穂高の入門バリエーション(明神主稜 前穂北尾根 北穂東稜)
- 投稿者
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好日山荘スタッフ
東武宇都宮店
- 日程
- 2016年09月26日 (月)~2016年09月29日 (木)
- メンバー
- 天候
- 9/26:☂ 9/27:☀ 9/28:☂ 9/29:☂
- コースタイム
- 上高地(40)前穂高岳登山道7番の標識(150)明神岳5峰直下台地(230)明神岳1峰(20)ビバーク適地
ビバーク適地(105)前穂高岳(65)奥穂高岳(15)穂高岳山荘(70)涸沢(60)前穂高岳北尾根5・6のコル(150)前穂高岳(85)奥穂高岳(20)穂高岳山荘
穂高岳山荘(75)涸沢小屋(50)北穂南稜登山道2650m付近(180)北穂高小屋(80)穂高岳山荘
穂高岳山荘(75)涸沢ヒュッテ(90)横尾(80)明神(30)上高地
- コース状況
- 難易度
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感想コメント
※明神主稜、前穂北尾根、北穂東稜を安全に歩くためには、西穂高から南岳の登山道を難なく歩ける歩行技術はもちろん、岩稜でのルートファインディング能力やロープワークなども必要になります。
1日目
朝から降ったり止んだりでスッキリしない天気。
上高地から岳沢へ続く登山道の7番の標識のところで登山道をはずれ、南西尾根に取りつきます。踏み跡が明瞭な急登をしばらく登り、ヤセ尾根、トラロープのフィックスのある岩場を越えると視界も開けて、急登の疲れを癒してくれます。
5峰から本格的な岩稜歩きが始まります。技術的に難しい箇所はほとんどありませんが、ラインをミスすると浮石も多く、進退窮まる可能性もあるので慎重な判断が求められます。
5峰4峰3峰を順調に越え、2峰に到着すると、いよいよこのルートのハイライトです。最高のロケーションの中、2ピッチ(20mと15m)の懸垂下降でコルに降ります。コルからガレ場を登りきると1峰の山頂です。1峰を越え、少し下りたところに景色のいいテラスがあったので、この日はそこに幕営しました。
そこそこ距離もあり、様々な要素が詰まった好ルートです。
登攀要素はあまりありませんが、あまり巻かずに尾根通しで歩くとなかなか楽しめます。
2日目
天気は快晴。
日の出と同時に出発。明神岳1峰と前穂高岳の最低コルへの下りからスタート。前穂東壁を間近に見ることができます。
僕らはクライムダウンしましたが、最低コルに降りる直前が意外と悪いので、メンバーの力量やザックの重さのよってはロープを出した方がいいと思います。最低コルへ下ってしまえばあとは前穂山頂までガレ場の登り返しです。
前穂山頂で少し休み、吊尾根から奥穂、奥穂から穂高岳山荘へ移動。幕営装備などはデポし、アタック装備で涸沢におりて、前穂北尾根の5・6のコルへ。5峰4峰を登り、3峰の取りつきでパートナーとロープを結び、凹角を3ピッチほどスタカットで登りました。リスやクラック、ピナクルも豊富でプロテクションは比較的取りやすいです。3峰を登りきると、2峰と前穂山頂はもうすぐです。2峰からは懸垂下降をし、そこからガレ場を登り切ると前穂高岳です。
一般ルートに出られてひと安心。そして本日2度目の吊尾根でしたが、最低コルからの登り返しには苦しめられました。山荘に戻り、テントを立て、ぐっすりと休みました。
高度感があり、気持ちいいです。登攀もやさしめで、余裕をもって楽しめます。
技術的な難しさより、ラインどりや浮石の処理が重要になります。
人気ルートなので先行パーティーによる落石や順番待ちには注意が必要です。
3日目
雨のち暴風雨。
朝食を済ませテントの外を見ると、霧で視界が利かない状態でした。とりあえず登攀用具一式を持ち涸沢に下り、北穂の南稜を登ることに。南稜の登山道を登っていると、少し視界が晴れてきたので、登山道を離れトラバースし東稜に取りつきました。取りついてからはとてもスムーズで、しばらく歩くとゴジラの背です。そこそこ雨も降っていたので、一応ロープを出しました。
ゴジラの背から北穂のコルへの下降はクライムダウンできそうでしたが、練習も兼ねて懸垂下降でおりました。その先は踏み跡をたどり、北穂高岳小屋に到着です。小屋についてまもなく雨がかなり強くなりました。しばらく待っても雨は弱まらなかったので覚悟を決めて穂高岳山荘に向けて出発。雨は飛騨側から風にのって強く吹きつけていたので、滝谷には滝がいくつもできていました。暴風雨で若干歩きにくかったですが、大きな問題もなく1時間半弱で穂高岳山荘のテントに戻りました。
猛烈な雨で全身びしょ濡れになってしまったので、テントの中で服を乾かしながら温かい飲み物を飲んで、ゆっくりと過ごしました。長期縦走や厳冬期の登山などで培った生活技術のおかげで、乾いた着替えがなくても快適に過ごすことができてよかったです。ドライレイヤーも活躍してくれました。
ルート自体は短いですがロープを使った登山が楽しめます。
メンバーの力量次第ではありますが、コンテニュアス主体で進み、要所でテレインビレイを使いながら進むとより楽しめると思います。
4日目
雨のち曇り
一晩中雨が降り続き、朝になってもまだ雨が降っていました。計画では奥穂から西穂周りで上高地に帰るはずだったのですが、さすがに雨の中そこは通りたくなかったので、おとなしく、涸沢に下り横尾周りのルートを選びました。昨日からの雨で、涸沢や横尾谷は増水していましたが登山に支障が出るほどではなかったので助かりました。
下山後には、普段めったにしない外食をし、温泉にも入れて最高でした。
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・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。