Summit to Sea 栂海新道 №2

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投稿者
あやや(おとな女子登山部)
日程
2019年10月08日 (火)~2019年10月11日 (金)
メンバー
前田敦子ガイド
天候
晴れ
コースタイム
■1日目
栂池山荘(120)乗鞍岳(30)白馬大池山荘泊
■2日目
白馬大池山荘(95)小蓮華山(40)三国境(90)雪倉岳避難小屋(30)雪倉岳(170)朝日小屋泊
■3日目
朝日小屋(40)朝日岳(20)吹上のコル(50)アヤメ平(80)黒岩山(60)サワガニ山(30)北俣の水場(往復10分)(40)犬ヶ岳(10)栂海山荘(70)黄蓮の水場(20)菊石山(35)下駒ヶ岳(70)白鳥小屋泊
■4日目
白鳥小屋(60)シキ割(55)坂田峠(90)二本松峠(15)入道山(60)国道8号線(5)親不知
コース状況
・10/9に白馬岳で初雪を観測。この時期はいつ雪が降ってもおかしくない装備が必要です。
・登山道はよく整備されており迷う部分はほぼありません。
・アップダウンが激しく連日長時間歩き切る体力が必要です。
・白鳥小屋~親不知間はゲイターがあると便利です。
・ストック、テーピング等膝の負担を軽減するアイテムをお勧めします。
・ここ20年で一番熊が出没している状況との事。熊鈴必携。
・栂海山荘or白鳥小屋利用は篤志金2,000円を準備しておきましょう。
・親不知観光ホテルでは入浴&送迎プラン有(前日までに要予約/1,500円)

《お手洗い情報》
・栂池山荘(未確認)
・白馬大池山荘(簡易/ペーパー有)
・朝日小屋(水洗/ペーパー有)
・栂海山荘、白鳥小屋(簡易/ペーパー無)※どちらも銀マット、毛布有

《水場情報》
・北又の水場・・・豊富
・黄連の水場・・・有(枯れる場合有)
・白鳥の水場・・・有(枯れる場合有)
・シキ割の水場・・・豊富

《電波状況》
概ね小屋付近は微弱ながら入る(docomo)
難易度
Google Map
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感想コメント

3日目
おそらく今回の中で核心になる1日。
5:00からの朝ごはんを食べてからスタートする事にしました。
ゆかりさんからはお昼の時点で栂海山荘にいる事、と忠告されましたので逆算しながら歩きました。

朝日小屋からすぐの朝日岳ではまさに日の出がお出迎えしてくれたので、日をめいっぱい浴びて元気を頂きました。
朝日岳を下り、吹き上げのコルからさわがに山岳会の方が切り開いた道に入ります。
長栂山からアヤメ平にかけては池塘が点在し、優しい木道が続き昨日までの厳しい環境との落差にびっくりします。
小野健さんの次女の名前にもなっている”照葉”ノ池など見所満載です。

黒岩平~アヤメ平付近は標高1,600mながら夏は高山植物の宝庫であり、まさに百花繚乱になるんだそう。
途中途中にさわがに山岳会お手製の金属板を打ち抜いた味のある看板があるので、記念撮影をしながら楽しく歩くことが出来ます。

この辺りから栂海山荘の赤い屋根がはっきりと見えるので、目測しながら黙々と進みますがなかなか近づきません。
さわがに山以降は起伏の激しい道が続きます。

この先にある黄連の水場の状況が不明なため、犬ヶ岳に入る前に確実に汲める北又の水場でプラス3Lを追加しました。
(この後、すれ違った登山客に黄連の水状況を確認しましたがいっぱい出ているとの事でした・・・。)

途中のブナ林に癒されながら、また比較的新しい熊の糞で、彼らの気配を感じながらお昼前に栂海山荘に到着。

このペースだと大丈夫そうかな、という事で気合を入れ直しつつ、少しホッして宿泊予定の白鳥小屋を目指します。
ジュラ紀のアンモナイトが出土したそうで菊石山、ロープや梯子のある下駒岳を通過したところでバテました。
つい、この道を作った小野健さんを恨む・・・。
登山者としては巻き道が欲しい所ではありますが、斜面に道を作ると積雪期の雪崩で登山道が損傷する可能性があり、結局は整備に時間がかかるので、稜線上に道を作った方が頑丈で長持ちすると本に書いていたな。。
文句を言っている場合ではない。むしろありがたく歩かせて頂くという気持ちでいなければいけません。

本当に、言葉通りに、山をなぞる様に歩き、やっとの思いで白鳥小屋に着くと昨日朝日小屋でご一緒だったソロ登山男性2名が既にいい感じに(笑)
私達以外にも2名の女性パーティーが後ろにいるので、2Fを女性部屋として下さいました。
山男さん、何てジェントルメンなんだ。
白鳥小屋は屋根の上にあがれる梯子が付いており、ちょっとだけ夕日を眺めてみたりも出来ました。

結局情報を集約すると、本日は白鳥小屋計7名(全員朝日小屋から移動)、栂海山荘1名(親不知からの移動者)の利用でした。

10月にしては異常な暑さが続いた1日でしたが日が暮れるにつれ、装備に夜露がつきはじめます。
おそろしい角度で建っているオープンスペースのお手洗いをビビりながらも使用し、早めに就寝しました。
室内温度は15℃。寒くはなかったのですが、月明かりが眩しく落ち着かなくて眠れませんでした。

4日目
最終日は標高差1,200メートルを一気に下ります。
とはいっても昨日同様細かいアップダウンに加え、激下り箇所も待っています。
ぬかるんだ沢道が多く、気を抜くと泥だらけになってしまいます。

水場であるシキ割から坂田峠までの30分間のルートが一番急ですです。私はストックなしの方がうまく歩けました。
途中の金時の頭からは今も掘削作業が行われている黒姫山が良く見えます。
坂田峠からは車道が出ており、エスケープも可能。車の音も聞こえ始め、終盤の雰囲気となります。

想定外に苦労したのが蜘蛛の巣です。2時間前に先行者が歩いているはずなのに、働き者の蜘蛛達はせっせと新しい糸を出したようで、払っても払っても顔に当たって不快でした。

標高400m辺りからは海がすぐ近くにあるというのにまだ登りが出現し、一体何時になったら着くのだという感覚になりました。

最初は日常生活から逃れたくて山に入るのに、ゴールが近づくと一刻も早く下山したい気持ちになります。きっと登山者誰もが共感する部分だと思います。

ようやく登山口に着くと、先行していた男性陣(仲良くなって3人で下山したそうです。)とまたも居合わせ温かく出迎えてくれました。

ここでゴールではなく、残り80mを下りようやく日本海に到着しました。
自分でもどんな気持ちになるのか楽しみにしていましたが、意外とあっけなく迎えたフィナーレでした。
でも、波の音がいつもより心地良く聞こえた気がしました。

折角なので足を浸けてみたら気持ちいい~。しばらくあっちゃんと無言で海を眺めました。
そして、お決まりの登り返し。結局最後まで登りの栂海新道。恐るべし。

親不知観光ホテルでお風呂に入って、最寄駅の親不知駅まで送ってもらい、越後トキめき鉄道で最寄り駅の糸魚川駅から帰路へ着きました。
(気を抜いて肝心のウェストンさんに挨拶するのだけ忘れてしまったのが唯一の心残りです。)

どちらかというと華やかさよりも控えめな印象のルートですが、男の浪漫がたくさん詰まった場所。
皆さんも、機会があれば是非歩いてみて下さい。

『栂海新道を拓く』 出版:山と溪谷社 著:小野健
さがわに山岳会結成と、小野健さんの夢の登山道開通までの道のりが記されています。
国有林の盗伐容疑をかけられたエピソードや開通後の維持管理の苦労、個性的で屈強な山岳会メンバーの紹介など一気に読破出来るほど読みやすく面白いです。
開通して50年ほど経ちますが、国や栂海新道整備グループの方々が今も大切に整備し守っているルートです。

■今回の服装
上:ミレー・ドライナミックメッシュタンクトップ ウール長袖(150ウェイト) 状況によりR1、レインウェアを追加
下:オールシーズン用パンツ

■装備
プラティパス、シュラフ(イスカAir280)、マット、ツェルト、浄水器
着替え一式、防寒着、行動食

■気温
10/10 11:00北又の水場(25℃)19:30白鳥小屋内(15℃)
10/11 親不知(25℃)

フォトギャラリー

フィナーレの日本海

これが本当の朝日岳(2,418m)

眺望抜群。長栂山付近にて。

いざ日本海を目指して

池塘が点在しています

前も後ろもアップダウンばかり

先日の雨のお陰で水量ばっちりな北又の水場

忠犬風の犬ヶ岳

映える栂海山荘

気合を入れ直してあと4時間

白鳥小屋の屋根に登ってみました。街灯りが恋しい。

最終日。シキ割の水場で最後の活力を!!

坂田峠は膝泣かせ

ラストスパート

ようやく着きました

道中ご一緒だった方から嬉しいサプライズをして頂きました☆

海抜0mまであと80m!!

アイシング中

親不知観光ホテルで入浴

最寄駅。本当にお疲れ様でした☆

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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