熊伏山(くまぶしやま、南アルプス深南部)
- 投稿者
- 好日山荘スタッフ
- 日程
- 2019年06月04日 (火)~2019年06月04日 (火)
- メンバー
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 兵越(ヒョーごえ)峠-(40分)-きはだ小屋-(30分)-1358mピーク-
(5分)-さわら小屋-(30分)-青崩峠-(35分)-ガレ場-(35分)-
前熊伏山山頂-(25分)-熊伏山山頂-(20分)-前熊伏山山頂-(65分)-
青崩峠-(35分)-さわら小屋-(30分)-きはだ小屋-(25分)-兵越峠
- コース状況
- 熊伏山は、南アルプス深南部に位置する山ですが、ルートは比較的整備されており、迷う所は少ないと思います。一ヶ所、1358mピーク方面とさわら小屋方面への分岐点(1355m付近)が、案内板もなく、少々分かりにくいです。さわら小屋は尾根上にはなく、分岐点を北側に少し下った所にあります(さわら小屋を通るルートが正規ルートなので、1358mピークはあえて行かなくてもいいかもしれません)。
兵越峠からさわら小屋手前の分岐点までは登りも緩やかで、気持ちの良い樹林帯の中を、のんびり歩けます。きはだ小屋、さわら小屋といっても東屋ですが、元々人工物が少ない深南部において、雨をしのげる施設があるのは非常に貴重で、休憩できるだけでもありがたかったです。
通過に難しい箇所はありませんが、分県登山ガイドのペース通りに歩くと、歩行時間は8時間を越えます。また、さわら小屋から青崩峠まで、約300m下ります。そこからまた熊伏山に登って青崩峠まで下ってくるので、帰りに疲労が溜まってきた頃の300mの登り返しは、少々しんどいです。時間的、体力的に少し余裕を持っていくといいでしょう。
更に言えば、青崩峠直下まで車で入ることもできるので、時間も体力も心配な場合は、そこから熊伏山を往復してもいいと思います。
- 難易度
感想コメント
出発点になる兵越(ヒョーごえ)峠は、戦国時代、甲斐の武田信玄が遠州侵攻の際に、大軍を引き連れてここを通ったことにより、その名が付いたと言われています。元々この峠は、遠州(遠江、現・静岡県西部地方)と信州(信濃、現・長野県)の旧国境で、現在も静岡県と長野県の県境になっています。毎年10月の第4日曜日には、「国盗り合戦」と称して、浜松市天竜区水窪町と長野県飯田市南信濃の両商工会の青年部のメンバーが、遠州軍と信州軍に分かれて綱引きを行い、勝った方が1mずつ国境を相手側に広げることができる、という一風変わった伝統行事があります。毎年国境が動くわけですが、もちろん形式的なものであって、行政区画上の実際の県境が動くわけではありません。ちなみに、現在の国境を示す木製の指標もあり、近年は信州軍の方が優勢で、国境が3m分、遠州側に押し込まれています。
途中で通過する青崩峠も、遠州と信州の旧国境で、現在も静岡県と長野県の県境です。近年ベンチが整備され、休憩にふさわしい気持ちの良い峠です。その昔、遠州から信州まで塩を運んだ「塩の道」、別名「秋葉街道」が通る峠で、交通の要所とされてきました。街道といっても、この付近はもちろん未舗装の細い山道ですが、旅人の安全を見守るお地蔵様や歴史の解説看板があり、主に静岡県側の展望はきくので、ここで一服していきましょう。
熊伏山は、樹林に囲まれて展望はききませんが、広い静かな山頂です。長い道のりを歩いてきた達成感があります。しばらく休んだら元来た道を戻ります。
今回のルートは、歴史的ロマンも感じられますし、前述したような珍しいお祭りもあるので、できれば兵越峠も絡めて、一度熊伏山に登ってみてはいかがでしょうか?
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