越沢バットレス 右ルート登攀記

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2012年10月05日 (金)~2012年10月05日 (金)
メンバー
天候
晴れ
コースタイム
コース状況
前日は雨でしたが岩はほとんど乾いていました。ただ、基部付近は泥がたまっている所もあり、滑りやすいところもありました。日なたはおおむね良好です。
難易度
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ちょうど1ヶ月の間を経て、鳩ノ巣「越沢バットレス」にチャレンジしてきました!

直前に控えた一ノ倉岳烏帽子岩南稜の登攀。はじめての本ちゃんに向けてのマルチピッチクライミングのトレーニングです。

1ヶ月前は越沢バットレス登竜門(?)である左フェイス「第二スラブ」を登ったので今回は右フェイス「右ルート」を登ることにしました。

岩を正面に見て一番右側のスラブ(右の滑り台)を目指して登るルートです。

●1ピッチ目
本来であれば懸垂ポイントの着地点辺りからスタートするのですが、取り付きが少々わかりづらかったため、中央フェイス取り付きから右にトラバースするように岩の弱点をよじっていきます。
スタートしてすぐは草や泥がたまっていて足場がよくないですが、ホールドは探せば豊富にあります。ただ、ソールが濡れてしまうのでそのエリアを抜けたらぬぐってやる必要がありますね。
ボルト、ハーケンなどのプロテクションは乏しく、カムで支点を取る箇所もありました。
頂上から懸垂下降をする際に一旦ピッチを切る「天狗の肩」でピッチを切ります。

●2ピッチ目
本来の右ルートに合流し、右の滑り台の少し手前の新しいボルトが打たれた支点でピッチを切ります。
この越沢の特徴として「下から見るとホールドがたくさんありそうなのにいざ登ってみると手頃なホールドがあまりない」というのがありますが、このピッチも例外ではありませんでした。まだまだ経験不足の我々には少々手こずるクライミングとなりました。

●3ピッチ目(核心 右の滑り台)
終了点は直上にあるのですが、ルートとしては一旦左に行き滑り台を抜けるルートを取ります。「く」の字を描くようなイメージ。滑り台までは安定したホールドがあり、楽々抜けられますが、さすがは核心部。滑り台まで到着するとそこにはつるつるに磨かれたような7〜8mのスラブが現れます。
ホールドも乏しく高度感たっぷり!左側の逆カンテ(?)の隙間か2cmくらいの小さなホールドをたよりにじわりじわりと高度を上げます。難しい…いや、怖い…
時間をかけてホールドを探し、時には小さな足がかりに体重を預けホールドを取ります。
およそ高度70m付近でやることとは思えません(笑)ただし、この3ピッチ目はルート自体が短いので(体感20mほど?)体力、集中力を切らすことはありませんでした。

●終了点〜懸垂下降
滑り台を登りきるとそこは懸垂下降ポイント。支点をセットしロープを束ね、懸垂の準備をします。
今回はじめて私が最初に懸垂下降をしました。途中でぐちゃぐちゃになったロープを苦戦しながらほどき、天狗の肩まで約40mの懸垂下降。ロープを空中でほどくのは想像以上に難しかった…
天狗の肩から立木に支点を取り、そこからまた30mの懸垂下降。変則右ルート、終了です!

●練習ピッチ
一旦東屋に戻り小休止をした後、時間もあったので懸垂着地点から天狗の肩までの1ピッチを私がリードで登る練習をさせてもらいました。
グレードとしてはⅣ。今までのリード経験はジムで1回のみ。しかも1年くらい前…「ホールドも多そうだし、深沢さんのリードを何度もビレイしているから登れる!」と意気揚々として挑んだのですが、怖かった…ジムや普通のゲレンデと違い、しっかりした支点を見つけるのに一苦労。気がつけば数メートルもランナウトしていて「このまま落ちたら…」なんて思いながら必死に支点を探します。更にそこへダブルロープの重みがずっしりとのしかかってきます。重い…ルートの取り方が悪いせいでロープが屈曲し、ものすごい抵抗力を生んでいます。まるで誰かに引っ張られているかのような重さを感じます。
安心できる支点が乏しい中、出っ張った大きな岩を回り込むとそこには猛々しい立木が立っていました!
「よかった!」
スリングで支点をばっちり決めると安心感からかすいすいと登ります。そこから5m程登ると天狗の肩に到着です。
セルフビレイを取り、人生初の「ビレイ解除ぉ〜〜!!!」(笑)岩場でのコールは気持ちがいいです。
後続のためのビレイセットをし、「登ってくださ〜い!!!」
妻はやはり苦戦して登ってきましたが、さすがは大先輩深沢さん、こともなげにすいすいと登ってきました。
「セカンドはさっさと登るのが役割ですから」となんとも憎い発言(笑)
またもやさっさと懸垂下降のセットをして下りました。

人生初のアルパインスタイルでのリード。この経験を活かして南稜も登りきるぞ!

フォトギャラリー

越沢全景。威圧感があります。

2ピッチ目。ホールドが乏しい!

天狗の肩の支点。安心感のある立木です。

懸垂下降!

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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