鹿島槍ヶ岳 東尾根
感想コメント
スタート地点は大谷原(おおたんばら)。爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳を登る一般ルートである赤岩尾根と登山口は同じである。
朝3時に起きると月の光と星空で目の前の稜線の輪郭がハッキリと見えている。
熱いコーヒーを一杯飲み、前日に準備しておいたウェアを身につける。
歩き始めの林道には雪が残っている。30分弱歩くと右手にピンクテープがあり、強引に尾根に上がる踏み跡が確認できた。
尾根への登りはじめは雪がなく、藪漕ぎを覚悟したが、少し歩くと雪が出てきた。
早々とクランポンを装着し、アックスを片手に高度を稼ぐ。締まった雪は気持ちよくクランポンが刺さる。尾根に上がるとハッキリとしたトレースがあり、更にスピードが上がる。気温や雪の状態を考えると早い時間帯にどれだけ歩けるかが勝負であろう。
一ノ沢の頭と呼ばれるピーク(標高2004m)の手前で日の出。あたりがオレンジ色に染まる。一ノ沢の頭では軽く朝食を取りながら、朝焼け鑑賞。
一ノ沢の頭からは、なだらかな細いスノーリッジで次のピークである二ノ沢の頭に到着。この先はゆっくり休憩できそうな場所がなさそうなので、休憩がてらヘルメットとハーネスを装着。そして、傾斜が強そうな雪面が見えているのでダブルアックスにする。
ここからは一気に高度が上がる。左右切れ落ちたきれいなスノーリッジとなり、緊張感が高まる。
第一岩峰にたどり着く。雪が少ないと、岩登りになるようだが、今回は下から雪で繋がっていた。
マグオンを摂取し、熱いお湯で流し込む。登りだしからなかなかの傾斜である。アックスはよく刺さったため、スムーズに通過する。
すぐに現われるのが第二岩峰である。このルートの核心部となる。岩場の前で休憩しながら、岩を見上げる。
ロープを準備し、岩の真ん中に見えてる残置スリングまであがる。中間の残置ハーケンでセルフをとり様子をうかがう。下部の出来具合と疲労具合を考慮して、荷物を固定して、空荷でのクライミングとする。出だしのトラバースがすこし難しく、左に周り込むと核心部である。ワンポイントが難しかった。手はよいが、バランスが悪い。荷物下ろしておいてよかった。
そこをクリアすればあとは簡単なクライミングとなる。岩のてっぺんにはリングボルトとスリングがある。支点をつくり、伸ばしたロープを固定し、懸垂下降で戻り荷物を回収し、登り返す。
岩の上でホッと一息。ゆっくり休憩する。登ってきた稜線がきれいに見える。
ここからは頂上に向けてスノーリッジ。最後まで飽きさせません。しかも風が強く吹き付けるというおまけ付き。きれいなリッジに沿って登っていくと直接北峰に上がる。
天気は最高で、北アルプスの山々はもちろん八ヶ岳、富士山、日本海が見渡せる。
ゆっくりしたいところだが、ジャケットを羽織り下山を開始する。
吊尾根は一般ルートとはいえ、なかなかの迫力。疲れた体に南峰への登りは応える。
南峰からの下りは様子が変わり、穏やかな尾根歩きとなる。風に打たれながら、北アルプスの絶景を堪能しながら歩く。
正午をまわると、気温が上がり、クランポンに雪がつき歩きにくい。当然、踏み抜きも始まる。疲れもあるがスピードが全く上がらない。
冷池山荘につく頃には風はなくなり、暑さとの戦いとなる。
ジャケットを脱ぎ、クライミングギアとアックス一本をしまう。
食欲はないが、無理矢理、行動食を口に入れ、一気に水で流し込む。
赤岩尾根を下る。出だしがかなり急なトラバースとなる。あとは細尾根を辿る。もちろん踏み抜き多発で苦労する。沢に下っていくトレースに魅惑されたが、忠実に尾根を下る。登った東尾根がよく見えるのが唯一の癒やしである。
歩き始め12時間を超えるとくたびれてくる。尾根の末端が見え、デブリ跡を進むと最後はゆっくり林道歩き。
行動時間およそ14時間、最高の天気の中、充実した登山となった。
○レイヤリング
アウター:ファイントラック フロウラップフーディ
(頂上から冷池山荘までファイントラック エバーブレスアクロジャケット)
ミドルレイヤー:ノースフェイス エクスペディショングリッドフリースフーディ
ベースレイヤー:ノースフェイス エクスペディションドライドットクルー
○主なギア
シューズ:スカルパ ファントムテックHD
クランポン:ペツル リンクスLLU
アックス:グリベル エアーテックエボリューション
カシン Xアルプ(旧モデル)
ハーネス:ブルーアイス コーカス ハーネス
その他:サーモス 山専用ボトル750
今回行動食で持っていったマグオン
バテてもスムーズに飲めるエネルギージェル。これから暖かくなって食欲がでない状況になってもこれなら大丈夫です。味は何種類かあるので好きなものを見つけるのが吉。
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