冬の北蔵王縦走コース(敗退)(山形県)

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2015年12月01日 (火)~2015年12月02日 (水)
メンバー
天候
1日:曇り 午後霧と小雪  2日:晴
コースタイム
1日:笹谷峠冬季車両通行止め箇所(70分)笹谷峠(260分)蟻の戸渡り取付(75分)北雁戸山頂(90分)南雁戸山取付(ここで敗退、戻る)(65分)笹雁新道入口(330分)笹雁新道登り口付近

2日:笹雁新道登り口付近(20分)象ヶ沢(50分)登山道入り口
コース状況
12/1現在、全体を通して雪はフカフカ。急登が多いため、ワカンがあると良い。
一部表面が凍っている所もあるが、中は全くしまっていない。

笹谷峠~カケスガ峰は、割となだらかな登り。
雪は30cm位。
クマやウサギなどの足跡も多い。

カケスガ峰~前山のエスケープルートは、倒木が多い。
積雪は30cm位。急坂が多く、雪が崩れ易くて歩きにくい。

蟻の戸渡りは、急な登りが3か所。
露岩に雪が付き非常に不安定な状態でした。

北雁戸山山頂は広く、風が抜ける。

北雁戸山山頂~南雁戸山取付は、急坂。
積雪は30cm程。
木が雪の重みで、登山道にしなだれかかっていて、
枝がちょうど顔の位置。時々はって進みました。

笹雁新道も積雪は30cm。所々ルートが不明瞭でした

林道は歩きやすいです。
難易度
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感想コメント

11月に行こうと考えていた、雁戸山~蔵王の北蔵王縦走コース。
何とか都合がつき今回行ってきましたが
結果的に、予想以上の雪で思う様に動けず、
初のビバークを体験する事になります。

12/1
早朝に山形駅到着。
朝7:16。空にはまだ、白く輝く月が出ている。
準備をして、出発。
今回は、八方平避難小屋泊り予定。

笹谷峠(旧道)入口を進んでいく。
徐々に雪が出て来たけれど、
最初は道の端の方に溶けきれない雪が出てくる位。
笹谷峠に到着する頃にはそこそこ雪が出て来たけれど、
アイゼンは付けなくても問題ない位の雪だ。

「ふた國の 生きのたづきの あひかよふ この峠路を 愛しむわれは  茂吉」

斎藤茂吉の歌碑が出てきた所が、笹谷峠。
山形神室と雁戸山への道が、ここで分かれる。
今回は右へ。
雁戸山上空には雲がかかっている。

樹林帯へと入って行く。
雪の量と共に、動物の足跡が一気に増えていく。
ウサギ、カモシカ?、・・この大きさと爪は・・・まさか、クマぁっ?!
クマは嫌だなぁ・・。
熊よけスプレーを装着して、更に先に進む。
徐々に雪は深くなってきたけれど、
まだまだ楽しい!。
動物の足跡を見ながら歩く。

前山のトラバース。
登山道は雪で狭く膝まで潜る。
雪の重さで、登山道に木がしなだれかかる。
またげないから、はって避ける。
急登は、更に雪が深い。
雪が滑るので、1歩1歩注意しながら歩く。

前山をトラバースし終えると、いよいよ雁戸山が姿を見せる。
風が強く、霧も出てきた。
蟻の戸渡りは3つのピークとも岩稜に不安定な積雪で非常に危険な状態でした。

雁戸山山頂到着。
思った以上に時間が経っている。
この先のエスケープルート、笹雁新道。
地図を見ると、避難小屋に向かった方が時間は半分で済む。

南雁戸山に進む。
雪は更に深い箇所が多くなる。急登と、木の枝に悩まされる。
膝まで潜りながらはって歩くから、なかなか先に進まない。

ようやく、南雁戸山が姿を現す。
蟻の戸渡りと同じ斜度。
蟻の戸渡りと違い、斜面は風に吹き付けられて表面はテラテラと光っている。
試しに拳を当ててみる。
3回で割れる。中はしまっておらず、ザラザラと崩れる。
足を突っ込んでみる。
2歩、3歩・・・進んだ所でザラッと崩れる。
急斜面から見える、霧の中から浮かび上がる白い山肌。
時間切れか!
ビバーク・・・途中で見た、熊らしき足跡を思い出す。
どんなに遅くなっても、下山しようと心に思う。

膝までもぐる雪を蹴散らす様に、笹雁新道入口まで戻る。

ここからは、ふかふかの雪。
周りは暗くなっていく。
下山しきる前に絶対真っ暗になると思って、ヘッドライトを早めに準備する。

下るだけだと思っていたのが、地図を見誤っていた。
小さいが、ピークが2つある。
雪の深さ、登山道をふさぐ様に立つ木々。
這って歩き、木の枝に押し戻されながら、少しずつ進んでいく。

風がごうごうと吹いている。
急坂。10cmくらいしか、前に進めない。
確実に進んでいこう。

2つ目のピーク。
長いピークを越えて、やっと下り。
ここで、大地いっぱいに枝を広げた木々と対面する。

途中、広い場所に出る。

辺りは真っ暗。ヘッドライトで照らして、先を探す。

下山しながら、仙台の街並みがキラキラと見え始めた。
街の上空には、真っ赤な月が下半分だけ、見えている。
笑っているみたい・・。

急に道が広くなった。
あれ?。
道は間違えていない。でも、どんなにライトを照らしても、先が見えない。
時計を見る。行動開始から15時間経過。

さっきまで赤かった月は、白く冷たく輝いていた。
真ん丸、に近い。

ここで、ビバーク。

12/2
朝から良い天気。
昨夜、見つけられなかった道は、はってあるロープですぐにわかった。
ロープを伝い、下山する。
実はもう、残りの道はそんなになくて、
1時間ちょっと歩いたら、登山口に到着した。

何とか無事下山!

フォトギャラリー

雁戸山。ここから蟻の戸渡りが始まります。

朝7時過ぎ。今日が良い1日であります様に。

水が豊富な山域です。

笹谷峠手前に、立派な水場があります。

笹谷峠より、山形市街地方面。

山形コースは右、宮城コースは左です。

電波塔。

木の枝についている水分は凍っていました。

こんな風に、動物の足跡があちこちにありました。

前山トラバース道から、仙台方面が見えます。

トラバース道。踏まれていますが、意外と細い道。

雲の流れが早いです。

蟻の戸渡り1つめ。雪が柔らかいので進めなくはないのですが、私に戻る事は出来ません。

細い尾根を進みます。見た目程ではないです。

蟻の戸渡り3つめ。一番登りにくかったです。

雁戸山山頂。無雪期には、お弁当を広げるのに良さそうです。

ちょっと不気味になってしまいました。下山途中で撮った仙台方面と赤い月。

翌朝。この赤いテープが夜には見えませんでした。ここを下っていくのがルートです。

良い天気。

林道は、雪があってもこの位でした。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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