冬の五竜岳-遠見尾根 (敗退)
- 投稿者
- 好日山荘スタッフ
- 日程
- 2015年02月26日 (木)~2015年02月28日 (土)
- メンバー
- 天候
- 曇り/風雪/晴れ
- コースタイム
- 26日:地蔵の頭-(90)-小遠見山-(30)-中遠見山-(100)-西遠見手前のコル
27日:雪洞にて停滞
28日:西遠見手前のコル-(30)-西遠見山より約200m-(200)-五竜スキー場テレキャビンアルプス平駅
- コース状況
- 26日、最近の暖気と雨で雪はまあまあ締まっていて、アイゼンがよく効いた。ワカンも不要だった。
中遠見山まではトレースが付いていたが、そこからは視界不良のため雪庇の具合が分からず尾根のやや下部を登った。西遠見山までは特に危険個所はなく、ストックを使用。
26日の日没近くから雪が降り始め、28日の朝方まで吹雪。雪洞から動けず。入口がしょっちゅう埋まり除雪に精を出す。
28日朝は快晴。空身で、膝から深いところで腰ラッセル。白岳の斜面は雪崩が怖く、早々に下山を決めた。
厳冬の北アルプスは天候運と体力と度胸が必要だ。
- 難易度
感想コメント
1月に計画した五竜岳は悪天候により断念。今度こそはと関西から友人Kを召喚し、再チャレンジ。低気圧が接近していたが、とりあえず行ってみよう!ということで食料多めに出発。
26日は全く景色を楽しむことなく黙々と登ったが、なんなく西遠見山に到達。悪天でも撤退が容易と思い、コルの斜面に雪洞を掘りもぐりこんだ。暗くなり始めると雪が降り始め、サラサラと入口のシートに雪が積もり始める。
夕飯は鍋で温まり早めに就寝。
夜中に突然「山本さんっ」と呼ばれ、ビクッとして起きる。
「埋まってます」
雪洞内に雪が吹き込みうっすらと積もっている。シートをめくると出口(入口)がない。
「ええぇぇ、まじで・・・」眠い上にさらにテンションもおちる。
ショベルを雪に突き刺しても外に届かない。
しょうがないから掘りだすと風に煽られてまた雪が入ってきたが、防寒完璧だったのでそのまま熟睡した。
しかしKは随分冷えたようだ。入り口側にいたのが災いしたのかもしれない。
27日、4時に起きると入口(出口)がない。穴をあけて外を見ると吹雪。
「とりあえず寝るか」と再び就寝。
数時間後、目を覚ますとちょっと明るい。でもシートをめくると穴がない。
この日は寝たり食べたり穴をあけたりして過ごした。トイレに外出したら指が凍傷になりかけた。
夜は風向きが変わり、直接風と雪が吹き込んできたが、いろいろ頑張って快適に眠った。
28日、昨日あれだけ寝たのにちょっと寝坊した。モルゲンロートを見ることが出来なかったのは一生の不覚である。
出口を掘ってみると快晴。そんなの分かってた。
適当に行動食を口に入れて速攻で出発。
外は2日前とは別世界が開けていた。五竜・鹿島槍が目の前に聳え、真っ白に輝いている。なんだか分からないけどどにかく興奮していた。
そしてラッセル地獄が待っていた。
既に登頂は諦めていたが、少しでも五竜岳に近づきたくて「行ける所まで行ってみよう」と空身で登る。そして白岳に延びる純白の稜線と斜面を見て下山を決めた。
何度も振り返り、360°の景色に興奮しながら遠見尾根を下る。
それにしても登りより疲れる下山だった。
中遠見山や小遠見山では、朝から上がってきた人たちがいて、それぞれに景色を楽しんでいた。みんな笑顔だった。
登頂できなくても、やっぱり雪山は楽しいもんだ。
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