【ツアーレポート】3/21森林学びハイク 唐櫃・六甲山上・森林植物園ツアー

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投稿者
あやや(おとな女子登山部)
日程
2022年03月21日 (月)~2022年03月21日 (月)
メンバー
一般のお客様11名
関係者の方々

主催:神戸市
運営:神戸市公園緑化協会
協力:兵庫県森林組合連合会 こうべ六甲山私有林研究所
天候
曇り
コースタイム
9:30神鉄・有馬口駅集合~下唐櫃・風呂ヶ谷地区、山王神社、清水ヶ原地区~上唐櫃・竹谷林道~県立六甲山ビジターセンター・神戸市森林植物園 15:00解散
※移動は徒歩とマイクロバスを使用
コース状況
・特に問題なし
Google Map
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感想コメント

KRTの取り組みの一環で『森林学びハイク 六甲山の森づくりと木づかいを学ぶ唐櫃・六甲山上・森林植物園ツアー』を開催しました。
六甲山はかつて樹木の少ない山でしたが、20世紀の始めから森林の再生が進められてきました。しかし現在、様々な理由から十分な整備が出来なくなり、神戸市ではH24年に『六甲山森林整備戦略』を策定し、私有林も含めて森林整備を進めています。
そんな六甲山の現状を知って頂く為に、今回は神戸市が行っている森林整備に関する各現場を、森林や自然環境に関心のある神戸市民の皆さまに見学して頂きました。

見学場所① <下唐櫃 風呂ヶ谷地区、山王神社、清水ヶ原地区>
下唐櫃の集落に近い森林では、昔、薪など間伐作業で出た木材を活用していましたが、今は生活スタイルの変化で薪の需要も減り、代わって竹が繁殖したり、スギ林の手入れが行き届かなくなったりと、防災面でも課題出て来ています。
定期的な整備には莫大な費用がかかる為、税金(県民緑税と森林環境譲与税)を活用した里山整備の現状を下唐櫃まちづくり協議会・下唐櫃林産農協様に解説頂きました。

その後は、集落にある山王神社へ。
境内で森林病害虫の被害にあった木の伐採作業を見学しました。
今回のツアーの為に、林業従事者の方が実際にデモンストレーションをして頂き、大変貴重な現場を見学することが出来ました。あっという間に10m以上の樹の上にスルスル登る姿は圧巻!
(3/21のKRT公式Twitterに動画を載せております!)
余談ですが、ペツルなど高所作業用のクライミング用品をたくさん使用しており、道具を見ているだけでも面白かったです笑。

続いて清水ヶ原地区へ。
かつて植林したスギやヒノキの人工林が広がっており、今でも間伐作業や間伐した木材の搬出が行われています。
私のつたない考えでは、もっと間伐材が流通し、地域で活用されるようになったら良いなと思いましたが、作業者の高齢化、人手不足、重機が入れるような道がなく人力作業となる、所有者が異なるエリアが混在しているため一元管理が難しい、等の理由から簡単にはたくさんの資材になるのは難しいとのこと。
やはり市民を巻き込んだ理解を促し、担い手を少しでも増やす地道な活動が必要のようです。
因みに流通した貴重な木材は、現在新しい中央区役所などに利用されているそうで、そういったアイテムに触れ一人でも多くの方に周知頂ければ嬉しいですね。

見学場所② <上唐櫃 竹谷林道>
こちらはハイキングルートにもなっており歩けるようですが、今回は人数が多いので現場までマイクロバスで移動しました。
こちらでは森林環境譲与税を活用した林道の修繕が行われています。
周囲に植林された森林が広がっており、管理のために林道が使用されてきました。
しかし、2014年の災害で大きな被害が出た為、木材の搬出に影響する林道を土留めして修繕。
今後は周囲のスギ林の間伐作業と搬出を行うことを所有者の方々と相談しているといったお話を上唐櫃林産農協の方が説明して下さいました。

見学場所③ <県立六甲山ビジターセンター>
丁度お昼になったので、おまちかねのランチタイムです。
コロナの影響で皆さんとお話ししながら、という事は出来ませんでしたが、中には森林関係のボランティアさんもおられ、山のお話も出来楽しかったです。
ビジターセンターは2018年に改修された際に、先ほどの唐櫃の里山林で伐採したコナラ材を加工した床板材が使われています。樹の香りが心地良い空間です。
手間と時間と費用がかかりますが、こういった間伐材がもっと身近に手に入ることが出来るようになればいいね、と参加者の皆さまとお話ししました。
六甲山にまつわる様々な展示がありますので、お近くを通った際は是非見学してみてください。
ベンチやお手洗いもありますので、休憩施設としても◎です。

見学場所④ <神戸市森林植物園>
最後に訪れたのは森林植物園。
つい、色とりどりの花に目が行ってしまいますが、それだけではなく世界の様々な樹木を実は植栽展示しています。
中国原産・コウヨウザンをメインに植物園スタッフの方に詳しく解説頂きました。
コウヨウザンはスギの2倍の成長スピードで、材質としてはヒノキのように強く、真っ直ぐに生えるため、使用出来る部分が多い優等生。広島県でも率先して育てられているそうです。
園長さんが「やっと完成しました!」と森林病害虫の被害を受け間伐したコナラと、昨年の春に間伐したコウヨウザンを使った展示館の床材はまだ出来立てほやほやですので、こちらも訪れた際は注目してみて下さい!

私自身は樹や花の名前が中々覚えられないのですが、身近な存在である六甲山の森林保全の現状を携わっている方々から直接お話を聞く貴重な機会を頂き、好日山荘としてはどんな関わり方が出来るかを考えるきっかけが出来ました。
思い返せばリニューアルされた六甲山最高峰のお手洗いも、実は一部六甲山の森林整備で発生した六甲山材が使われているそうで、なるほど合点がいきました。

2022年5月以降も森林保全ツアーを予定しておりますので、今回参加が叶わなかった方も次回は是非ご参加頂ければと思います。歩いて楽しい、学んで発見の六甲山。
知れば知る程好きになるかも?!です。

●今後の予定
・5/7 再度山・太師道散策コース
・8/27 下唐櫃・伊勢講山散策コース
・10/2 森林植物園・山田道散策コース
・12/10 シュラインロード・六甲山山上コース

フォトギャラリー

KRTで森林学びハイク

ツアー開始 関係者挨拶と本日のスケジュール共有

まずは風呂ヶ谷地区へ 

下唐櫃林産農協様からのご協力による解説

崩れないように保守されている樹の堰

県民緑税での整備を解説した看板

移動して山王神社へ

神戸市・防災課さんの説明もとても分かりやすい!

ナラ枯れした伐採作業を実演して頂きます。ロープを使って・・・

あっという間の作業!流石プロフェッショナル!!

今度ゆっくり見学してみます

清水ヶ原地区に広がる人工林

下唐櫃から上唐櫃へ移動

竹谷林道に到着

こちらも地元の整備者の方から解説頂きます

ビジターセンターではコナラ材がたくさん活用されています

ハイキングの際は是非お立ち寄りください

森林植物園ではコウヨウザンの見学

展示室のコナラ材とコウヨウザン材の境目を指す園長

本日は盛りだくさんでありがとうございました!

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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