることができます。
↑ 凹角の流れ
凹角の流れが25mほど続きますが、無理に突っ張る必要はありません。
途中登山道が沢を横切っていました。
↑ ここが登山道
この先で渓は右に曲がり、立派なアイガメの滝が現れます。
↑ アイガメの滝20m
この滝は2段滝。水流右から取り付きくと、大釜が現れます。
“アイガメ”というと我々は登山靴のパーツを連想してしまいますが、おそらく藍の甕かめを意味するのでしょう。
大釜を横切り、水流左に横断してから直上することで突破。
ここも右岸に明確な登山道があるので、巻きは容易です。
↑ これが藍甕あいがめなんですね
アイガメの滝を越えると、しばらくは平凡な渓相。
正面に迫力ある天狗岩を望むことができます。
↑ 天狗岩を望みながら
やがて二俣。左が割引沢、右がヌクビ沢です。
↑ 二俣
↑ 割引沢方面
↑ 分岐に案内あります
↑ ヌクビ沢に入ります
少し傾斜がキツくなりますが、特に難しいところはありません。
↑ 下山道あります
この巻道を使えば、入渓点まで50分ほどで戻ることができます。
やがて次なるハイライト、布干岩へ。
↑ 布干岩
布干岩は4段30m滝。ここで渓は左に大きく曲がります。
乾いた部分を選んで、容易に歩いていくことができます。
↑ この先は平凡な渓相
やがて三嵓沢出合へ。左岸より3段滝で合流します。
↑ 三嵓沢出合
また、ヌクビ沢本流には行者の滝15mがかかっています。
↑ 行者の滝15m
左岸巻き道が登山道にもなっています。
行者の滝を見物したら、三嵓沢へ入ることにします。
ここからは小滝とナメ滝を快適に登っていくことができます。
↑ 三嵓沢へ
↑ 5m滝
↑ 次の5m滝
↑ 続いて3m滝
この先二俣までは、ナメ状の滝とナメ床が続きます。
↑ ナメ床が続きます
↑ 7m滝?
やがて二俣へ。左俣は出合に5m滝をかけ、巻機小屋付近に突き上げるとのこと。
右俣はニセ巻機山直下の草原に出る、とあります。
↑ 二俣
↑ 左俣出合の5m滝
ここは登山体系で紹介されているように、右俣へ進むことにします。
↑ 右俣にかかる8m滝
↑ 上流部のナメ床
徐々に水線が細くなり、最奥の二俣へ。
右俣の垂直滝が登りにくそうなので、左俣へ入りました。
↑ 最奥の二俣は左へ
↑ 源頭部へ
↑ 登路を振り返ります
振り返ると越後の美しい山並みを望むことができます。
最後は露岩帯と草付きの斜面へ。
↑ 水が枯れて草と岩の世界へ
ここからはトラバース気味に井戸尾根を目指します。
↑ なだらかに見えて勾配きついです
とにかく上を目指せば、藪漕ぎはなさそうですが、草付きの滑りやすい斜面の直上も結構大変。
水平移動の方がまだ楽に思えたので、藪漕ぎ覚悟でトラバースを継続することにしました。
↑ 結局激ヤブ漕ぎになりました

↑ 赤線を辿りました
藪と格闘すること15分ほどで、突然登山道へ。
↑ ウオー!道だ!
ここからはのんびりと井戸尾根を辿り、桜坂駐車場へ戻ることができます。
マイナーな渓ですが、三嵓沢はとても明るく開放的。
日帰り遡行ルートとして米子沢ほど長くはないので、時間のない方やトレーニング遡行に最適だと思いました。
詰めをどうするかで印象が変わるような気がしますが、巻機山の美しい草付き斜面を彷徨い歩くのも面白いものです。
巻機山の神髄は北側(裏巻機)にあるように思いますが、今回は三嵓沢で巻機山の新たな魅力に触れ、その素晴らしさを再確認させられました。
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