やっぱり飯豊はいいで~
- 投稿者
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るんちゃん(おとな女子登山部)
浦和パルコ店
- 日程
- 2019年05月22日 (水)~2019年05月24日 (金)
- メンバー
- 銀座店 西山
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 【1日目】御沢野営場(120分)笹平(60分)地蔵山(100分)三国小屋
【2日目】三国小屋(120分)切合小屋(90分)本山小屋(20分)飯豊本山(20分)本山小屋(90分)切合小屋
【3日目】切合小屋(120分)三国小屋(90分)笹平(120分)御沢野営場
- コース状況
- ・御沢野営場は無料、トイレ使えます。
・上十五里から笹平までは夏道出たり出てなかったり。登山道に溜まった雪の踏み抜き注意です。ブヨが口の中に入ってくるくらい大量にいます。虫除けネット使いました。
・剣ヶ峰周辺はまだ雪がべったりついている箇所もあります。雪を避けても浮き石だらけの脆い場所を歩くので慎重に。
・三国~切合、急傾斜の雪渓あるのでアイゼン、ピッケル必須です。夏道は3分の1くらいしか出てません。
・切合~草履塚まで雪渓歩き、その先は夏道です。御秘所も雪ありません。
・切合から大日杉へ向かう分岐の近くのコルで水汲めます。水場はそこのみ。剣ヶ峰、切合、本山の水は出ていません。
・各小屋のトイレは1部屋だけ使えるようになってます。トイレットペーパー要持参。
・管理協力費、三国小屋2000円、切合テント500円、各小屋トイレ100円。管理人さんはまだいません。
- 難易度
感想コメント
遠く離れて登る機会は減ったけれど、想いは変わらない、そんな心の故郷・飯豊山。水を張った田圃に映る里山の風景を眺めながら、懐おかしい気分で登山口へ向かいました。とはいっても川入から登るのは2回目。この時期は登ったことがなく、剣ヶ峰や三国小屋より先の雪状況が気になりましたがとりあえず出かけてみました。
こんなに良いお天気なのに駐車場には1台の車も無し。寂しいような嬉しいような、気を取りなおして登山口の杉や栃の大木にご挨拶、相変わらず根っこの多い急登を登り出しました。
登るにつれ黒いあいつらが顔の周りにブンブン・・・。下十五里で休憩中につまんだお菓子と一緒に口の中へ侵入してきたり、眉の上の微妙な所ばかり食いついてくるので、早速モスキートネットを装着。これでバッチリ、悠然と歩き出した途端、今度は残雪の踏み抜き地獄。雪を崩しながら進むも埒か空かないので両脇の藪を辿ることに。咲き始めたイワカガミやショウジョウバカマを踏み潰さないよう慎重に進みました。
笹平に出て前方に地蔵のピーク、左手には赤茶けた剣ヶ峰と三国小屋を確認、岩に雪は無さそうなので一安心。アイゼンを着けてまずは地蔵山、見えているのに一向に近付かず、さらに上から下からの照り返しに息も絶え絶え、始めから巻いてしまえば良かったと、後悔しながら見上げた先に飯豊本山の山並が。ここからは草履塚に隠れて頂上は見えませんでしたが、神々しい姿に疲れた体がしゃんとなりました。
気をとりなおして剣ヶ峰へ。始めは雪道、徐々にリッジ状になり不安が過りましたが、その先は乾いて土が出ていました。大丈夫、いけるね!とアイゼンを外してよじ登るとまたしても雪。面倒だったのでストックだけピッケルに変えてツボで蹴りこみながら登りました。すると今度はわずか3mのかなり急な雪渓。アイゼン装着を惜しんで高巻きしたため足下の脆い場所を藪漕ぎするはめに。素直にアイゼンを着けた方が早かった気がします。同じようなシーンを何度か繰り返しようやく三国小屋へ到着。この先もきっと雪と藪との格闘、あと2時間頑張る気力が残ってなかったので、今夜の宿はここに決めました。
三国小屋に泊まるのは今回初めて。気さくな管理人の金子さんは当然いらっしゃいませんでしたが、小屋の中を見てびっくり。こんなに明るくてキレイな小屋が飯豊にあったなんて。飯豊の小屋は素朴でちょっと暗い感じの小屋が多い中、非常に清潔感溢れる素敵なお部屋となっていました。光がいっぱいに差し込む2階はかなり暖かく、シュラフカバーだけで眠れるほど。日没までかなり時間があったので、おやつを食べたりお昼寝したり写真を撮ったりしながら、他に誰もいない小屋内を我が家のようにリラックスして過ごしました。
翌日も良いお天気、遠く蔵王から昇る朝日を眺めながらゆっくりと朝食をとり、切合に向けて歩き出しました。小屋からすぐに雪渓ロード、靴が良く刺さって梯子の場所までは軽快なツボ足で歩けます。梯子の下半分は埋まってたので脇の崖を慎重に登り、その先はカタクリの咲くわずかな夏道と雪渓とを交互に進みます。三国小屋が小さくなって種時山が近付いた頃、一ヶ所40°くらいの急な場所がありました。そからはアイゼン、ピッケルで30mくらい登ると雪の天辺に立ちました。
本山小屋の左に二つ連なるなだらかな三角形。ここまできてようやく飯豊本山が見えました。よく見ると雪の上に人影、切合の手前ですれ違ったその単独男性は、前日に大日杉から登って本山小屋に泊まり今朝下りてきたそうです。「水場すぐそこにあんべよ」「なにぇ!?」持参した水は底をつきかけ、日が暮れる前に雪を溶かして一仕事しなくてはと思っていたところ、何たる奇跡!夏道は通らず小屋まで雪渓を直進したので、男性がいなかったら、こんこんと流れ出る冷たくて美味しい水にありけませんでした。飯豊の神様だったのでしょうか?
心配事も減ったし、今夜の宿のツエルトを意気揚々と設営。思ってたより上手く立てられたし、何より飯豊最高峰・大日を雄大に眺められる最高のテン場でした。小屋に泊まらず、しんどい思いをしてテン泊するのも大いにありだと思います。
腹ごしらえしていざ本山へ。ここからは慣れた道、予想通り草履塚までべったり雪道、その先は完全な夏道。ミヤマキンバイ、御秘所ではハクサンイチゲが僅かに確認できました。毎回足が上がらなくなってしまう最後のきつい登りを乗り越え、本山小屋へ。神社は閉まっていたので手だけ合わせてから頂上へ向かいます。ここから先はいつも夢のような時間。なだらかな稜線上には御西、北股、北端の杁差まで、飯豊全山が広がります。二王子や五頭山、懐かしい故郷の山も手を伸ばしたらすぐに届きそう。山頂で岩に寝そべったりしながら心行くまで堪能しました。いつの間にか日が傾いてきてそろそろ帰る時間、何度も後ろを振り返りながら切合まで戻りました。
この日も小屋のテラスを二人占め、ピンクに染まる山々をおかずに、最後の晩餐を楽しんで早めに就寝。夜半に風が強くなったようですが、朝までツエルトは無事でした。
下山の日、次第に見えなくなる飯豊本山をやはり何度も振り返ってしまいました。そんな調子なのでペースはかなりゆっくり。その上藪、踏み抜き、アイゼン着けたり外したりの繰り返しです。
三国まであと少しというところで、前方の小高い雪の上に茶色く蠢く影が目に入り戦慄が走りました。熊!?と思って岩影に身を隠して覗き見ると、四頭の猪でした。どうやらお母さん?と子猪三頭のようで、こちらに気付いて慌てて駆け下っていきました。好奇心の芽生えた私達は猪を追って走り出します。すると彼らは垂直の雪壁をいとも簡単に横断し、そのまま藪へと消えていきました。そういや飯豊で猪に会ったのは初めてです。野生ってすごい!感動が沸き起こり、待ち受ける剣ヶ峰、そして長い下りを歩く為の活力がみなぎってきました。
相変わらず踏み抜いたり転んだりしましたが、フィナーレが近付いて感極まっているせいか、ブナの緑が柔らかく一層優しく感じました。山々の稜線もさることながら、新緑も本当に美しい、それが飯豊連峰。今回の旅でさらに飯豊愛が深まってしまいました。
下山後は名物のお蕎麦を頂きたかったのですが、あいにく中休み中。磐梯山のSAまで我慢して、名物の桜肉丼をかっ喰らい、すっかりお腹が満たされました。
どの奇跡も素晴らしい飯豊山、今年中にもう一度登れたらと思います。
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