房総の旅　大仏とばんやと鋸山

雪のないハイキングと魚を求めて房総の鋸山に行って来ました。
1月は各地で雪が降ったので低山でも雪が残っている場所が多く、今回は房総か鎌倉が候補だったのですが、海が見たい！魚が食べたい！とヨッパライ登山部部員がこぼすのでお得意のばんやツアーを決行しました。

鋸山は車力道を通って山頂へ登り、日本寺をじっくり回って保田駅まで下るコース。思いの外きつい階段を登り、「らくなハイキングだよ～」と言っていたわたしもふくらはぎが・・・。もう中澤の「らく」は信じないと言われました。
途中の展望台は海が見える気持ちのいいスペースで、ちょうど12時だったのでベンチに座って昼食をとりました。冬の陽射しとひらけた海を眺めながら食べるおにぎりがうまい！と、そのときいつも一番食べる部員Ｍが「わたし食べません」と暗い表情で言い、リュックを抱いて座っていました。かなり不自然だったので問い詰めると、「ばんやに行くのが16時くらいだからお昼は各自調整せよ」という中澤メールを「昼は食べないほうがよい」と曲解していたことが判明。
いつもいちばん食料を持参するのに何故？と聞く我々に「ふだんお昼16時くらいだし」と、やや悲しげに弁解する。そこで心やさしい部員Ｋが自作おにぎりを半分にちぎってわけてあげると、「いいんですか！」と感動してばくばくおにぎりを頬張るＭ。一番お腹を空かしてるのが彼女なのは誰の目にも明らかで、わたしもコンビニおにぎりを半個ちぎって与えるとまた「いいんですか！！」とすばやい反応が。助け合って山に登った今日のことは、Ｍの中でいつか美しい思い出となるでしょう。

石切り場と日本寺の羅漢をじっくりと回って、おみくじ、お願い地蔵までやってばんやに着いたのは15時半頃。風呂に入って魚などを買って食堂に行くと「17時ラストオーダーですがいいですか」と言われ時計を見ると16時50分。一瞬動揺したが、もうオーダーはわたしの中でほぼ決まっていたので「大丈夫です」と席に着き、1分で注文。
人気店の週末だけあって5分後には次から次へと食事が運ばれ、ラストオーダーに瓶ビール（600円）を1本追加してあとは30分ひたすら食べる3人。
今回のオーダーは、刺身6点盛り1450円、イカかき揚げ丼750円、朝採れ寿司800円、さんが焼き600円。本当は大名御造り刺し（3～4人前）2500円を頼むつもりだったが、30分で食べるのにちょうどよい量を考えてサイズダウン。あと1時間あれば大名いけたな、と魚食いのわたしは思いつつ、営業時間のチェックを怠ったことを反省。
しかし刺身はぶりを筆頭に、まぐろ、アジ、わらさ（たぶん）など脂がのって新鮮な盛り合わせになっていて、８貫ある寿司、巨大なイカかき揚げが2枚乗った丼とのバランスを考えるとちょうどよい量だった。いつもなら房総名物なめろうも食べるところだが、刺身、寿司、揚げ物ときたら焼き物も欲しい。前回（「スイセンとブリトロと富山」参照）なめろうを食べたとき、次回はなめろうを焼いたさんがにしよう、と決めていた。
さんが焼きは魚ハンバーグ的な食べ物で、やはり房総漁師料理。思ったよりふわっと柔らかく仕上げっていて、魚の食感は強くなく、つなぎにはんぺんとかたくさん入れているかんじ。魚嫌いな子どもにもウケそうなツナっぽい味。
イカかき揚げ丼は昔からばんやの名物で、イカがたくさん入った大きなかき揚げが2枚、これでもかというかんじで豪快にどんぶりの上にのせられ、甘辛いタレがかかっていて、安い、うまい、幸せ、を一気に実感できるおすすめの逸品。イカかき揚げ単品600円（2枚）もあるけれど、こちらにはタレがかかっていないので自分でテーブルにある醤油やソースなどをかけて食べる。昔これを食べたとき、同じかき揚げなのにあまり感動しなかった。何故か？
おそらく、あつあつのごはん、あつあつの天ぷらはあつあつ同士相乗効果で丼もののうまさを引き出し、その上から甘辛タレを下のごはんに届くまでしっかりとかけることで巨大なかき揚げのボリュームに負けない甘じょっぱい味つけになり、すべてが混然一体となってわしわしとごはんをかき込みながら食べるスタイルこそ、イカかき揚げのベストな食べ方なのだろう。
しかしボリュームがあるので3人いないとなかなか食べきれない。というかＭがいなかったら寿司と丼ものは無理だった。酒飲み隊のＫはかき揚げ丼を食べた後、「これ、全部食べられるかな・・・」とやや不安げにつぶやいていたが、昼抜きで欠食児童化した米食いＭが「お寿司大好きなんです！！」「おいしー！おいし～い！」と平らげてくれた。馬力が違うね。
大仏手前で空腹のため（シャリバテか）一瞬暗くなっていたＭが、食べ始めた瞬間からみるみる表情が明るくなっていき、一気に笑顔になった。まるで花が咲いたようだった。
知らない山に登り、知らない町の酒場でうまい酒を飲む。美しきヨッパライ登山部活動中。